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【人はこの世に生まれ】
これまで
何千何億と言う時が流れ
何億何兆もの人間がその中で生涯を生き
終えていった
これから先も
こうした同じ状況は続いていく
その数え切れない幾億幾兆という
莫大な“人の生涯”の中で
自分の人生は一粒でしかない
その一粒さえも
莫大なる時を収縮してしまえば
その他の命の粒全てと一つに溶け込んで
最早“一人の人生”という個ではなく
その存在すらも無に等しいまでに同化して
永久に自分の人生という歴史は失われてしまうのだ
だからこそ
自分の人生を精一杯生きて
決して失われぬ生涯にしたいではないか
歴史に名だたる偉人達はそうしてきた
有名になる為ではなく
ただ己の生涯を懸命に生きただけ
だからああも
美しい
この世に生を持つと言うのは
そういう事なのだ