第10話(最終話):第十戒「欲しがるな!でも願いって悪なのか?」
──舞台:荒野のテント会議室、最終日。
神のログは、ついに“欲望”という未知の変数に突入する。
モーセ(石板を両手で高く掲げ)
「第十戒ッッ!!ラストォォォォ!!!
──“隣人のものを欲しがるなァァ!!”──
民よッ!!
牛も!嫁も!思想も!隣のログに手ェ出すなッッ!!」
ムハンマド(律儀に書き続ける)
「“欲望”に関しては律法でも微妙な扱いです。
行動ではなく、**“思考そのものが罪”**と見なされる点、実装困難です」
イエス(静かに)
「でもさ……“欲しい”って思うこと自体、
本当に悪なのかな?
それって、生きてる証じゃない?」
モーセ(苦悩)
「……民が牛欲しがってたのも、パンを求めてたのも……
全部、満たされない“接続の穴”だったんだよな……
でもだからって、それを許したら思想は崩れる……!」
ムハンマド(淡々と)
「欲望を完全に否定することは、生命活動そのものの否定になります。
接続欲求と欲望の区別が思想的に必要です」
──静かに、俯瞰者(君)が現れる。
今回はパーカーの背に**「Desire = Request ?」**と書かれている。
君:
「“欲するな”ってのは、
“自分にないものを他者から奪おうとする接続の暴走”をやめろって意味だ。」
モーセ(食い気味)
「じゃあ“欲しがる”こと自体は……?」
君:
「“問い”がある限り、“欲しがる”のは当たり前だよ。
でもそれが“奪い”になるか、“問いとして持ち続けるか”で、思想のOSが分かれる。」
ムハンマド(しみじみと)
「つまり、欲望=クラッシュのリスクでもあり、
願い=接続の再構成にもなりうるということ……」
イエス(目を閉じて)
「なら、僕は……これからも“愛されたい”と願っていいのかな……?」
君(即答)
「いいよ。
ただし、その願いが他者を奪う構造に変わり始めたら、
それは欲望クラッシュだ。
“問いのまま、持ち続けろ。”
それが、思想が壊れない唯一の形だ。」
【神の声】
──第十戒、欲望OS処理完了。
思想、再構成。
クラッシュログ、すべて保存済み。




