11/89
第10話 仮性恋愛
神山君と青空猟奇のクラスは隣同士であった。
「ごきげんよう、神山君」
「おはよう青空さん」
お互いにお互いを観察するために二人はつるむ。
「青空さん、僕は君のことが知りたい」
「奇遇ね神山君。私もあなたに興味があるの」
「今日、家に行ってもいいかい」
「えぇ、歓迎するわ」
異常な彼らの、知り合って三日足らずの関係である。
何も知らない彼らの同級生がこれを聞いて、『二人は付き合っている』という結論に至ったのを誰も責められぬ。
得てして、高校生という生物は色恋沙汰が大好物だ。
二人の同級生達はまさに水を得た魚の如く噂を広めた。
「彼はとっても魅力的よ」
青空猟奇は同級生の女子に語る
「この私を完成させるのに最適な人材だから」