045 左目
「うぅ〜〜……頭痛い」
布団から起き上がると同時に少し頭痛がした。周りを見てみると橘先輩しか寝ていない。
いや、まだ襖が開けられていないから翔たちが寝ている可能性もある。時計は七時を示していた。
そして違和感。テレビを見ている佐々木さんの上に文字が浮かび上がっている。
"今日はどこ行くんだろ?"
そうだ! 確か創造神って人が私の左目に触れて……。
何か嫌な予感がした私はすぐに洗面所に向かう。そこで鏡に映った自分を見て驚いてしまった。
「え⁉ 私の左目が……」
私の左目が……正確には虹彩の部分が紫色になっていた。今の私は左目が紫、右目が桃のオッドアイになっている。
頬を抓ってみると痛みを感じた。つまりこれは現実……だよね。
まるでアニメや漫画の主人公になった気分だ‼
――ってそんなことを思っている時間はない! どうにかして隠さないと。
しかしそんな都合のいい物があるわけがなく……最終的には手で隠すことになった。
そういえば佐々木さんの上に浮かび上がっていた文字って何なんだろ?
夢の話をあまり覚えていないせいか、あの文字がなんなのか分からない。
もしかしたら文字について教えて貰っていない可能性もあるけど……とりあえず文字の正体を確かめないと。
試しに鏡を使って自分の上を見てみる。しかし一向に文字が浮かび上がってくる予感を感じない。
これって鏡に映っている人は対象外ってこと? それとも私には文字が出ない……的な?
取り敢えず無理なものは無理と考えるしかない。だから他の手段を考えないと。
私は洗面所の扉をゆっくり開けて音を立てずに歩く。そして部屋の襖を少し開けて佐々木さんを見た。
今の佐々木さんは心理テストの本を読んでいるようだ。ちゃんと上に文字が浮かび上がっていた。
"『犬を飼うことになりましたが、あまり懐いてくれません。そんな時貴方ならどうしますか?
一番おやつで気をひく。
二番優しく声をかけて撫でてあげる。
三番一緒に遊んであげる。
四番犬が自分から近づいてくるまで待つ』
……私なら1番かな。
『一番を選んだ人は一〇歳ぐらいの精神年齢です』……か。まぁ合ってるようなものか。あたしも一五歳なんだし"
キリが良さそうだったので私は左目を手で隠しながら佐々木さんに近付いて話しかける。すると頭上の文字が一瞬で消失した。
どうやら左目を隠せば上の文字も消えるそうだ。
「佐々木さん、何やってるの?」
「あれ? 望月さんいつの間に起きたの?」
「ついさっき」
「そうなんだ。今は暇だったから心理テストしてたんだ。ねぇねぇ、今から出すから答えてね」
「分かった」
佐々木さんは先程読んでいたページにある心理テストを私に言った。
「『犬を飼うことになりましたが、あまり懐いてくれません。そんな時貴方ならどうしますか?
一番おやつで気をひく。
二番優しく声をかけて撫でてあげる。
三番一緒に遊んであげる。
四番犬が自分から近づいてくるまで待つ』」
「私は一番かな」
一応あの文字に書いてあった通りに答えてみる。
「へぇ、あたしと一緒だね。実はこれは精神年齢が分かる心理テストらしいんだ。それによるとあたしたちの精神年齢は一〇歳ぐらいだって」
佐々木さんは少し笑いながら私に言う。思わず私もいつもより笑みを浮かべてしまった。
なぜならこの心理テストには見覚えがあるからだ。そう、さっき佐々木さんの上にあった文字である。
ていうことはもしかして……相手の心を読めちゃってるってこと⁉ それにこれを上手く使えば今よりも楽な暮らしができるかも!
まぁ、まずはこの紫色の目をどうにかしないといけないんだけどね……。




