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心のヒストリー【現在推敲中】  作者: 西影
第3章 旅行同好会
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028 屋上

 昼休み。私、翔、佐々木さん、神崎くんの四人で屋上に向かっていた。心峰高校は屋上の出入りも自由らしい。本当に自由な高校だ。


 私たちが普段使う教室棟は四階建て。一階に靴箱、二階から四階には下から一年生、二年生、三年生の教室と各階に部室として使われている空き教室がある。


 そして四階から上がる階段の先が屋上だ。ちなみに旅行同好会は三階の空き教室を使っているらしい。


 長い階段を上り続け、やっと見えた屋上のドアを開ける。周りは私の身長より数十センチメートルも高いフェンスで囲まれており、その内側には等しい間隔でベンチが設置されていた。


 私たち以外にも何人かの生徒を見かける。しかしほとんどが一年生で先輩はあまりいなかった。


 ドアから一番離れているベンチに座る。屋上のベンチは見た感じ三人用なので、私と佐々木さん、翔と神崎くんの二組で一つずつベンチを使った。


 私たちは昼食を食べながら雑談をする。春の晴れた日は適度な気温を作り出しており、日光が気持ちよく感じる。


 昼食を食べ終え、ゆったりとした時間を過ごす。ふと、眠気が訪れてきたタイミングで予鈴が鳴った。


 あと五分後に五時限目が始まる。


 なので私はベンチから立ち、屋上を後にしようとした。しかし一つのベンチに視線がいく。そこでは一人の女子生徒が昼寝をしていた。


 その人の上靴には赤色の線がある。あれは二年生の上靴だ。


 心峰高校では学年ごとに線の色が違う上靴が支給されている。私たち一年生は青、二年生は赤、三年生は黄という感じに。


 ベンチで寝ている人は予鈴が鳴ったのにまだ起きる様子がない。


 あの人は大丈夫なのだろうか? ……いや、大丈夫なわけがない。だってあと数分後に本鈴が鳴るのだから。


 なので私はその人に近づいて体を揺らした。


「すみませーん」

「…………」

「あのー……」

「ん……んん?」


 先輩は目を開けると体を起こして周囲を見渡す。そこで私の存在に気付いたようだ。私の上靴を見た後に話しかけてきた。


「なんで名前も知らない後輩ちゃんに起こされたんだろ……」

「えっと、予鈴が鳴ったのに先輩が起きなかったので心配になり起こしちゃいました」

「予鈴鳴ったの⁉ じゃあアラームが鳴ってるはず……」


 先輩はポケットからスマホを取り出すと画面に触れる。しかしスマホは起動しなかった。電源ボタンを押されると……。


「……そうだ。充電なくなってるの忘れてたよ。じゃあお礼を言わないとね。ありがと、名前も知らぬ後輩ちゃん」

「なんですかその呼び方。まぁいいですけど」


 どうせもう会うことのない相手だ。ならどんな言われ方をされても関係ない。


 用件は済んだので翔たちのもとに戻る。三人はドアの前で待ってくれていた。


「結月ってあの先輩と面識あったか?」

「いや、ないけど……何ていうか話しやすかった」

「へぇ、なら何部か聞いておけばよかったな」

「どうして?」

「その先輩との部活だったら楽しくなりそうだから」


 その言葉を聞いた佐々木さんはニヤリと笑みを浮かべだ。それはからかう佐々木さんの顔だ。


「ふぅん、如月くんはあぁいう先輩がタイプなのかな?」

「そうなの⁉」

「違うって。そういうわけじゃない。結月が楽しそうだって思っただけだ」

「…………」


 翔が必死に否定しているが神崎くんは何か考えているようだった。ずっと無言で、私たちの会話に何も反応を示さない。


 それを見て、翔が神崎くんに声をかける。


「おい拓也、何考えてるんだよ」

「あ、いや……何でもない。ただ……少し意外だと思ってね」

「意外?」

「えっと……ほら、あの先輩だよ。屋上で本当に寝る人いるんだなって思ってさ。それに屋上で寝る人って偏見だけど不良ってイメージがあるし」

「分かるけど……それって男の場合だろ」

「でも確かに漫画とかの不良キャラは屋上で寝てたりするよね」


 私は何度か翔に借りた漫画や小説を思い浮かべる。確かに学園系では屋上で寝てる不良がいた気がした。


 そんなことを考えていると隣から衝撃的な言葉が聞こえてくる。


「……あたしって漫画とかあまり読まないから分かんないな」

「えぇ⁉ 佐々木さん漫画読まないんだ。私も読むのに意外だなぁ」

「仕方ないじゃん。そういう本をわざわざ買おうと思わなかったんだよ」

「……佐々木さんで少し逸れたけど、本当にそれだけなんだ。だから特に考えてるってわけじゃないよ」


 そんな話をしていると一組の前に着いたので翔と神崎くんと別れる。


 私は佐々木さんと一緒に一組に入るのだった。

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