【自分が消滅する日】
痛い
痛い
俺は痛む胃を押さえながら
嘔吐を催す
痛い
痛い
そして今度は痛む心に苦悶しながら
脳が精神の異常に警告を促がしているのを
半ば朦朧として感じ取っていた
そうして俺は
意識を手放す
放心状態
目まぐるしく変化するニュースをボンヤリ眺めながら
結局はこれだけは変わる事のない現実を悟る
報道される犯罪のリポーターの声が
俺の頭をぐちゃぐちゃに掻き壊す
ああ
またか
またなのか
信じていたのに
期待していたのに
少しでも身近な可能性と
重ね合わせ参考にしていたのに
終わらないものなのか
やめられないものなのか
また繰り返されるものなのか
いくつもの犯罪の中で
断然トップに躍り出ている再犯率の高さに
俺の心は惨めにも壊れ始める
もし
その時が来たら俺は今度は
どうするのだろう
こんな時
愛する者に慰められたいと思っても
無理なんだ
何故なら相手は全ての詳細までは知り得ない
それは俺の方だって同じ事なんだ
俺も結局
愛しているのに彼女の心の細部までを
見通し気付いてやる事は出来ないだろうから
だから今この瞬間
俺の身に起きている苦痛まで
彼女が気付ける筈もない
それはそれで
仕方がないことなんだと思う
どんなに語り倒したところで
実際ともに同じ経験をしなければ実感がわかないのが
紛れも無い事実なのだから
だからと言って
俺はそんな愛を責めるつもりもないし
そんな彼女が悪いとも思わない
愛とは結局
全く違う環境で生きてきた他人同士の関係から
始まるのだから
最初からも
そして一生涯かかっても
同じ経験を味合わなければその詳細を知り得る事は
出来ないものだ
だから
悪意の一切ない彼女からの普通であっさりとした連絡を受けても
仕方がないのだけれど
しかし人は悲しいかな
そうとは分かっていても今こんなにも苦痛を味わっている自分を
慰めて欲しいと願わずにはいられないんだ
俺はそんな味気ない彼女からの連絡に
白けながら無味乾燥の心で受け流す
そしてふと将来のことが脳内に過ぎる
信ジテイル者ニ マタ裏切ラレタ時
愛シテイル者ヲ 失ッテシマッタ時
果タシテ俺ハ マダコノ世ニ存在シ続ケル事ガ出来ルダロウカ――
俺は思う
きっとその時こそが
自分がこの世から消滅する日になるんだろうと……
自分の心を砕いて
自分の体を
――壊して