2.少女(攻略対象)の訴え
「えっギャルゲーて何なんですか?それにここは何処ですか?私は確か今まで…」
私はここに来る以前の事を思い出していた。そうだ、私はさっきまで学校の中庭で友達とお弁当を食べていたのだ、いつもと何も変わらない日々。だが今日は違った、いきなり目の前の風景、ベンチ、友達にノイズが走り、ゲームでいうバグが発生したかのように世界の色が変色し始め、気づくとこの真っ暗な部屋に居て、私は部屋に居た4人の少女に問い詰められているのだ。
状況が掴めない私に、学園のアイドルである朝山 花音が鈴のように綺麗な声でフォローを入れてくれた。
「貴方は日高 月子さんですよね?私と同じこの学園の2年生、私の名前は言わなくても解っていますよね。」
その通り、目の前に居る少女達は何故か名前だけは知っているのだ、どうして知っているのかと問われたら答えられない、彼女達の事を知っているのが"常識"であるかのように思えるのだ。
「はい、私は日高 月子です。あ、あの…どうして私の名前を?それに…」
「たくさんお聞きしたいことはあるでしょうし、順を追ってお話しますね。」
そういって朝山さんは可愛らしい笑顔を浮かべ、つづけた
「この世界は実は今年の4月から来年の4月の間を何度もループしているのです。」
えっ…ループ!?
「そして、ループの原因はこの学園の男子学生である近江 海斗」
するとクール系モデルの青山 怜が
「この世界は近江 海斗が恋愛する、近江 海斗のための世界になってしまったの。この事をギャルゲェと呼ぶらしいわ」
と言った。
青山さんの声は淡々としていたが、どこか怒っているようで腕をギュと握っていた。
そしてその言葉に同意するかのように朝山さんは首を縦に振り。
「この世界がいつおかしくなってしまったのかは私達にも解らないの…。それに世界だけではなく、この亜空間部屋を抜けると私達までもがおかしくなるの。」
と続けた、朝山さんは不安げな表情になり、私はどうおかしくなるのだろう…と疑問をもった。
すると青山さんが
「元の世界に戻ると私達亜空間内で話し合った事、亜空間自体の事を忘れてしまうみたいなの。そして私達は近江 海斗の攻略対象キャラとして日々暮らしていくことになるの。」
すると、今まで口を割っていなかった小動物系七星 真由が今にも泣き出しそうな声で
「それでね…あの、ここはどこか?という質問だけど…私達にもよく解っていなくて…だけど唯一はっきりしている事は…ここは近江海斗君に攻略された人の部屋、つまりゲームの楽屋裏のようなものだと…私達は理解しているの…それでね…近江君に攻略された人はこの真っ暗な亜空間に転送されてね…正気に戻るから…ここの部屋の事…"正気部屋"と読んで…いるの…です。」
と言った。
まるでギャグのような部屋名に吹きそうになるが、彼女達は大真面目のためなんとか抑えた。
「という事は、貴方達はもう近江海斗に攻略されたのですか?」
元データが吹っ飛びました…