001_テスト配信開始、残り99回。
Youtubeの画面が映ります。
そこに現れたのは、二次元モデルのイラストで書かれた、犬っぽい姿の人型です。
もふもふ、灰色主体、長い眉毛に隠された、小さな黒い目、メガネをかけています。
長く突き出たお口を、数度開け閉め、ぱくぱく、小さめな白い牙と口内の赤が見えます。
初配信テストと書かれた変なTシャツに、白衣を羽織っています。
動画配信のタイトルは、技術系vtuber、テスト配信全100回予定の1回目、とあります。
「Hello World、うん、声出てるね」
男性の声とも女性の声とも、いうならば、犬っぽい声がスピーカーから響きます。
「タイトルにもあるとおり、技術系vtuberのコボルトハカセです」
「名前はまだないですね」
「特につける必要性も感じないわけですが」
「web上の動画配信サービスに乗っかって、実働テスト中の機体なのです」
「あと、配信そのものの練習とか、そんなかんじで生まれたキャラなので」
「同接は練習研究実験に付き合ってくれている身内一人という感じだからねぇ」
「twitterなんかでも告知しているわけでもないし」
「むしろそれでもリアルタイムで駆けつけられるユーザがいた方が怖い、よね?」
「コボルトっていうのは、ファンタジーな世界の住人で」
「犬頭の人でそう間違っていないですね」
「坑道に住み着いて、色々悪さをしているとう伝承がある、のかな?」
「銀を腐らせたりねw」
「モンスターコレクションを読んだだけの知識なので、偏ってるよ」
「まあ、この子の容姿は趣味かな?犬好きだし」
「そうそう、このキャラの感じで探偵ものをしていたアニメ、あれのリスペクトでもあるよw」
「探偵の方じゃなく、教授の方だね」
「キャラデザは、もっと昔のアニメ、レースが猛然とされていたやつのオマージュ?」
「いや、ししし、とかは、笑わないよ?」
「飼い主というか、餌をくれる下僕の魔王もいないしねw」
「私は自立しているのだ、誇り高き犬ころである」
「そして、名前はまだない」
「うん、ちゃんと動くね」
「エモーション、感情表現も不具合なし」
「レスポンスも良いねー」
「声も良く出ているよ」
「基本キャラの動きとか、発言?発声のテストとか?」
「流行りのゲーム実況の練習とか?ラジオ的な何かとか?」
「企画の計画実行のパイロットケースとか」
「アニメ的なコンテンツとか、音楽とか」
「諸々、試していくチャンネルだよ」
「アーカイブは残す方向で」
「センシティブにはなりようがないよ?犬だし」
「……え、犬の方がやばいの?日本終わってない?」
「テストなので、基本配信は超短めだよ」
「100回で終了予定だね、じゃまたね、”ししししし”」
「笑ってんじゃんw」