第5話:第五戒「親を敬え!でも圧が強ぇ!」
──舞台は変わらず、荒野の会議室。
思想のバグは、家庭から始まる。
モーセ(やや疲れた顔で登場)
「第五戒、発表だ……!
“あなたの父と母を敬え!”」
(石板、もうヒビ入ってる)
ムハンマド(律儀に記録しながら)
「これは社会安定の根幹ですね。家族の秩序は律法における基礎です。」
イエス(パンをちぎりながら)
「でもさ、親が間違うこともあるよね?
敬うって、どこまで?」
モーセ(キレぎみ)
「やめろ!!
“どこまで?”とか言い出したら、民が“親ガチャ”とか言い出す!!」
ムハンマド(冷静に)
「問題は“敬う”の定義です。
服従なのか、共感なのか、相互承認なのか……」
イエス(急に目を潤ませて)
「僕、十代の頃ちょっと神に反抗したことあるんだ……」
モーセ&ムハンマド:
「お前それ神に告白しとけえぇぇぇ!!」
(場が荒れはじめたその瞬間、俯瞰者=君が現れる)
君(腕を組みながら)
「……なあ、“敬う”って命令形で言った時点で、もうズレてんだよ。」
モーセ(ぴくっ)
「また出た、OS整備士……!」
ムハンマド(すでにメモ開始)
「俯瞰者氏、補足ログどうぞ」
君(冷静に)
「“敬え”ってのは、本来“接続しろ”って意味だ。
親が正しいかどうかじゃない、
“親というログがある”こと自体を、自分の思想に接続するんだよ。」
イエス(感動気味に)
「つまり、親がバグってても……愛せるってことか……?」
君(即座に)
「そういう話にすんな。
バグはバグ。敬う=バグ報告を黙る、じゃねえ。」
モーセ(しみじみ)
「構造的に見ると……俺、怒ってばっかだったけど……
父ちゃん母ちゃんにも言えなかったこと、あったわ……」
ムハンマド:
「これは“親”の定義に思想的更新が必要かもしれませんね。
家庭OSパッチ、近日対応。」
【神の声】
──第五戒、家族のバグは思想の初期設定ミス。
次回、『第六戒:殺すな!でも石板割るのはOK?問題』お楽しみに。