【fall】
堕ちる
堕ちる
堕ち続ける
今も尚
ずっと
その降下はいつまでもいつまでも
止まる事無く
底もなければ光も見えない
漆黒の闇
しかしこの眼を覆うは
紅蓮の緋
今まで触れてきた喜びは呆気なく霧散し
気休めな慰めでしかなかった事を知らしめてくる
自分には
確固たる喜悦の人生など不可能なんだよと
嘲笑的な声が時々忘れた頃に聴こえてくるんだ
そんな自分を戒め
まるで現実に帰す儀式の様に
我が肉体を刃で刻み付ける
流血すればそれは炎となり、
消えかけていた我が心を深紅の灼熱とするが
失敗して切れ味の悪い刃を選んでしまうと
ただ悪戯に蚯蚓腫れになるだけで表皮一枚 切れやしない
すると蓄積していた心の毒が
出口を求めてついに体中に溢れ出して来る
そうなるとまるで何かに憑依されたかのように
トランスして地獄の門を開け放ってしまうのだ
お前の人生には意味はないんだと
理由もないんだと
侮辱され続けるダークホールに
いつまでもいつまでも堕ち続ける
気付かせるように
思い出させるかにして
闇は囁く
『お前は忘れていただろうけど
実はずっと今までこうして堕ち続けていたんだよ
それからただ
お前が目を背けていただけだ――』
気が付くと
一日がほんの一瞬のような速さで終わり
夜を迎えている
だから今度は
眠りに堕ちる
朝の訪れを告げる
光を求めて――