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心のヒストリー【現在推敲中】  作者: 西影
第6章 スペル
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75 トラブル

 1日目から大変だった中間テスト。しかしあれからは特に変化もなく、眼帯さえ着けていれば問題はなかった。


 2日目は周りから色々と聞かれたが、少し誤魔化して過ごした。教職員も少し私の顔を見て驚いていたが、何も触れずにいてくれた。


 みんなが私の眼帯姿に慣れて何も言わなくなったテスト最終日。今回もいつものようにさっさと空欄を埋める。


 ほぼ全ての問題が分かったので、テストはそこまで苦痛ではなかった。というより、早く学校が終わるので授業より楽とすら思えてしまう。


 何だか思考回路が優等生みたいになってる気がした。……いや、深夜は勉強ばかりしていたからこう思うのは当然だよね。


 そして――中間テスト終わりのチャイムが鳴り響く。


「今すぐ筆記用具を置いてください」


 試験監役の先生の声に合わせるように、机に何かが当たる音が響いた。私はすぐに席を立って解答用紙の回収に向かう。


 教卓に集めた解答用紙を置くと自分の席に戻った。


「これで試験は終わりです。よく頑張りましたね」


 その言葉と同時に所々から声が聞こえてくる。ほとんどの人が疲れたと言って机に伏せ、何人かは席を立って友達と話し合っている。


 私は少し体を伸ばしていると華が近くにやってきた。


「ゆづ、お疲れ様〜」

「華もね。……で、どうだった? 前よりは良い点数取れそう?」

「問題なし! 教わったところは全部書けたよ」


 教わったところと言えば範囲全てなのだが……。まぁ、そんなわけないか。たった数日で点数が上がるほどテストは簡単ではない。良くて70点ぐらいだろう。


「ところで宮野さんは? 今回の中間テストどうだった?」

「わたしは思っていたよりもできましたよ。やっぱり教える側はより知識が深く定着するのでいいですね」

「うん、分かる分かる。私もそんな感じだったし。普段の授業よりテストの方が楽って感じたなぁ」

「わたしもです」

「えぇ! ゆづと奏ってもしかしてM?」

「違うって!」「違います!」


 雑談しつつ高橋先生が来るのを待つ。しかしいつもの時間になっても高橋先生は現れない。何かあったのかな?


「そういえば、今日は先生が来るの遅いですね」

「そうだね。何かあったんじゃないかな」


 2人も私と同じことを考えていたようだ。私は教室の出入り口に視線を向ける。するとガラリとドアが開く音がした。


 噂をすれば影が射すとはこのことだろう。タイミング良く高橋先生が教室に入ってきた。華と宮野さんは自分の席に戻る。


「みんな! 今日まで中間テストお疲れ様! 1日休みがあったけど合計5日間もあったし大変だったよね。だから疲れてると思うけど、今日から部活が再開されるのでそちらも頑張ってください。今日は特に伝えることがないので終礼を終わります。委員長」

「起立! 礼!」


 終礼が終わり、私と華は2組の前で翔と神崎くんを待つ。待つこと数分、2人が廊下に出てきた。


「「おまたせ」」

「別にいいよ」

「うんうん、それより早く部室に行こ」


 今日で中間テストが終了したので部活が再開される。なので今日から行こうとしたのだが、翔が少し暗い顔をした。


「……悪いな、今日は遅れていくよ」


 翔はそう言い残して1人先に歩いてしまう。私は付いていこうと足を動かすが、神崎くんに止められてしまった。


「少し1人にしてやってくれ……」

「翔に何かあったの?」

「実は……翔の机にカンニングペーパーが入ってたんだ。それでカンニングの容疑が……。ワンチャン、テストが全て無効にさせられるかもしれない」

「嘘……なんで翔が……」

「如月くんが? 頭良いのにそんなことする意味ないじゃん」


 華の言葉に神崎くんは首を横に振る。


「違う……これは冤罪だ。翔は絶対にカンニングなんてしてない。僕は翔と一緒にいたけど机に仕込むこともなかったし、テスト中に先生が見回った時も見つからなかった」

「それじゃあいつ見つかったの?」


 私が質問すると神崎くんは顔をしかめた。そして私の顔をジッと見て答える。


「最後の科目が終了した後……僕と翔がトイレに行ってる時間帯だ。帰ってきた頃には騒ぎになってた」


 ――許せない。翔をカンニングの容疑を掛けたやつを許すわけには行かない! 気付けば私の体は動いていた。


 私は急いで2組に入る。終礼が終わって時間が過ぎていたからか、中には3つのグループしかいなかった。でも、それだけ充分だ。


 私は1つのグループに近寄る。それは2人の女子グループだ。2組の人なら今回のことを知っているだろう。それにテスト終了後に仕掛けたのなら、見てみぬふりをしている人が多いはず。


 だけどそのことを素直を伝えるわけがない。だから私は左目を使う。眼帯を着けていても万が一の為にカラコンを着けているので左目を不審には思われない。


 ……またあの声が聞こえるのは怖いけど……絶対にやる! 翔の為に!


 私は眼帯を取ると目の前の2人に話しかけた。


「あの、少し聞いてもいいですか?」

「ん? 何?」

"確か如月くんと一緒にいた人?"

「どうしたの?」

"1組の人だよね"


 2人の心の声も聞こえるが、2人の声と区別が出来るようになっていた。これならちゃんと会話ができる!


「如月くんに何かあったの?」

「ん? 如月って確かカンニングしてたんだよね」

"何で聞いてきたんだろ?"

「うん。さっき騒ぎになってたよ」

"本当は冤罪なのにね"


 やっぱり冤罪だったんだ。思わず顔をしかめてしまう。だけど冤罪と知ってるなら話は早い。私は早速仕掛けた。


「本当のこと知ってるでしょ。翔は冤罪なんだから!」

"まさか知ってるの⁉"

"これだと遠藤(えんどう)くんが犯人ってバレてる⁉"


 2人は私の言葉に驚いていた。どうやら当たりらしい。犯人は遠藤くんみたいだ。名前は知らないけど、多分1組の生徒だろう。私は続けて質問する。


「遠藤くんは何部に所属してるの?」

「え! え、遠藤くんはバスケ部……だけど……」

"何で遠藤くんの名前が……まさか?"

「うんうん……バスケ部だよ」

"やっぱりバレてる?"

「分かった、ありがとう」


 私は眼帯を着け直すと振り返る。そこには心配してか、華と神崎くんがいた。


「なぁ、何の話してんだ? 遠藤がどうした?」

「ううん、何でもない。でもごめんね、今日は用事ができたから部活は休むよ。それじゃあまた明日」


 私は走って体育館に向かう。するとすぐに後ろから1人の足音が聞こえてきた。私は立ち止まる。


「ゆづ、どこ行くの?」

「……体育館。でも、何で華は付いてくるの?」

「そりゃ放っておけないよ。どうせ如月くん関係でしょ?」

「そうだけど、どうして分かったの?」

「いやいや、流石にあからさま過ぎ。2組入って能力使えばそんなの簡単に分かるって。犯人は遠藤くんなんだよね?」

「うん……だから聞いてくる」

「そっか。ならやっぱり付いていくよ。ゆづだけだと不安だし」

「……ありがと。1人はやっぱり少し不安だったから」

「いいよ別に。友達なんだからさ」


 会話を終えた私たちはまた走り出す。華は私のペースに合わせて走ってくれた。

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