【ゲシュタルト崩壊】
「私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。
私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
もしも縁があって、私たちが出会えたのならそれは素晴らしいこと。
出会えなくても、それもまた素晴らしいこと」
【ゲシュタルトの祈り(フレデリック・パールズ)】の詩より。
幸せって何だ。
人が育む理想だ。
希望とは何だ。
人が求める幻だ。
光とは何だ。
人が欲する安心感だ。
しかしこれらは完全ではなく、時に悪戯に人を惑わせ、泡沫と彷徨う。
今ほど真の孤独を極限なまでに痛感した事はない。
言葉を求めても返事をする声はなく。
必要とする時に、答えてくれる者もない。
今日は嬉しい知らせが届いたのに、冷静になると同時に恐怖に飲み込まれた。
幸せを恐れ、希望を疑い、光から逃げ出したくなった。
なぜならそれらは決して必ずしも、永遠にそこにとどまる保証がないからだ。
得たものはいつかは失う。
失う時の衝撃は、得た時の喜びよりも格段に巨大だ。
それを幾度となく味わい続けてきて、もう満腹でこれ以上入らない。
だから私には、少し身に余り過ぎて、受け止めきれる自信がない。
疑う事しか出来なくなり、何も信じられなくなるまでになると、縋る藁さえそこにはない。
当たり前の事さえも、偽りで見知らぬものに、見えてくる。
そして私は一体誰に、助けを求めると言うのか。
こんなにも、手の施しようがない程壊れてしまった、たかが個体の分際のくせして。