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心のヒストリー【現在推敲中】  作者: 西影
第2章 オリエンテーション
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018 男のロマン

《如月 翔視点》

 夕食の時間が終わり、周りから楽しそうな会話が聞こえてくる。


 ここからは1,2組の男子と3,4,5組の女子が先に入り、次に時間が来たら入れ替わりでまだ入っていない生徒が入る。


 明日はその逆だ。入浴時間は確か45分間だったはず。


 ――あ。そうか……今日は初日なのか……。だったらアレがくるのか。


 そこで藤原先生が生徒たちの前に立つ。また何かイベントがあると思い、騒ぐ生徒たち。


 そんな生徒たちを藤原先生は見渡し……。


「今から復習テストを返却する。出席番号順で担任の先生から貰いに来いよ」


 周囲から不満の声が聞こえてきた。まさかオリエンテーション中に返されるとは思っていなかったのだろう。


 2組の生徒たちは嫌な顔をせずに採点済みのテストを貰いに行く。


 拓也と俺は出席番号が1つ違いなので、共に藤原先生のもとに向かう。


 俺のテストの点数を見たであろう藤原先生は笑みを浮かべて俺に返した。


「よく頑張ったな。この成績を維持するように」

「はい」


 受け取ったテストに目を通す。先生は褒めてくれたが、満足いく点数ではない。


 数学でこんな計算間違いをするとは。


 はぁ……。思わずため息が零れる。そこで拓也がニヤニヤしながら俺を見ているのが確認できた。


「なぁなぁ、どうしてため息零してるんだ〜? そんなに結果が悪かったのかな〜?」


 ひょいっと俺の手から解答用紙を盗まれる。俺自身見せるつもりはなかったのだが、気付けば取られていた。


 流石、A.G.S.A.T(アグサット)のメンバーだ。


「おい、これはどういうことなんだ⁉」


 しかし当の拓也は驚愕していた。俺のテストを指差している。いやまぁ、テストの点数的にも仕方ないかもしれない。


「どういうことって……ただの解答用紙だよ」

「いやいや、この点数でため息を零す翔についてだよ! 全教科満点じゃないと満足できないのか⁉」


 ちなみに俺のテストは国語、英語満点で、数学が92点だった。昔の俺ならこんな点数取れるなんて思いもしなかったが……。


「……そうかもしれない」

「超が付くほどの完璧主義じゃねえか。俺なんて翔の点数に比べたら大した点数取ってねぇよ……」

「うん、知ってる」

「――殺すぞ?」

「悪かったって」


 拓也の「殺すぞ?」は洒落にならないから勘弁してほしい。拓也は不満気に俺のテストを返す。その中には一緒に拓也のテストも入っていた。


 点数を見るが英語は93点、数学は82点、国語は80点と悪くない結果だ。この点数はいつも通り。


「なんだ、良い点数じゃねぇか」

「嫌味にしか聞こえねぇ……」


 そんな会話をしていると全生徒に復習テストを配り終わったようだ。藤原先生は大きな声で言った。


「全教科の合計で180点無かった奴は補講あるからなぁ。該当者は22時にまたここに集合しろよ。それじゃあ解散」


 藤原先生の言葉で各々の部屋に向かう。階段を登りながら拓也は口を開いた。


「補講って何するのかな」

「確かテストの解説だった気がする。それで最終日は夜に集まれないから無しだったかな」

「なんで知ってるんだよ。補講は誰も受けてないのに」

「……ちょっと言い方を間違えたな。でもこんな感じだろ、補講なんて」

「……そうだな」


 俺たちは部屋に戻り、荷物を持つと風呂へ向かった。




 体を洗い終わると静かに風呂へ浸かる。全身が温もりに包まれて心地よい。それにどれだけ体を伸ばしても壁に当たらない。


 もう、最高だ。


「あはは、翔ってばすげぇ幸せそうな顔してるぞ。そんなに気持ちいいのか?」

「時間が許す限り浸かっておきたい」

「まぁ、今日はいっぱい体動かしたもんな。特にアスレチックでは結構筋肉使ったし」

「それを佐々木さんは平然とクリアしていたけどな」

「あそこまで行くともう女子とは思えないよ。というか、そこらの男子よりも運動神経がいい気もする」

「多分俺よりは高いよ」

「だよね。多分、普段から筋トレとかもしてるんだと思う。中学の頃は何か強い運動部にでも入ってたんだろうね」

「……そう、だろうな」


 拓也の推理力が高すぎて冷や汗が流れる。これじゃ、いつか俺の秘密まで簡単にバレそうだ。気を付けないとな。


 俺は浴槽から出る。


「あれ、もう上がるの? まだ30分ぐらい余ってるけど」

「露天風呂に行くんだよ。拓也も来るか?」

「もちろん」


 ボディタオルを手に取り露天風呂に続くドアを開ける。露天風呂の方が人気らしく、中よりも人が多い。


 まだ空いていた場所に浸かり、拓也が隣に来る。目の前には今日登った山が見えた。それ以外は暗闇のせいで何も見えない。


 と、そこでヒソヒソと話す声が聞こえてきた。


「あの山って今日登ったやつだよな」

「そうだな」

「そして、多分位置的に右側が女子の露天風呂だろ?」

「まさか山から覗く気か?」


 どうやら男のロマンを話してたようだ。


「あぁ」

「でも、ある程度距離があるし例えポジションに着いても見れねぇよ」

「そこは心配するな。今回のオリテで登山用のカバンを持って来たやつがいてな、そいつが双眼鏡も持ってるんだ」

「でも、探す時間が……そういえば明日の球技大会後から夕食まで自由だったか」

「だろ? だから覗けそうな場所探しに行こうぜ」

「お、何話してんだ」

「俺らも混ぜろって」


 話題を聞きつけどんどん人が集まっていく。気付けば露天風呂にいたほとんどの奴らが集合していた。


 ……いくら何でも集まり過ぎだと思う。


「……そろそろ出るか」

「だね」


 俺たちは少し体の水分を拭き取ってたら浴室を後にする。


 今回は見つかるのだろうか。


 少し興味のある俺だった。俺も男だからな。仕方ない。

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