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【幼心】


 小さい頃

 塀の向こうが見てみたくて

 小さいその足を

 必死に伸ばして

 爪先で立って見えたその先のものは

 果てしなく続く色彩豊かなお花畑でした


 その美しさに子供ながらに感動して

 その日の夜に

 そこで無邪気に遊ぶ自分の夢を見たほど

 その素敵な発見の喜びは大きなものでしたが

 いつまでたってもそこは解放される事もなく

 中に入る事は叶わないままでした




 そうするうちに

 やがて大きくなって

 私も大人になり

 世の中の流れに追われて

 すっかりその事を忘れてしまったある日


 ふと気が付くと

 自分の足の下で小さな花が

 哀れな姿で踏み躙られていました


 その瞬間

 幼い頃のあの記憶が蘇りました


 大人になると目まぐるしく移ろい変わる社会の中で

 気付くと子供の頃の優しさを失っていたのです




 そんな自分が悲しくて

 またあのお花畑に行ってみようと

 足を運ばせたら

 当時あれほど高く感じた塀も

 今では腰ほどの高さしかなく



 その向こうで当時見て

 感動を覚えて憧れた

 色彩溢れる素晴らしく美しい

 あのお花畑はというと




 コンクリートのビルが建ち

 潰されてもうなくなっていたのです――



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