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神格者──少女たちは怪物と化しながらも世界を救う──  作者: 白影ゆうき


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五話

 瑞希の元で訓練を初めて数週間。

 神格者としての力の制御にも慣れてきた三人は連携しながら瑞希の攻撃をいなせるようになっていた。

「由香ちゃん上!」

「了解」

 上から降ってくる無数の剣撃。

「やっば! りあ、フォロー!」

「か、かしこまりました!」

 二人で瑞希の剣撃を防ぐ。

 その隙に加奈が横から攻撃を入れる。

「ヤアー!」

「甘い!」

 加奈の攻撃を弾き、体制が崩れたところを突く。

「くっそー、一撃すら入れられないよ」

 悔しがる由香。

「最初と比べればだいぶ動きも良くなっているが、詰めが甘い。お前たちは身体能力と動体視力だけ戦っている。もっと頭を使って、二歩三歩先を考えて動くことが出来れば私にも一撃入れられるだろう」

 先ほどの一戦の反省点を洗い出しながら、経験値を積み上げていく。

「明日は現場に出ている四十四期生と模擬戦してもらう!」

「四十四期生?」

 首を傾げる由香。

「四十四期生は七名の神格者がいるが、Cランクの神格者三名に来てもらう」

 Cランクという事は、由香と同じランク。

 しかし瑞希と戦い、ランクだけで強さを測れないことを実感した三人は決して油断することなく作戦会議を始めた。

 ここ数日の訓練で、各々の得意な攻め方を得ていた。

 加奈は前衛、りあは前衛のサポート。由香は前衛の先、超先行型。

 性格に合ったポジションだが、攻めの陣営がメリットであり弱点になりかねない。

「やっぱり由香ちゃんが前に出て崩れた時の穴が大きすぎると思うの」

「でも、相手に先手を譲ると防戦に持ち込まれちゃうよ。うちら、守りはあまり得意じゃないから」

「じゃ、じゃあカウンターとかどうでしょうか」

「上手く釣れればいいけど、実践を経験している先輩達に通用するかしら」

「じゃあじゃあ、こう言うのはどうかな!」

「…………面白いと思う」

「わ、私も、由香ちゃんの案がいいと思う」

 色々な案を持ち入りながら、四十四期生との模擬戦を迎えた。

 訓練室。

「あんたらが四十五期生?」と吊り目の金髪女子。

「四十五期って三人しかいない不作の連中だろ?」目つきの悪い男。

「そんなこと言うのは良くないよ……」と二人と比べて控えめな男。

 以上三名。四十四期生を前にした加奈たちは、

(ちょっと感じ悪いね)

(でも、生き残って戦場に出てるってことは強いってことだよね)

(こ、怖いです……)

「何ヒソヒソ話してだよ!」

 気の短い男が声を荒げる。

雄馬ゆうま。少し大人しくしとれ」

「チッ……」

 瑞希に止められ、不機嫌ながらも従う雄馬。

「はぁ……今注意した男が鹿乃かの雄馬。横柄な態度だが、戦闘センスは四十四期生でもトップだ」

 四十四期生の紹介を始める瑞希。

「女の方が鹿乃かの麻衣まい。雄馬の妹だ」

 加奈たちは二人の荒々しい態度を見て、兄妹そっくりだと思った。

「最後に、頼りなさそうにしているのは伊東いとうれん。あれでも四十四期生のリーダーだ」

「あの人がリーダー……」

 意外そうな顔で見つめる加奈。

「今はあれでも、地上では鹿乃兄妹にも指示を出してちゃんと動かしている」

 人の言うことをあまり聞かなさそうな鹿乃兄妹を動かせる男。

 見た目以上に優秀なのかもしれないと警戒する加奈たち。

「これから三対三の模擬戦を行う。どちらかが敗北を認めるか、私が決着したと判断した場合、即終了とする」

 使用できる武器は木刀のみ。

 急所を狙わないなど、細かなルール説明を受け互いに位置につく。

 四十四期生。

「後輩に、地上の厳しさを教えなきゃだな」

「独り占めしないでよおにい

「油断はしないようにね」

 四十五期生。

「作戦通り、後手に回らないように」

「うちとりあが速攻で決めるよ!」

「が、頑張ります!」

「それでは、これより四十四期対四十五期の模擬戦を開始する。

 瑞希の合図と共に先に動き出したのは加奈たち。

「お互いの背中をカバーして」

 廉の指示に従い、鹿乃兄妹はそれぞれを背中合わせに武器を構える。

 廉たちの周りを高速で駆け回る加奈。

 訓練のおかげもあってか、身体能力のコントロールも問題なく、駆ける後に残像を残す。

「これって、瑞希教官の……」

 何かを察した廉。

「二人とも上に警戒!」

「「……!?」」

「くらええええ!」

 廉たちの上空から由香とりあ、二人で攻撃を始める。

 奇襲ではあったが、廉の指示でギリギリ防御が間に合い、由香たちの攻撃を防ぐ。

「クッソ! 読まれてしまった!」

 攻撃を凌がれた由香とりあは、一旦距離を取り加奈の元に戻った。

「今の、瑞希教官が訓練初日に見せた攻撃だったよね」

 語りかける廉。

「でも、防がれてしまいました」

 返す加奈。

「作戦としてはすごく面白いけど、僕たちも瑞希教官に鍛えられたからね。知ってる攻撃は対処できるよ」

 にっこりと笑顔で返す廉。

 この作戦は、由香が持ちかけた案。まだ瑞希の動きを完全に真似できない加奈たちは、三人で補い完成させた技だった。

「小賢しいことしやがって、次はこっちから行くぜ!」

 特攻する雄馬。

 その後方には妹の麻衣もいる。

「りあちゃん!」

 狙われているのはりあ。

「まずは弱い奴から落とすのが定石ってな!」

 勢いよく木刀を振りかざす。

 ガキン!

 なんとか雄馬の攻撃を防いだりあ。

「う、うぅ……」

 弱気な表情になるりあ。

「よく防いだな。だが……」

 後ろから付いてた麻衣が、雄馬の背後から二撃目を入れる。

 木刀がりあの横腹をえぐるように叩きつけ、そのまま訓練室の壁まで勢いよく飛ばされた。

「りあ! クッソぉぉ!」

 仲間をやられて怒った由香。

 鹿乃兄妹に詰め寄る。

「由香ちゃん、一人で行ったらダメ!」

 由香の特攻を制止しようとする加奈だが、

「行かせないよ」

 廉が立ちはだかる。

「さっき飛ばされた子と君はBランクなんだよね?」

「邪魔しないで!」

 両手で掴んだ木刀を本気で叩きつける加奈。

 ガキッ!

「そんな!?」

 廉は片手で木刀を受け止めた。

 負けじと連撃を繰り出す。

 カン──ガン──ガキ──ガキン。

 加奈の攻撃が軽くいなされる。

「Bランクって言っても現状は、Fランク程度だね」

 攻撃が全く通用しないと判断した加奈は廉と距離を開ける。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「りあ! クッソぉぉ!」

 仲間がやられて怒った由香は、加奈が止める声も届かず鹿乃兄妹に特攻した。

「お兄、来てるよ」

「おお、追加注文ですかぁ」

 由香は、横に並ぶ鹿乃兄妹をまとめて振り抜く勢いで横一閃振り払う。

 雄馬は飛び、麻衣はしゃがみ由香の攻撃を避ける。

 振り抜いた一閃は虚しく空を切る。

「まだまだぁ!」

 振り抜いた木刀の手首を返し、空中にいる雄馬に攻撃を繋げた。

「直線的だが悪くねぇ」

 木刀の反りに足を乗せ、下から突き上げられた攻撃を木刀と体重で受ける。

 腕の力だけでなく、両足の力も加わった防御。なかなか崩せず拮抗している最中、横から「あーしもいるんだけど」麻衣が由香の背後から蹴りを一発お見舞いする。

「ガハッ……」

 その場で倒れる由香。

「おい麻衣! お前、二人も仕留めんなよ!」

「お兄が手こずってるからじゃん」

「クッソ……廉の方は……お、まだ生きてんじゃん」

 由香が倒れるところを見た加奈。

「由香ちゃん!」

「お仲間はみんなやられちゃったね。この後はどうするの?」

 倒れた仲間を見て、何も出来なかった自分の不甲斐ないさ。作戦を考えて、きっとうまく行くと思っていた甘い考え。その結果招いた現実に、加奈は俯いた。

(お母さんなら、きっとこんな結果にならなかった)

「どうやら戦意喪失かな……」

 構えを解く廉。

 瑞希も状況を見て、加奈が諦めたと判断し腕を上げ終了の声を上げようとする。

「この模擬戦、四十四期の……」

「まだ終わってねぇよな!」

 雄馬が突っ立ている加奈に向かって特攻した。

 鋒を向け、勢いのまま貫こうとしている。

「雄馬、待て!」

 廉は止めようとするも、間に合わない。

「死ねやァァ!」

 ──────ガチン。

 火花と共に、静寂が訓練室を包み込んだ。

 

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