(53) 赤備えの者達
今回、区切りの関係で普段の2話分くらいの文量となってしまっています。すみません。
◆◆◇タチリアの町・政庁◇◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
タチリアの町の政庁にある一室に、赤い防具で身を包んだ者達の姿があった。
ラーシャ侯爵家は、古くからその赤備えで知られており、前回の魔王討伐時に初期から最終決戦時まで継続的な戦力供給を成し遂げ、さらに名を高めた経緯がある。
円卓の一席は、年若い赤鎧姿の人物によって占められている。その青年ダーリオは、侯爵領内で四柱石家と称される有力四家に数えられるホックス家の出身だった。
「おい、赤鎧は座れよ。侯爵家の一員を迎えるのだから、揃っているべきだろう」
口調はやや横柄だが、若者にありがちな範疇には収まっている。内容自体はもっともなので、三人の赤鎧が動き出した。
平時には赤い縁取りをした革鎧を着用するのが常だが、赤鎧達は既に戦時の装いに切り替えている。赤く染めた金属板を組み合わせた防具が付加され、防御力が高められていた。
赤備えとして知られるラーシャ侯爵家の軍勢には、金属が使われた赤鎧に身を包む騎士と、赤の額当てを着用するやや軽装の従者に、盾と要所限定の鎧を装備した赤服の兵士、そして、赤鉢巻が目印の小者と呼ばれる者達が含まれる。この場には、四者が混在していた。
「まったく、なんで兵士や小者と同じ部屋なんだ。しかも、赤鎧四人といっても、連携不能な女騎士と「なまくら刃」に、優男の弓使いとはな。これじゃ、戦列も組めやしない」
彼の周囲に腰を下ろした三人は、若い赤騎士の悪態を気にする様子もない。
幼さの残る顔立ちの女剣士は、同じく有力家出身である若者に強い眼光を向けている。ただ、目力が強めの彼女にしてみれば、特に睨んでいるわけでもない状態だった。ゆるくふわっとした薄桃色の髪は、月明かりの色に似ている。
いかにも風采の上がらない風情の「なまくら刃」の一人である中年男性は、整えられた濃茶の髪に手をやりながら、いやあ、などと口にしながらも反論する気はなさそうだ。
優男の弓使いと言われた青年は、微笑みをたたえながら優美な風情を維持している。こちらにも、気分を害した様子はなかった。その背後には、目の細い従士が油断のない身のこなしで付き従っている。
「なあ、エスフィール卿についての噂は知っているか?」
にたりと笑いながら、ダーリオが問いを投げつける。唇を歪めた笑みは、彼に悪相めいた印象をもたらすのだが、本人にその自覚はなかった。
着席した三人に、反応する素振りはない。赤騎士の青年はやや気勢を削がれたようで、フンと鼻を鳴らす。
「まあ、噂が事実なら、後嗣の話も流れるだろうがな。ともあれ、柱石家から二人、中位から一人が加勢するとなれば、ひとまずの格好はつく感じか。直臣に逃げられたエスフィール卿にとっては、こんなんでも大きな助けになるだろうな。……この場は俺が仕切るぞ。異論はないだろうな」
「あなたが仕切るんですの?」
薄桃髪の女騎士、サズーム家のルシミナが強い視線を維持したままで疑問を投げかける。
「文句があるってのか? 家格的にも問題ないだろう」
「特に文句はございませんが……。どなたが仕切るかは、家格で決めるものなのでしょうか」
小首を傾げるさまは、顔立ちに残る幼さも影響して愛らしい少女に見える。
「戦列主義を取る以上は、当たり前じゃないか」
「……エスフィール卿は、戦列主義を採用されますかね?」
疑念を呈したのは、「なまくら刃」と評された風采の上がらない中年騎士、シャルフィスだった。有力家の若者を前にしても、声に臆した調子はない。
「統率のラーシャが強みを捨てるわけがないだろう」
「けれど、戦列を築くだけの人材がいないように見受けられますが」
弓使いと評されたエクシュラも、穏やかな声音で話に加わる。自分より下位のはずの者達の態度が、ダーリオを逆上に向けて導いていく。
「俺が九男だから、バカにしているのか」
ダーリオとは、この地の言葉で「九番目」というくらいの意味合いだった。目が見開かれると、三白眼気味なのもあって表情がきつくなる。
「貴方が九男であるかどうかは、今の話には関係はございませんわ。そうですね……、貴方がホックス家出身なのが無関係なのと同じくらいには」
女騎士の言葉は本心からのものだったが、自らの出自を重視しているダーリオにとっては、九男だから軽んじているとの宣言に聞こえた。激しかけたところで、扉が開かれた。
入ってきたのは短めの青い髪の、ラーシャ侯爵家の後嗣とされている人物である。
「やあ、待たせてすまなかったね。ボクは、ラーシャ家のエスフィール。ゴブリン討伐への助力を表明してくれて感謝しているよ」
部屋の中央に進み出たエスフィールは、黒髪のやや年長の少年を伴っていた。周囲にいた戦士や小者が一斉に姿勢を正す。必ずしも円卓の赤鎧達を無視したわけでもないのだが、結果としてはそういう形となった。
エクシュラは優美な身のこなしで、シャルフィスは無駄のない動きであっさり立ち上がり、主家の若者の方へと歩み寄る。一挙動で立ち上がった細身の女騎士もそれに続くと、ダーリオもやや遅れて、気の進まぬ様子が反映された動きで立ち上がった。
「皆のことは戦力として期待しているんだけど、まずは実際に軍勢を仕切るタクトから質問があるんで、答えてくれるかな」
そう口にしたエスフィールが、隣の黒髪の少年に話を引き継いだ。
「早速だが、糧食輸送や破損武器の補修に、宿営地の設営あたりを把握している人間はいるか? 寄り合い所帯でそれぞれに流儀が違っていてな。できれば統一したいんだ」
問われた内容は、どちらかと言えば小者達の守備範囲ではあるが、今回は領主筋の質問に即応できるだけの熟練者は参加していなかった。まごついていると、円卓の方から小馬鹿にしたような声が響く。
「そのあたりは、「なまくら刃」のおっさんの領分なんじゃないか?」
「なまくら刃……?」
唇を歪めて笑うダーリオに、少年魔王が目線を向ける。そこに進み出たのは、濃茶の髪の中年騎士だった。
「シャルフィス・ロコルと申します。お訊ねの方面は、小者と呼ばれる者達の担当分野なのですが、侯爵家の方々への直答はきついと思われますので、間に入らせていただきます。確認されたいのは?」
タクトが、糧食の品目、輸送方法、輸送隊の護衛も含めた編成、調理についてと、武具の整備、交換をどこまでやるか、宿営地の設備など、質問事項を並べ立てた。
「人数の想定でだいぶ変わってきますが、そのあたりは」
「今回は、純粋な戦闘要員で二百くらい、設営の手勢も含めて最大で三百くらいと思われる。日数は、ひとまず十日といったところか」
想定を与えられたシャルフィスは、その場でまとめた案を淀みなく説明していく。
「ただ、日数だけでなく距離も重要な要素となりますが」
「もっともだ。地図を見てくれるか」
タクトが持参した地図を円卓に広げる。そこには、南方の村々と砦、それに東側の山の地形が描かれていた。補給拠点と移動距離について詰めていくにつれて、作戦が大まかに形になっていく。
「いやあ、後方を理解して説明ができる人物がいてくれるってのは、とても助かるぞ」
「恐縮です」
「はっ、戦列にもろくに参加できない「なまくら刃」だぞ。当主のひいきで過分な評価を得ているだけじゃないか」
吐き捨てたダーリオの声には、明確な侮蔑の響きがある。魔王タクトが、そちらに顔を向けずに応じた。
「どれだけ鋭い刃が揃っていようが、補給ができなきゃ実力は発揮できんだろうに」
「そんなものは精神力で……」
「どこかの国の軍人みたいなセリフだなあ。ま、しかし、そこを評価する当主がいるってのは素晴らしいな。……待てよ、その当主ってのは、病に臥せっているっていう侯爵のことか?」
「そうそう、ボクの父親」
「まあ、家中でそこが重視されているなら安心だ」
「それが、そうでもないんだよねえ」
エスフィールが、少し困ったような声で応じる。
「ん? そうなのか? ……そう言えば、そんな重要人物が、どうしてこんなところに」
「こんなところとはひどいや」
「悪い、悪い。だけど、侯爵の弟二人が柔風里のベルーズ伯爵領に攻め込むんだろう? まさに、補給の専門家が活躍する場面じゃないか。まあ、他にもいるのかもしれんが」
「いや、それが……。私のような立場の現役騎士は三名おるのですが、ビズミット卿とザルーツ卿には、いずれも不要だと申し渡されまして」
「侵攻作戦を実施するのに?」
「ええ」
「当たり前じゃないか。戦列にも加われない「なまくら刃」なんて、役に立つはずがないだろう」
割って入ったダーリオの言葉に、自らの正しさを疑う気配は見られない。
「……そういう話になっているのか?」
「はあ」
シャルフィスが言葉を選んで説明したのは、次のような内容だった。
かつて現当主が中央域への出兵を指揮した際に、補給不足で苦労する中で、彼らの先達を含めた一部の下位騎士が糧食確保や武具整備に奔走したのだという。前線での武勲だけでなく、後方をまとめた者達を称賛したところ、特に留守居役だった者達が不満を抱いたらしい。
その気配を当主の弟達が利用して、彼らを「なまくら刃」などと称して貶めたというのだから、ひどい話である。病身の当主は亜人にも融和的だったために、対抗する形でビズミットとザルーツが亜人排斥に動いたのも同じ文脈だった。
とはいえ、タクトにとってはこの人物の話が聞けるのは、とてもありがたい事態である。相談は続けられた。
「ただ、水場があまり期待できなさそうですな。道が悪いとすると、そこが難点となりそうです」
「ある程度なら、エルフの水魔法使いが供給してくれそうだが、足りないだろうな」
「水魔法を、飲用水向けにですか?」
「問題あるか? ベルーズ伯爵領からの撤退行では、融通してもらって重宝したんだが」
「いえ、問題と言うか……、貴重な魔法をそのように使う事態は考えづらくてですな。ただ、そうしてもらえるなら、とても助かります」
「おい、待て。今の話の問題点は、そこじゃないだろう? エルフが参加するのか?」
また割って入ったのはダーリオだった。口許に浮かべていた笑みは消し飛んでおり、どうやら本気で驚いているようだ。
「ああ。冒険者にも亜人はいるし、ベルーズ伯爵領で虐殺されかけたエルフやドワーフ、犬人族を救った関係から、彼らも参加してくれているぞ」
「野蛮な者達が、魔法を不正に使うってのか。ラーシャの、帝王国の軍勢としてふさわしくない。エスフィール卿、そんなやり方は否定すべきだ」
目が見開かれると、悪相ぶりがまた強調された。穏やかな表情の間はそうでもないので、より強い印象をもたらす。
「そう言われてもねえ」
エスフィール卿としてはまともに取り合うつもりはないのだが、相手が有力家の一員だけに、敵に回しづらいという事情もある。
応じたのはタクトだった。
「……なあ、聞かせてもらえるか? 亜人はどうして野蛮なんだ?」
「人が崇高であるのに対し、亜人が野蛮であるのは当然だ」
「なんで当然なんだ?」
「教義の初歩の初歩じゃないか」
「教義……って、天帝教のか? 他者の言いなりになって、罪のない亜人を迫害する方が野蛮に思えるが」
「他者だと? 神の言葉が信じられないのか。貴様、さては異端か」
「いや、そもそも天帝教とやらの信者じゃないから、異教徒かな。精霊には世話になっているから、信じるなら断然そっちだなあ」
ダーリオがまた目を見開き、さらに激しかけたタイミングで中央の扉が静かに開いた。入ってきたのは、灰色の髪のダークエルフだった。
「お、セルリア。忙しいところに悪いな。こちらのシャルフィス殿が、ラーシャ侯爵家の軍勢の補給あたりに通じておられる。詳細を詰めておきたい」
「承知しました。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
シャルフィスには紹介された相手の素性を気にする様子はない。少なくとも、表には出していなかった。
「ちょ、ちょっと待て。ダークエルフだと。亜人どころか、魔物じゃないか」
「……おい、エスフィール卿。そこからなのか?」
「実はそうなんだ」
てへへと笑った侯爵家の後嗣をタクトがひと睨みし、息を吐いた。
「自己紹介が遅れたな。俺の名はタクト。魔王だ。だから、配下に魔物がいるのは当然だ」
「まおう……ですか?」
問い返したシャルフィスの声には、さすがに驚きの響きがある。
「ああ。魔王だ」
「御冗談……ではないんですよね」
「いや、嘘に決まってるだろう。大きく見せようとしてるだけさ」
赤騎士の言葉に苦笑したタクトが、【欺瞞】スキルを解除した。小者達が気圧されて下がっていくが、騎士達はさすがに怯えた表情は見せない。すぐに剣を構えたのはゆるふわ薄桃髪の女剣士ルクシナと、弓使いと呼ばれたエクシュラの従者、アクシオムだった。
そこに轟いたのは、エスフィール卿の硬い声だった。いつものほにゃっとした声音とは明らかに異なっている。
「剣を下ろせ。ボクは、この魔王タクトを信頼して、共に闘おうとしている。その方針に従うのがイヤなら、出ていってもらおう」
威圧的な視線を浴びても、剣を構えたままのルクシナに気圧される様子はない。幼さの残る顔立ちからの強い視線が、主家筋の人物に向けられる。
「魔王を信用されるのですか?」
「うん。南方の村々が無事なのは、このタクトのおかげだ。領主一族の怠慢を、自らの判断で埋めてくれたんだ。それだけで、今は充分だ」
「罠なのではありませんか? 油断させて、支配するつもりかもしれません」
なおも言い募る女騎士に、エスフィールは静かに応じる。
「ゴブリンに蹂躙されるより、タクトに支配される方がマシだと思うよ。……ただ、騙し討ちができるほど器用には見えないけどな。本人は策士のつもりみたいだけど」
そう評されたタクトは苦笑している。
「承知いたしました。エスフィール卿がそう覚悟を固めておられるのなら、わたくしも従いましょう」
ルクシナがしなやかな動きで剣を収める。続いて、主君の目配せに応じたアクシオムも剣を引いた。
その流れで【欺瞞】スキルが再び発動され、後方についての話が再開される。糧食の品目から、鍋を持つ従卒の比率に、採集すべき山菜や果物について。さらには、雨天対応の天幕の準備や、それを踏まえた野営地の選定方法、などなど話題は尽きなかった。
もっとも、シャルフィスとの対話は、主にセルリアが担当する方向に移行したので、タクトの体が空く形になった。声をかけたのは、先ほどの剣呑なやり取りの際にまったく存在感を示さなかったダーリオだった。
「おう、タクトとやら。補給よりも、もっと重要なものがあるだろう」
「なんだっけ?」
タクトには、特に含むところはない。その問いは素直な反応だったのだが、相手はバカにされたと取ったようだ。
「戦列をどう組むかだっ」
「戦列って、ラーシャの特徴的な戦法ってやつか。現状の人員で組めるのか?」
「いや、赤備えの人数が絶対的に不足していて組めない。だからこそ、どう集めるかを考えるべきだ」
「そうは言ってもなあ。……冒険者や志願兵で代用できるものか?」
「ラーシャの戦列は赤鎧だけで構成されるべきだ」
「じゃあ、仕方ないなあ」
そこで声をかけてきたのは、ダークエルフとの対話を一時中断させたシャルフィスだった。
「よろしいでしょうか。やりようによっては、戦地での募集兵や傭兵で穴を埋めるのも可能です。中央域への出兵の際にも実例がありますし、かつての魔王討伐戦の際には、定数が揃った時期の方がめずらしかったと聞きます」
「そんなものは、ラーシャの誇るべき純粋な戦列では……」
「なあ、ちょっと黙っててくれ」
静かに声を発したのは、エスフィール卿だった。やや気圧された表情のダーリオが、力なく椅子に腰を下ろす。そうなると、先ほどまでの悪相ぶりが憑き物だったかのように失せていた。
替わって、ややためらいがちに聞いてきたのはルクシナだった。薄桃色のゆるふわな髪がしゃらりと揺らぐ。
「……ゴブリン討伐に、戦列を採用なさるのですか?」
蒼い瞳には、真剣な光が宿っている。タクトはあっさりと首を振った。
「いや、実現したとしても限定的な活用になるだろう。現状の戦力では、弓と魔法で相手を牽制し、機動力でかき乱すのを狙っていく形となる。加えて、できれば相手をこちらの有利な戦場に誘き寄せたい。俺達にとって有利というのは、障害物が多い場所だ。戦列には向かないよな?」
「なんと、弓も活用されますか?」
身振りで驚きを表現しつつ質問したのは、弓使いと呼ばれていたエクシュラだった。騎兵と歩兵とで戦列を構築し、一体的に運用するのを至上の戦法とする現状のラーシャ侯爵家にとって、弓は余技のようなものでしかない。騎士に対して使うときの弓使いとは、侮蔑の響きが強い言葉なのだった。
「もちろんだ。このセルリアは弓の名手だ。剣で倒そうが、弓で射ようが同じだし、遠距離から攻撃ができる意味は大きいだろ?」
「それでしたら、お役に立てそうです。……他に必要な戦力は、どうお考えですか?」
「個体としての戦闘能力に秀でた者がいると助かる。身分は問わない。騎士でも、小者でも、農民でもかまわん」
「その点では、ルクシナ殿は頼りにされてよいでしょう。それと、我が従者のアクシオムも、お役立てください」
「いえ、私はエクシュラ様のお側に……」
「アクシオム。お主がミットル家の武威を示すのだ。それが、広い意味で我が身を守ることになる」
「……お言葉のままに」
赤い額当ての剣士が、うやうやしく胸に手を当てた。
説明不足を自覚したタクトが、改めて周囲に向けて言葉を発する。
「個人としての戦闘能力がずば抜けていない者達には、後方の支援とエスフィール卿の側で支える役割を頼みたい。……シャルフィス殿、知恵を貸してくれるかな?」
「もちろんです。……ここまでの話で気になるのは、設営の手勢についてですが、こちらの役割は?」
「攻勢をかけるにしても、できれば迎え撃つ形を取りたい。そのための防御陣地作りを考えている。ゴーレムも投入するつもりだが、ドワーフを含めたそれほど戦闘向きでない者達もいてな……」
話は尽きず、多岐にわたる討議が行われていった。
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