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心のヒストリー【現在推敲中】  作者: 西影
第5章 寂しがり屋な小石
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062 初めて行くクラス

 次の日。いつも通り華と一緒に一組に入る。私の前の席を見るが誰も座っていなかった。


 どうやらまだ宮野さんは来ていないようだ。昨日は来るって言っていたから大丈夫なはずだけど……。


 私は華の席に視線を飛ばす。しかしそこに華はいなかった。辺りを見渡すと華が教室を出ようとしているのが目に映る。私は急いで華を追いかけた。


「ちょっと、どこに行こうとしてるの?」

「えーと……三組」

「三組? 華の友達でもいるの?」

「まぁ、そんな感じかな」

「気になるからついていっていい?」

「勝手にどうぞ」


 こうして私たちは三組に向かう。今思えば三組に初めて向かう気がする。


 心峰高校は少し特殊で一、二組と三、四組の場所が離れている。階段を上がって右の通路を歩くと一、二組、左に歩くと三、四組という感じだ。


 一年生から三年生までの教室や空き教室、あまり用意のいらない部活や同好会の部室がある棟を普通棟。


 音楽室や図書室などの部屋は全て特別棟にある。ちなみに旅行部の部室は普通棟の一、二組寄りの空き教室を使っている。


 なので三組に行くのは少し新鮮に感じた。華は三組の中を覗き込むが、少し経つと私のもとに戻って考え込む。


「もしかしてまだ来てないの?」

「そうみたい。一旦戻ろうか」


 華は踵を返すと一組に戻るように歩き出す。私は華に並んで歩いた。


「ところでさ、華は誰を探してるの?」

「荒川って人だよ」

「なんか写真ある?」

「一応ね。はい」


 華が少しスマホを触ると私に画面を見せる。そこには笑顔がとても可愛らしい黒髪のロングヘアーの女の子と少し頬を赤くしている背の高い男の子が映っていた。


 見た感じ華ではないので、華の中学の頃の友達だろうか。見た感じ結構イケメンだ。まぁ翔ほどじゃないけど……。


 あれ? でもこの女子はどこかで見たことがある気がする。でも私が知ってる華の中学の頃の友達かもしれない人って……。

 

「これって里奈ちゃん?」

「里奈ちゃんってオリテの? 違う違う。それに彼女のことは記憶にないし」

「そうなの? でもどこかで見たことがある気がするんだけどなぁ……」

「……案外近くにいるかもね」

「え? 何て?」

「何でもない」


 華が何かボソッと言った気がするが気のせい……かな?




 それから時間が経ち昼休み。私たちは休み時間になると毎回三組に向かったが荒川くんに出会うことはなかった。


 三組の人に聞く休み時間はいつもフラフラと教室を出て行くらしい。そして噂によると校内の色々なところを歩き回っているとのこと。


 なので闇雲探すことはせず、私たちは宮野さんと一緒にお昼ご飯を食べていた。翔と神崎くんにはそのことを伝えてあるので多分2人で食べているだろう。


 翔とも一緒にいたい……じゃなくて、いてあげたいが今は宮野さんのことを重要視する。翔も大変そうだが両方見て、結果両方とも中途半端なら意味ないしね。


 私は購買で買ってきたメロンパンを一口頬張る。


 華と宮野さんのお弁当を見てみると中の具材が一緒だった。少し不思議に思った私は宮野さんに聞いてみる。


「二人とも同じ弁当なんだね。二人で作ったの?」

「いえ、わたしが作りました」

「へぇ、宮野さんって結構料理できるんだね」

「佐々木さんの家に泊まらせてもらっているのですし、これぐらいは」

「ほんと〜に助かるよ。私の昼ご飯も、夜ご飯も作ってもらってるしね」

「いいなぁ」


 華と宮野さんのお弁当には色とりどりな具材が入っていた。しかも綺麗に詰められているので、とても美味しそうである。


 私も料理をするけど、ここまで美味しそうには作れない。


 女子力の差を感じて思わずため息が零れる。それは自分の努力不足のせいもあるんだけど……。そんな私を心配して宮野さんが声をかけてくれた。


「望月さん、何かあったんですか?」

「あ、えぇと……」


 「女子力の差を感じた」と言うのは少し躊躇ってしまう。何か他の理由を……あ!


「宮野さん。三組の荒川くんって知ってる?」

「荒川くん……ですか?」

「うん、華に画像見せて貰ったんだけどその人に全然会えないんだよねぇ」

「……佐々木さん? その写真を見せてもらえませんか?」

「う、うん……」


 気のせいだろうか? 宮野さんの言葉に圧を感じた気がした。華は箸を置いてスマホを取り出すと宮野さんに画像を見せる。


「…………」


 その写真を見た宮野さんは珍しく華を睨んだ。華は苦笑いを浮かべてその視線を受け流そうとしている。何かあったのだろうか?


「宮野さん? どうしたの?」

「いえ、何もありません」

「もう言っちゃえば? 誤解したままだと後で困るよね」

「……うぅー」


 華の言葉に宮野さんは情けない声をあげる。そして観念したのか、ため息を零すと話し始めた。


「……はぁ、言いますよ。彼はわたしの幼馴染なんです」

「そうなんだ。じゃあもう一人の女子も友達?」

「…………そんなところです。それで……荒川くんがどうかしたのですか?」

「あのね。荒川くんが全然見つからないんだよ。クラスの人たちが言うに休み時間はいつも教室にいないんだって」

「そう……なんですか」


 そこで宮野さんが暗い顔を見せる。幼馴染だから心配なんだろう。私も翔が入院するって聞いたときは凄く焦ったし。


 それからはあまり会話のない昼休みが続いた。本当にいつになったら荒川くんを見つけられるのやら。


 宮野さんに関わっているのを知ったし今まで以上に頑張らないと!

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