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桜里の情事

このサイトに本格的なのが無い気がしたので歴史小説を書くことにしました! でも、歴史小説は書いたこと無い(汗 てか、今まで三作しか書いたこと無いんです(汗汗 感想なんか、頂けるなら、と〜〜っても、嬉しいです。

 既に外は夜の世界であった。

 昼間、あれ程喧しかった蝉は、一体何処へ行ったものか……。

すっかりその声は消え、代わりに野犬の鳴き声だけが聞こえていた。

 獣三郎は遊廓『桜里』の一室より、下界を見下ろしている。

 寝静まった街を、月の光だけが照らしていた。

 特に変わった処のない、ただの街だ。

 長煙管を吹かし、チラと部屋内に目をやった。

 傍らでは、先程抱いた遊女『珠響−たまゆら−』が寝息を立て、、年相応の寝顔を見せる。

 この姿を見ただけでは、誰も珠響がこの街で一番の“売れっ子”だとは思うまい。

今年で漸く19になったばかりだ。 獣三郎は

「つまらん」

と言うように、フンと鼻息をし、再び街に目を戻した。

 何が在る訳ではない。 ただ眺めているだけ、見下ろしているだけだ。

「……」

 何故だか無性に人が斬りたい。

出来れば、己と対等に死合える強者と。

 いや……、贅沢は言うまい。

刀を提げてさえいれば良い……。

 別に、何か厭な事が在った訳でも、酒に酔った訳でもない。

ただの気紛れだ。

 しかし……、ただの気紛れ……。

悪い癖だ。

 これで斬られた者は、堪ったモノではないな。

 そう思い、獣三郎は恰も他人事のように、ククッと喉で笑った。

「獣三郎さん。まだ起きていたの?」

 珠響が獣三郎に声を掛けた。

 どうやら、獣三郎の口から漏れた笑い声を聞き、起きてしまったらしい。

 獣三郎は長煙管の煙を肺一杯に吸い込み、一気に吐き出した。

 そして、ゆっくりと珠響を振り向く。

 月光に獣三郎の整った顔が浮かび上がる。

 非力な伊達男風な顔立ちではなく、むしろガッシリとした顔立ちだ。

「怖い……」

 珠響が思わずと言ったように、ポツリと呟いた。

「まるで、鬼のような……」

 更に珠響はそう続けた。

 その目は、夢を見るように輝き、危うげに潤んでいる。 

「鬼のよう」

と言われ、獣三郎はニヤリと笑う。

 珠響は、獣三郎の本性を本能的に見抜いているようだ。

 鬼……、強ち外れではない。

 13年間の人斬り稼業。

今までの人生の、半分以上を闇で生きてきた。

 これからも、闇に身を置き続けるだろう。

現に今も、理由も無く人が斬りたいのだ。

「凄絶な笑み……。でも、鬼と言うには、些し凛々しすぎる」

 珠響はそう言うと、そっと獣三郎に寄り添う。

 そして、獣三郎の匂いと温度を直に感じる。

 もちろん、珠響も獣三郎も、何も身に着けてはいない。 獣三郎は

「フン」

と、一度だけ鼻息を吹くと、珠響のするままに任せた。

 暫し、互いに無言。

そのままの時が流れる。

 そっと、珠響の手が、獣三郎の引き締まった体を撫で始める。

 初めは申し訳無さそうに、軽く獣三郎の割れた腹筋に触れる程度だったが、段々と大胆に獣三郎の体を撫で回す。

 黙っていた獣三郎だが、胸の辺りを這い回る珠響の手を掴み、強制的に止めさせた。 珠響は獣三郎の顔を見上げる。

「ねぇ、獣三郎さん……。もう一度……」

 珠響が濡れた声でねだる。 珠響の瞳は、トロンと垂れ、潤んでいた。

「ここの遊び女は、一晩に二度も相手をするのか……」

 獣三郎が冷たく見下ろす。

「意地悪、言わないで」

 珠響が困ったような、切ないような顔で獣三郎の目を見る。

 心からの反応か、男に媚びを売るのが巧いのか。


 獣三郎にとっては何方でも構わないことだ。


 抱く女に、精の捌け口以外の価値は無いと考えている。


 尚も己を見上げている珠響の、潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめ返す。

 そして


「フン」


と酷薄な笑みを浮かべ、珠響の妙に艶めく唇に、己のそれを重ねる……………

妖しい雰囲気が出ていたでしょうか? 18禁部分は、皆様の想像力で(笑

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