【ピエロ】
道化師の魅力って何だと思う?
あのカラフルな衣装?
それともあの愉快なメイク?
あるいはあの
おどけた動きの滑稽な仕草?
―― “全て”さ
これら全てが彼らの最高の魅力
何かの本で読んだ事がある
道化師とは本当は悲しい存在なのだと
本当は自分が一番悲しいのだけれど
それを隠す為にカラフルな衣装で身を包み
涙を見せない為に派手なメイクで誤魔化して
自分の悲しみを周囲に気付かせない為に
おどけて見せるんだって
だけど
そんなの嘘さ
道化師が悲しんでいるんじゃない
そうやって彼らを評価した
そいつが何よりも一番悲しんでいるんだ
だからそういう見方でしか彼らを見れないんだ
自分の悲しみを誰かに知ってもらいたくて
何を見たって自分の感情でしか
物事を判断出来なくなっている
道化師とは
そんな人の悲しみを消す為におどけて見せるんだよ
落ち込んでいる人が再び笑えるようにと
心の辛さを喜びに変える為に
どんなにその人が悲しくとも
それを少しでも和らげてあげる為に
だって彼らは
あんなに楽しそうじゃないか
悲しみを背負う者なら
どんなに必死におどけても
人を笑わせる事なんか出来やしないよ
もし彼らが本当に悲しい時は
悲しそうな人を自分がどんなに喜ばせてあげようと頑張っても
その人がちっとも笑ってくれない時だろうね
道化師は最高に楽しい存在なんだよ
楽しげに人を喜ばせて
人の笑顔を見た時の彼らは
この世の何よりも一番に美しく輝いて見える
そんな最高に素敵な存在の道化師を
悲しみの色でしか評価出来ない奴ならば
その人は何よりも哀れで
そして
そんなあんたこそが
一番悲しい存在だ