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【恋の灯火】
その恋は
きっと生涯の中で一番最高に
己の全てを捧げられただろう
その人の全身全霊を愛していた
――……夢を見た……
あの人の瞳に映る自分
私の名を口にするあの人の声
肌の温もり
あの人の周りの空気
……心地良い最高の一言
――「Forever Love You」――
何故……
人は一人では生きてゆけないのだろう
人は必ず二人で一つで
そのどちらかが欠けてしまったら
残るのは一人だけになる
一人この荒んだ世の中に残されるのは
余りにも苦しく辛い
――「ずっと傍にいる」――
その言葉を残して手の届かぬ人になってしまったあの人
……今となっては皮肉でしかない
もし……
ただ一人で生きることに乗り越えられた者がいたならば
その者はこの世で誰よりも強くあるのだろう
もうこの世のどこにも感じられないあの人に
今日も一人
再会するその時まで生きている