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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第一章 姉のことは信じていますが、信じているが故に、疑ってしまうのです。
9/36

妹、冒険者ギルドで依頼を受ける。

合法ロリの姉登場。ただし夢の中で。

13歳は合法ロリでいいのでしょうか。外見年齢をもう少し下げるか検討中。



日間VRランキング(18/12/11 11時~12時更新)にて55位になりました。

日間VRランキング(18/12/11 18時~19時更新)にて51位になりました。

週間VRランキング(18/12/11 朝更新)にて92位になりました。

総合ptが100ptを超えました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「『世界5分前仮説』というものを知っているか?」


 駅前のショッピングモールを姉と二人で歩いていると、ふと姉が呟きました。

 姉が唐突なのはいつものことなので適当に返すことにします。


「世界が5分前に生まれていたとして、それを証明することは出来ない。

 過去の記憶は過去が存在する証明に成り得ない――だったかしら?」


「本来の意図とは違うが……この説に関してだけ言うなら、おおまかに言えばそういうことだ。

 5分前にそれぞれが過去の記憶というものを持った状態で創り出された場合、その過去の記憶があるが故に5分より前の過去を経験していなくても、過去を経験したつもりになれる。

 故に『過去の記憶』は『過去の経験』なり得ない」


 姉がシャボン玉を飛ばします。透明な泡が風に乗って、空に飛んでいきました。

 姉はシャボン玉がお気に入りらしく、何処に行くにしても、シャボン液とストローを持ち歩いています。

 姉は13歳の時点で老化が止まっているので、見た目は中学生くらいの少女がシャボン玉で遊んでいるように見えますが、実際はいい大人がシャボン玉を吹いていることになります。

 むしろ本当に中学生だとしても、シャボン玉で遊ぶのはどうなのでしょうか。

 ほら、人通りの多い場所でシャボン玉なんか飛ばすから、周囲の人が迷惑そうな顔でこっちを見ていますよ。


「記憶や知識等、このシャボン玉のように僅かな風で消え去る飛沫の泡にしか過ぎないのだよ」


 そんな周囲の視線なんてお構いなしに姉は言葉を紡ぎます。


「私は思うのだ。世界を創造した神は、私達をちゃんと愛してくれているのだろうか。

 自分の都合のいいように、私達の記憶や知識を、世界ごと書き換えていないだろうか。

 私は信じたい。信じたいのだ……だが、心の何処かに疑いを持ってしまう。

 故に、だからこそ――」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「懐かしい夢を見た気がします」


 大きく伸びをして、棺桶から起き上がります。

 どうやら、この世界でも夢を見ることが出来るみたいです。

 あれはおそらく、姉と一緒に駅前のショッピングモールを歩いた時の夢ですか。

 時期としては私が『表の世界』の高校への入学が決まった直後くらいですね。

 高校に入学してからは一人暮らしが始まってしまい、姉とは疎遠となっていましたから、姉が何をしているかは知りませんでしたので、VRゲームを作ったことを知った時には驚きましたね。


 ついにあの姉も娯楽を理解するマトモな人間になったのかと。


 蓋を開けてみれば案の定でしたけどね。

 見るものが見ればわかる。明らかな実験場。

 理解しているのなら今のうちにログアウトして逃げてしまえばいいのですが、それは姉から逃げたことになるので、やりたくありません。

 私がそう考える事も姉は予測しているのでしょうけどね。


 <月の恩寵亭>を出て冒険者ギルドへ向かいます。

 言われてみれば成程、街を歩いている人の中に、何処か違和感を感じる人達がいます。

 中身と外見があっていないというか、何処かちぐはぐな雰囲気を持つ人達。

 違う人間の皮を被っているような。そんな違和感を感じる人達。

 彼らが私と同じプレイヤーである<星の旅人>なのでしょう。

 昨日の時点では話しかけたかも知れませんが、正直今は興味が失せています。

 せっかくの第一<星の旅人>への接触。

 私の心は貴重な初手は現実世界の友人疑惑のある森精種族の少女にしようと決め打っているのです。


 冒険者ギルドでは昨日とは違い、大勢の冒険者達が壁に貼ってある依頼に群がっていました。

 適当な冒険者を捕まえて聞いてみれば、朝の早い時間に来ることで、依頼が張り出された時にすぐにいい依頼を取れるようにと、待機しておくのが出来る冒険者の嗜みだそうです。

 成程、道理ですね。その例にならって私も掲示板前に待機することにします。

 結果、無事に依頼票を取ることに成功しました。

 屈強な先達冒険者達の群れの中で望む依頼を取れたことは快挙と言っていいでしょう。

 ごめんなさい。私以外にGランクがいなかったので、依頼票の競争率は0%でした。


 マリアさんのいる受付に依頼票を持っていきます。

 他にも受付の人はいますが、登録時にお世話になりましたし、一緒にお酒を飲んだこともありますし、わざわざ他に人の所に行く理由もありませんからね。


「マリアさん、依頼の受付処理をお願いします」


「シャーリィさん、初仕事ですか。頑張ってくださいね。

えーと……『ルオナ草の採取依頼』ですね。

 この依頼は採取依頼になりますが、街の外に出ることになりますので、魔物と遭遇する可能性があります。シャーリィさんは戦闘の経験はお在りですか?」


「対人戦闘ならそれなりにあります」


 <万能の天才>と、世界に1000年先の繁栄を授けたと、謳われている姉。

 そんな姉がいろいろな人達に狙われるのは当然のことで、その姉の妹である自分が姉に対する人質として狙われるのも当然のことで、何度浚われかけたか、もう覚えていません。

 姉の信奉者の方々にいろいろと自衛の為の手解きを受けていたおかげで、誘拐は一度も成功せずに難を逃れていますが、花の女子高生が誘拐犯相手に、対人の戦闘経験が豊富というのもどうなのでしょうね。


「対人相手の戦闘と多種多様な姿形の魔物相手との戦闘では勝手が変わりますので、『慣れ』に殺されることのないようにご注意を。

 それと依頼に行く前にルオナ草の群生地周辺の魔物について調べておいた方がいいですよ」


 二足歩行の対人用の戦闘技術が四足歩行の獣とかに通じるはずもありません。

 大丈夫です。そっちの経験も『多少』ですがありますよ。

 依頼前の調査ですか。確かに重要ですね。

 魔物との戦闘は命がけになるでしょう。

 私も、相手も、互いを殺そうとするのですからそれは当然のことです。

 事前調査を行わず、相手を舐めてかかれば、たった一つしかない命という授業料を払うことになります。


 VRゲームですし、仮に死んでも大丈夫だとは思いますが、あの姉ですからね。

 どこにどんな落とし穴があるかわかったものではありません。

 『痛み』に関しての軽減がされていない現状を見る限り、下手をすればゲーム内で死んだら、そのまま現実と同じように死んでしまうことだってあり得ます。

 揉み消せる方々が信奉者についていますし、姉は少し、いえ割と頭が良くも悪くもおかしいですし、油断だけはしないでおきましょう。

 下手をすれば素直に死んだ方がマシだった、ということにもなりかねません。

 繰り返しますが、あの姉ですから、ね。


「下調べは大事ですからね。わかりました」


「死んでしまっては依頼成功も依頼失敗もありませんからね。

 ……ではギルドカードを……はい、依頼受注完了です。

 それでは初仕事、お気を付けていってらっしゃいませ」


 受注処理を終えた私はギルドの二階にある資料室に足を運びます。

 ここならルオナ草の群生地周辺に出没する魔物の情報を見つけることが出来るでしょう。そもそもルオナ草の形とか、群生地の場所とかも調べないといけないのですけどね。『【鑑定】のスキル書』を買うべきでしょうか。スキル書は冒険者ギルドの購買施設で購入できますが、最低でも500G必要です。『【鑑定】のスキル書』は少し割高で700G。回復の為のアイテムも必要ですから――



「『【鑑定】のスキル書』が1冊、『血液パック』が6つ。合計で760Gとなります」


 残金が心許ないこともあり、少し悩みましたが結局買うことにしました。依頼を成功させなければお金が手に入りませんし、失敗の可能性を少しでも減らす為には先行投資も必要ですからね。

 早速、『【鑑定】のスキル書』を使用して【鑑定】のスキルを覚えます。



【鑑定Lv1】を獲得しました。


【鑑定Lv1】

 分類 解析/活性

 射程 対象/視界

 効果 見た物の正体を看破する。スキルLvが高い程、詳しい情報がわかる。



 【透視】に続く、2つめの視界を利用するスキルの獲得です。

 この調子で【黄金神眼】にセットするスキルを覚えていきましょう。

 そういえば【透視】を使い続けていたおかげか、【黄金神眼】のレベルがあがっていました。

 Lv2になったので、これで2つの視界を利用するスキルをセットすることが出来ます。

 早速スキルをセットしてみましょう。

 


名称 シャーリィ

総合レベル2/ベースレベル1/種族レベル1

種族 <吸血種族>

性別 女

職業 <冒険者>

活性スキル(1/1) 【黄金神眼Lv2】

【黄金神眼】追加スキル枠(2/2)【透視Lv2】【鑑定Lv2】

常時スキル 【吸血】【夜行性】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【種族共通語】



種族スキル

【吸血】【夜行性】


個人スキル

【黄金神眼Lv2】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【透視Lv2】【種族共通語】【鑑定Lv2】


一般スキル

なし


装備

右手武器 ≪古びた白い日傘≫

左手武器 なし

頭 なし

上半身 ≪古びた白いワンピース≫

下半身 ≪古びた白いワンピース≫

腕 ≪古びた白いサテングローブ≫

足 ≪古びた白いサンダル≫

アクセサリ なし

アクセサリ なし

その他 ≪初心者用アイテム鞄≫


所持アイテム

初心者用アイテム鞄 78/100

≪シャーリィの棺桶≫ 重量50

≪星の鍵≫ 重量1

≪職業カード(冒険者)≫ 重量1

≪ブラッディムーン≫ 重量5

≪血液パック≫×7 重量21


所持金 400G



 ううん? レベルの表記がなんだかおかしいような?

 Lv1だったはずの【透視】と【鑑定】のスキルがLv2になっています。【透視】は使い続けていたのでまだ理解できるとしても、覚えたばかりで一回も使用していない【鑑定】がLv2に上がっているのは有り得ません。レベルが上昇したことで【黄金神眼】の効果が変わったのでしょうか。


 ちょっと確認してみましょう。

 チェックチェック、っと――



【黄金神眼Lv2】

 分類 固有/活性

 射程 全体/視界

 効果 視界を利用するスキルをこのスキルのスキルレベル×1個分、本来の活性スキル枠とは別に登録することが出来る。

    このスキルは非活性状態にすることが出来ない。

    このスキルを所持している限り、あなたの瞳の色は黄金色固定となる。


Lv2効果 登録した視界を利用するスキルのレベルをこのスキルのレベルに変更する。



 ……あ、これあかん奴ですわ。

5分前仮説はあくまで仮説の説明をする為の仮説で、この仮説自体がメインではないそうです。

姉が「本来の意図とは違う」と言ったのはそういう理由になります。


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