【幻想に消ゆ】
最近私は
気が付けば貴方の事を想っている
まだ姿も声も 知らないのに
一日一回は 貴方の事を考えてしまう
いけないと分かっていても 願わずにはいられない
是非貴方にお会いして見たいと
こんな自分を 愚かだと思う
でも結局私は やはり女なのだ
悲しい事に 女なのだ
あれだけの遣り取りを交わせば、心惹かれるものもあろう
まるで探り合うように
それは恰も男と女の駆け引きに似ている
だからだ
こんなにも動揺し 心が高鳴る
密かに抱く恋心
駄目な事だと分かっているのに
罪を犯す事になると自分に言い聞かせる度
更に余計日々増してゆくこの想い
貴方の言葉が
私の心を潤してゆく
声無き文字が
恋慕となってこの心を湿らせてゆく
一層カラカラに乾燥しきって
この心乾涸びてしまってさえいれば
密かに寄せるこの想いを
蒸発させてくれただろうか
分かっている
もう私にそんな 誰かに恋する権利が無い事は
分かっている
もう私には 自分の為の人生が存在していない事は
分かっている
私はこの世に生まれ落ちたその時からもう
日なたの下で生きる事が許されぬ人生である事も
常に日陰でひっそりと
何者かの肥やしとなり糧となり犠牲となる為だけの存在として
このつまらぬ運命の元に生まれ落ちた
自分以外の他人の人生に
道楽を与える為のその踏み台として
いつも地の底から空を仰ぐが
青空はいつも眩しく澄んでいて
私の傷だらけの心には刺激が強すぎる
安らげるのは
闇夜に輝く星々と優しく照らす 冷たい月
その月に 手を伸ばす
いつからかは 分からない
気が付けばいつも漠然とした何かを求めて
夜空に向かい手を伸ばしてきた
そして今は 貴方を想う
この薄暗く湿った人生の中
重々しい空気を纏った私は
貴方の事を考える
もしかしたらこの人生から
解放されるだろうかと身勝手な理想も覚えながら
貴方は今まで
私の周りにいなかった男
それは決して刺激の強すぎる
真昼の太陽でもない
ただ気が付けば私の人生の中に入り込んで
無意識の内に寂しい私の傷付いた心を 癒してくれていた
貴方からの言葉を受け取るだけで
束の間の幸せを与えてくれる
それはまるで溶け込むように心和ませてくれる
夕暮れの空の様な貴方
刺激的過ぎる直射日光でもなければ
ひっそりと寂しさを突きつけてくる
夜の冷たさでもない
顔も声も知らないのに
こんなにも私の心を惹かれさせる
貴方の言葉が放つ優しさ 魅力 魔力
逢いたい 貴方に
こんな愚かな私を許して下さい
私は実に寂しく 重たい女だ
こんな真似をしたって
貴方に負担を与えてしまうだけなのに
私の今まで背負ってきた苦痛という重荷の
犠牲にしてしまうだけだ
こんな私の告白を聞いたら貴方は
重荷を感じて避けるだろうか
嫌いになるだろうか
逃げて行って しまうのかな……
それが怖いから
だから私はひっそりと
心の内だけで想っている
貴方に惹かれてしまったこの気持ちを
口には出さずに心の引き出しに閉まっておこう
貴方にもっと
早く知り合いたかった
今すぐにでも貴方の元に
駆け出して行きたい
貴方さえ許してくれれば
……でもそれは叶わぬ願い
せめて声だけでも聞いてみたいとも思うけど
そしたらきっと
余計にこの想いを押さえきれなくなってしまう
何もかもを投げ出して
貴方の元に走って行けたなら
でもそんな無責任な私を貴方は
抱き止めてはくれないわね きっと
全てを消し去って
何もかも無かった事にしてからだったら
貴方は私を果たして受け止めてはくれるかしら
運命とは残酷だ
こんな時に
こんな形で
貴方を私に近付けた
運命は
常にこの私へ苦痛を与えていなければ
気が済まないのだろう
手を伸ばす
届かぬ貴方に
じき寒くなり 冬が来る
私の大嫌いな冬が
人肌の温もりが恋しくなる
抱き締めて欲しいと
心の中で思わず望んでしまう
まだ見ぬ貴方に
涸れ果てたと思っていたこの心を
貴方は言葉だけで……声無き文字だけで
再び湿らせ潤わせてくれた
だからだ
涙が零れるのは
貴方を想い考える度に恋しくなり お会いしたく なる
その日貴方の言葉が届かぬ日は
一日中何も手に付かなくなってしまう
そして久し振りに言葉を貰った日は
とても嬉しくて心弾ませる単純な私がいる
人はこんな私を惨めで悲しい女だと
貶し蔑むだろう
自分でも
そう思うよ
しかし情けなくも私は
そんな女なのだろう
ねぇ 貴方は何者? 一体誰なの?
私を病ませた貴方
いえ 私の方が最初から病んでいるのね
バカだなぁって 思ってるよ 自分でも
どこの誰かも
声も姿も知らないのにこんな気持ちになるなんて
だって貴方が呼んだから
私を 私の事を
呼ばれれば振り返っちゃうよ
ドキッて しちゃうんだよ……
決して許されぬ恋
決して叶わぬ出会い
惹かれる想いは
日増しに募る
ごめんなさい
いけない私を
許して下さい
でももう
抑え切れなかった
愚かな私を
許して下さい
笑ってくれても構わない
バカな女だと
でも涙と共に
溢れる気持ちは止められない
好きです
貴方の事が 好きです
心が壊れてしまいそうな程
一層壊れてしまえば
楽になれるかしら
ごめんなさい
どうかこの事は
忘れて下さい
でも時々想う
貴方の温もりが欲しいと――
愛されてみたい と……
貴方の事が 好きだから
許されぬ 叶わぬ恋をした……バカな女だと どうぞお笑い下さい
心の内だけで想っています
――貴方を愛していると――
新作出来たからワンモアカムバック!?ww。冷静に考えるとこういう愛の形って、どうなんだろう? やっぱ怖いのかな? あっても素敵かなとも思うんだけど。ん? 逃げるな! そこっ!!ww。