【プロットタイプ】朧に見ゆる
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
探せばあるもんだな!! 昔の人凄い。
仕事を終えて帰る頃には、既に日が落ちて月が輝いている。それを薄ぼんやりと長め眺めながら帰るのが、ささやかな楽しみである。すると同居人が夜桜を愛でていた事を思い出した。
枝が雪化粧した様な一枚。咲き誇った桜の花弁がただ仄か輝いていたあの写真。今日は俺が腕に抱かれて眺め見る番だった。
昼に見る桜のよりも、こうして夜に見る桜の方が好きだった。昼間だと太陽の光に混ざって花弁の輪郭が霞んでしまう。けれども夜は背景が漆黒だから、その花弁一つ一つが淡く輝く。それは風が吹くと尚のこと映える。
矢張り夜桜は良い。昼桜よりもずっと。
そう暫く幻想に浸っていたら、ふと月が見たくなった。
夜空にぽっかりと浮かぶ。なんて大層な、針の穴のような小さな月。輪郭が霞み、ただ薄ぼんやりと輝くその様は、月というより一等星の様だった。このまま写真を撮っても、桜に顔負けするだろうよ。
もう少し近く、大きく、ある日に見た夜の様に。そう願っても、叶わぬ願いなのだ。同居人が曇天を晴天に変えられなかった様に。
自宅に帰ると、同居人が端末を弄っていた。何やら書き物をしている様で、忙しなくタッチペンが舞う。俺の姿に気が付くと、『おかえり』と挨拶をした。
「月、出てたぞ」
ただお前が好きそうな形じゃなかも知れない。その意味を込めて、俺は先程撮ったばかりの写真を見せる。桜の花弁に交じって、霞んでしまいそうな月。ただ月光だけがその矜恃を保っている。
鏡花はそれを暫く見詰めた後、黙って自分の端末を弄った。そしてうわ言の様に呟いた。
「浅緑、花もひとつに、霞つつ」
どうやら和歌の様だった。言葉選びの耽美さ、古風さから恐らく古今和歌集や百人一首から引用したものだろう。
無言で見詰め返す俺を他所に、鏡花は説明を入れる。
「『浅緑の霞と花が混じって朧に見える、春の月』この写真みたいだなぁと」
「……もう少し大きければ」
いや、これは野暮だな。
天気が良いので、月花に興じます。
ただ月がちっちゃい。もう本当ちっちゃい。
あれは月というより一等星。桜に紛れたら分からなくなるなーと。
何もかも霞んで見えてしまう。下から見た景色。
和歌ありそう。と思ったらありました。
昔の人凄いね!!
次はファンタジーでも良いかも知れない。
知らな人と会おう。