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しょうちゃんとパパ

掲載日:2026/01/03

世界が美しいのは、誰かの大切なものでできているからだと思うのです。

しょうちゃんは、そうちゃん という なまえです。


しょうちゃんは、まだ じぶんのことを そうちゃんといえません。


おとを かなでる、といういみの なまえです。

ホルンという きらきらの がっきを ふく おとうさんと、ピアノという きらきらの がっきを ひく おかあさんが かんがえてくれた なまえです。

しょうちゃんは このなまえも、ホルンも ピアノも それを えんそうする パパとママも だいすきです。


きゅうに さむくなった ふゆのひ、しょうちゃんは パパと でかけることに なりました。


ママは すこしまえから おでかけしていて、しょうちゃんは すこし さびしく おもっていました。

だから、パパが

「ママに あいにいこうか」

といってくれたので うれしくなって、でかけたのです。


パパは、しょうちゃんの コートのボタンを、いちばん うえまで あげました。

ちいさな みどりの てぶくろと、ふかふかの あおい ぼうしを かぶせて あげました。


しょうちゃんは、パパに おへやの でんきを けしわすれているよ、と おしえて あげました。


おうちを でたところで、パパが しょうちゃんの てを ひいて いいました。

「みて、そうちゃん。みずたまりが こおっているよ、きをつけて。」

しょうちゃんが ジャンプすると、パパが てを ひっぱって てつだってくれました。


「パパ、おとなりの おばちゃんが てを ふってるよ。」

「おや、ほんとうだ。おはようございます。」

となりのいえの 2かいの ベランダで、やさしい おとなりさんが、てをふってくれています。

しょうちゃんと パパは てを ふりかえして、あるきだしました。


あかしんごうで とまるとき、パパは しょうちゃんに いいました。

「そうちゃん、あしもとを よくみてね。はみださないように、たつんだよ。」

しょうちゃんは、あしあとの しるしの うえにたって、これでよし、と わらいました。


「パパ、あれはなぁに?」

かんばんから ぶらさがる、いつもは みえない ほそながい きらきらしたのをみて、パパは わらって いいました。

「そうちゃん、よく きづいたね。これは つららと いうんだよ。ふゆの あさが つめたいと、ときどき できるんだ。」

「ふぅん、かんばんも さむくて ないちゃったのかなぁ。」

「そうか、かんばんが ないたのか。そうちゃんにも つららが できちゃわないように、はやく いこうね。」

パパはわらって、そうちゃんの てを ひきました。


 パパは みちばたの かだんを ゆびさして いいました。

「みてごらん、そうちゃん。しもが おりて しろく なってるよ。」

しょうちゃんは、てぶくろで しろくなった はっぱを なでると、しゃりしゃりと おとがして おもしろいなと おもいました。


「あ か き く り に つ く、」

しょうちゃんは、かんばんの もじが よめるように なりました。

じぶんの ことは、しょうちゃんとしか、いえません。

でも、カタカナだって よめるのです。

「すごいね、そうちゃん。カタカナもよめるように なったんだね。すっかり、おにいちゃんだね。」

パパがわらうと、しょうちゃんも わらいました。


「さあ、そうちゃん。かいだんに、きをつけて。」

パパに手を引かれた、しょうちゃんは、そらを ゆびさして いいました。

「パパ、みて。きらきらだよ。」

つられてうえを みあげた パパは、おどろいて いいました。

「わあ、ゆきだね。そうちゃん。よく きづいたね。」

「うん、パパは おおきいもんね。」

「え?」

と、パパは おどろいたように、しょうちゃんを みおろしました。


 パパは、ママが にゅういんしているあいだ、そうちゃんを みていなくては、とおもっていました。

 ちいさくて、しんぱいで。

 もうすぐ、しょうがくせいに なるのに、さしすせそ、がうまくいえなくて。

 パパは、しょうちゃんを みていました。


 だけど、しょうちゃんは、いつも、おおきな パパを、みあげて、せかいの きらきらしたものを たくさん、たくさん、みつけて わらえる おとこのこでした。


 パパは なんだか うれしくなって、しょうちゃんに わらいかけました。

 しょうちゃんも、うれしそうに、わらいかえしてくれました。

「そうちゃんは、もう おにいちゃんに なったんだなぁ。」

そういって、かんごしさんへの あいさつも、エレベーターのボタンも、パパは しょうちゃんに してもらいました。


 びょうしつの ベッドのうえで、ママが わらって、てを ふりました。

「そうちゃん、パパ。きてくれたのね。」

「ママ!」

しょうちゃんは かけだして、ママの うでの なかで、ちいさな、ちいさな、てが うごくのを みつけました。

「そうちゃん、あなたの いもうとよ。」


 しょうちゃんも、パパも、おんなじ ところを みつめます。

 たかくなくて、ひくくないところ。


 せかいは、きょうも きらきらしたもので いっぱいなのです。

 だから、まだ じぶんのことを しょうちゃんという、そうちゃんも、きっと だいじょうぶなのです。

お読みいただき、ありがとうございました。


できないことを数えて、不安になることも多いのでしょうが、できることを数えて、誉めていけると良いですね。

きっと、大丈夫ですよ。

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