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理想の人生始めます!  作者: やだこ
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異世界ワープの性別逆転!?なるようになるさ!

「きゃー!小崎主任かっこいいー!」

「小崎さん、今日も素敵♡」

「今朝も女子高生を痴漢から助けたんだって!」


鈴坂警察署に広がる黄色い空気。

それはイチ刑事に向けられます。

グレーのスーツを着こなし、端正な顔立ちにキリッとした瞳、合気道や剣道などの各種武道の有段者、日々の鍛錬によりしなやかに鍛えられた体で堂々と署内の廊下を闊歩するその人は小崎樹おざき いつき


『鈴坂署の王子』の異名を持ち『鈴坂署女性署員が抱かれたい女、第一位』の名を欲しいままに・・・ん?今何おかしかったでしょうか?

そう、小崎樹は『女しておくには勿体ない女性、第一位』にも輝き、『小崎刑事とだったら構わない』と囁かれるその人物は・・・残念ながら女性なんです。


「小崎さん、あの・・・先日はありがとうございました。」

制服を身につけた可愛らしい女性が小崎に声をかけました。

「あの、これお礼なんですが、よろしければ」

顔を真っ赤にして差し出されたのは可愛らしい包装紙に入ったおよそ手作りと思われるクッキー。

どうやら先日、ゴロツキに絡まれていたところを小崎さんが助けたらしいですね。

警察官ならそのくらい自分でどうにかしろよと思いたくもないですが、どんなに頑張ってもやはり、女性。

たとえ訓練を受けた警察官といっても女性の手に余ることもあるのかもしれませんね。

小崎さんはそれを手に取ると真っ赤な顔を覗き込みながら

「美味しそうー。ありがとうー!」

と、笑顔で答えると、先へと進んだ小崎さんの背中から女性の声にならない歓喜が聞こえました。

なんとまぁ。なんというか。


「おい、小崎。いい加減にしろよ。」

署内のとある一室で声をかけるのは同僚と思しき青年。

「なにが?」

小崎さんは声の方を振り返らずに仕事の準備をしています。

その様子に青年は苦笑いが隠せません。ポーカーフェイスができなくて仕事に支障はでないんでしょうか?

「さっき見てたぞ。お前が手柄をあげるたびに男性警察官全体の評価が下がるんだよ。」

いい迷惑だとでも言わんばかりに顔を歪ませます。

「当たり前でしょ。私が優秀なんじゃなくてアンタ達が不甲斐ないだけなんだから。」

ごもっとも。全くの正論にぐぅの音もでません。

「あのね、田辺。私はアンタ達男性よりも体力の面で大きく劣っているの。それを補う為の努力を惜しんだことは無いわけ。自分の怠慢を責任転嫁する時間あったら努力することね。」

うわー、正論だけでは済まず、核心まで突いてしまうわけですね。

この人、柔道の試合では一本決めても、『一本』の声が聞こえるまでは気を抜かずに寝技に持って行こうとするタイプですね。

図星を突かれた青年のこめかみには青筋が、笑顔もかなりひきつってます。

この人、頭脳犯の取り調べとかさせたら手のひらで転がされてしまいますね。


リーダー的な人が入ってきてブリーフィングが始まりました。

小崎さんは警護班の一員で今回もどなたかVIPの警護のご様子。お疲れ様です。

全ての情報をもらい、みんなで警護に向かいます。

いつものチームワークで警護対象をガードです。

しかしちょっといつもと様子が違いますね。

みなさん蒼い顔をされています。


おーのー!

この警護を振り切り、警護対象に突っ込んでくる輩が!

ここは小崎さんの腕のみせどこ・・・・

ちょおおおおおっとまったああああ!

それって拳銃ってやつじゃないですか!!!

え、この平和な日本で?うそ?反則です!


−パンッ!!


高く耳に痛い音がするとその銃口の先には警護対象を背にした小崎さんが。

それと同時に容疑者は捕まり、現場の人々が小崎さんの名前を叫びます。


「小崎!おい!しっかりしろ!」

あ、やば、わたし今打たれちゃった。しくじったなぁ。

拳銃持ってるかもなんて情報どこにもなかったじゃん。

ていうか、痛い。田辺なんて顔してんのよ。

大丈夫に決まってんでしょ。アンタ達にみたいにヤワじゃないのよ。

でも声がでないっていうか、口が動かないんだけど。

ていうか、あれ、なんか体に力が入んな・・・・・。


小崎さんの視界は暗くなりましたがしばらくすると何か暖かいものに包まれました。

彼女いったい、どこにいるんでしょうか?


あれ、真っ暗だけどなんかあったかい。

ていうか、わたし死んだ?それとも今ICUとかで意識失ってます的な感じなのかな?

でもめっちゃ幸せー。これが天国なら死んでもいいかも。

ずっとここにいたいなー。

すっごい心地いいよ。ここ。


しかし、そんな気持ちもしばらくすると環境が変わります。

暗闇のなか周りがうごめいて小崎さんの体をどこかへと動かします。


え、なんか痛いし押されるんですけど。

いやだ。なにこれ、めっちゃこわい!わたしどこに行くの?

え、ちょっと押さないでよ、やだ。なにこれ!


すると小崎さんはどっかよくわからないところに出てきました。

まぶたの向こう側に光が見えます。

どうやら小崎さんは先ほどまで何かの中にいたようです。

目を開けたいと頑張るのですが、まぶたは開きません。

しかも息も苦しいです。一生懸命息をしようとしますがうまくできずに声がでます。


「おぎゃー!おぎゃー!」


ちょっとまって、なにこれ。この音聞いたことある。

ていうか、なんか、抱えられてるよね?わたし。

え、なになに、これ。

めっちゃ混乱!誰か助けてー!


小崎さんは叫ぶのですが、言葉になりません。

体もうまく動きません。目も開きません。

助けを叫んび続けていると懐かしい音と温度に包まれました。

小崎さんはその後叫び続けることしかできず眠りに落ちました。









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