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【マイフレンドフォーエヴァー】


 歴史よ

 その辞書に

 僕らが過ごした時間(とき)を刻んで

 たしかに僕らはそこにいた

 親愛なる君よ

 僕らはずっとずっと

 友達だ




 他の誰かに

 「君達はどうやって出会ったんだい?」

 と聞かれても

 思い出せないよ



 でも不思議な事に 

 君と思い出話をすると

 まるで昨日の事のように

 鮮明に思い出せるんだ




 今思えば

 そのきっかけなんて単純なもので

 滅多に人が訪れない川のほとりで

 どっちが先に見つけたか

 そしてそこが

 どっちの場所なのかと言い争ったこと


 つまり


 勝手に自分で決めた“秘密の場所”で

 そんな二人が偶然ばったり出会い

 偶然お互いその場所を知ってたってことだよ



 その時はお互い

 二、三メートル距離を置いて座った

 気まずい中

 互いに意識しながらね

 手の中で(もてあそ)んでいた

 拾い上げた小石を

 先にこっちに投げて寄越したのは君だった

 それからお互い

 黙ったまま軽く石の投げ合いっこ



 「どこから来たんだよ」

 「お前いくつだ?」

 「ここは俺が先に見つけたんだからな」

 

 「いいや違う

  ここは僕の場所さ」



 本当はどっちの場所でも良かったんだけど

 その時の僕らは

 ただ誰の場所なのか

 はっきりさせるのに必死だったんだよ



 それからはちょくちょくと

 一緒に会いだして

 一週間経ってから

 ようやく思い出したようにお互い訊ねたっけ?


 「………そういえば何て名前?」


 それまではずっと

 『君』 と 『お前』 の呼び合いだった




 いろんな冒険もした

 訳の分からない実験もしたりなんかして

 ケンカもして

 でもいつの間にか

 また仲良くなっていた

 『ごめん』 なんて

 お互い自分から謝ったりはしなかったけど





 大人になって

 離ればなれになったけど

 君以上の友が出来る事はなかったよ

 ずっと友達でいようと約束した

 その証拠として交わした物は

 子供のくせして君が格好つけてかけていたサングラスと

 僕のハーモニカだった


 それからもずっと

 もう二度とお互い出会うことはなかった


 そうだよ君は

 何も未だに知らないだろう

 でもそれでいいんだ

 例え実を言うと

 僕はもう

 この世にいないことなんて



 そんな事なんか

 君に知られたくはないから

 

 素晴らしく楽しかった

 輝かしい二人だけの思い出の数々

 その何よりもかけがえのない

 この上なく美しい大切な思い出を



 ――哀しみの色で染めてしまいたくなんか

 ……ない、か…ら……

 大好きだったよ

 僕の最高の……大親友


 例え僕がもうこの世のどこにもいなくても

 二人の友情は永遠だ

 これからも

 そしてその先もずっと

 だから僕は

 さよならなんかは


 ――言わないよ







 歴史よ

 その辞書に

 僕らが過ごした時間(とき)を刻んで

 たしかに僕らはそこにいた



 例え砂に覆い隠されても

 風に削られても

 時の炎で灰になっても

 そしてその思い出の場所の

 川の流れがその日々を消し去ろうとも

 親愛なる君よ

 この言葉を君に贈るよ





 『――My friend forever――』





  男の子同士の友情って

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