表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第一章 姉のことは信じていますが、信じているが故に、疑ってしまうのです。
7/36

妹、教会の内情を知る。

閲覧、ブックマーク、評価をしてくださり、ありがとうございます。

皆様のおかげで日間VRゲームランキング(18/12/9 11時~12時更新)で70位に入れさせて頂きました。

とても嬉しいです。これからも更新頑張ります!!!


日間VRゲームランキング(18/12/9 18時~19時更新)で58位になっていました。

閲覧、ブックマーク、評価をしてくださった皆様に重ねてお礼を申し上げます。


ランキングタグを設置したつもりで、設置を忘れていました。

設置をしたので、これでもう大丈夫です……!

「大きな月ですね」


 コンビニで購入した血液パックを吸いながら街を歩きます。

 ふと見上げれば、天空に黄金色に輝く巨大な満月が浮かんでいました。

 地球から見ることの出来る月の10倍くらいの大きさはありそうですね。

 吸血種族になっている所為でしょうか。

 月を見ているとなんだか気分が高揚してきます。

 現在の気分はイケイケハイテンションなルナティックです。


 この世界の月は<神具>と呼ばれる世界を創り出した神の道具の一つで、地球の月のように衛星というわけではありません。

 そもそもこの世界が惑星なのかも不明ですけどね。


 <神具>ですが、『月』の他にも『生命樹』『緋々色金』『神竜玉』『賢者の石』『神獣』が存在しており、それぞれが人間以外の種族を創造したそうです。

 その内訳ですが、『月』が吸血種族、『生命樹』が森精種族、『緋々色金』が地精種族、『神竜玉』が竜人種族、『賢者の石』が機人種族、『神獣』が獣人種族を創造したとされています。

 では人間種族は誰が創造したのかと言えば、世界を創造した時に一緒に創造主である女神アクアリアが創造したとのこと。


 わかりやすく言えば、人間種族は初期状態から存在するデータ。

 他の種族は追加アップデートによる追加要素ということになります。

 追加要素と言ってもまだβテストすら終わっていませんけどね。


 そういえば、他のβテスターと会話をしていませんね。

 警備隊詰所のホリンさんや冒険者ギルドのマリアさんはNPCでしょうし、名前を聞かなかったあの先輩冒険者も反応からすると、おそらくはNPCでしょう。

 プレイヤーは何処にいるのでしょうか。

 きっと目の前の往来を歩いている人達の中にはいるのでしょうけどね。

 見た目だけでプレイヤーとNPCの判断が付かないのが、このゲームのいい所であり、面倒な所でもあります。

 そういえば、ホリンさんが<星の旅人>が問題を起こしていると言っていましたね。問題が起こっていそうな場所に向かえば会えるでしょうか。



「――というわけで冒険者ギルドにやってきました。

 マリアさん。何か問題とか起こっていませんか?」


「そうね。いきなり意味不明なことを言い始めた新米冒険者がいるのが問題かしら?」


 おおう。ちゃんと説明したつもりが説明不足だったようです。

 もう一度説明することにしましょう。


「現在、<星の旅人>を探していまして。彼らは問題を起こしているようなので、問題が起こっていそうな冒険者ギルドにやってきたわけです」


「冒険者ギルドでいつも問題が起こっているみたいに思われることがまず意味不明かな!?」


「ホリンさんが冒険者ギルドはならず者の集まりだと言っていましたので」


「ホリン……貴女と一緒に来た彼ね。そう……」


 マリアさんのヘイトをホリンさんに移すことに成功しました。

 ホリンさんごめんなさい。でも実際に言っていたので仕方ないですね。


「随分と口調が砕けていますね。それが素ですか?」


「勤務時間が終わったからね。今はオフ。仕事モードは終了したわ」


「そうだったのですか。ギルド職員の制服を着たままだったので、まだ仕事中かと」


「着替えに行く途中にあんたに呼び止められたのよ」


「おおう。それはすみませんでした」


 着替えてきたマリアさんにお詫びとしてお酒を一杯奢ります。

 私は吸血種族用の『ブラッディムーン』というお酒を購入。

 厳選された童貞の血を集めて作ったお酒で、女性の吸血種族に人気だそうです。

 あ、現実での私は17歳ですが、この世界の成人は15歳なので飲酒も合法ですよ。

 ちなみに男性向けは『ブラッディナイト』という処女の血を集めたお酒です。


「安いエールを飲んでいる横で高級酒を飲まれるっていうのもアレよね」


「少し飲んでみますか?」


「いらないわよ。良く飲めるわね。そんなもの」


「嗜好に関係なく、血を飲まないと満腹度が回復しないので。向こうの世界――天上界だと血を飲むことはありません。血を使った料理は存在しますけど、私が住んでいる国ではメジャーではありませんね」


「天上界ねぇ……なんで<星の旅人>なんかを探しているのかと思ったけど、そういうこと」


「そういうことです。同胞探しというヤツですね。

 天上界と言っても、向こうでの実際の呼び名は違いますけどね。

 こちらの世界ではそう呼ばれているので、便宜上そう呼んでいるだけです」


「ふぅん。本当はなんて呼ばれているの?」


 グラスの氷を指で持て遊びながらマリアさんが尋ねてきます。

 実際問題、なんて呼べばいいのでしょう。

 そのまま『地球』でいいですかね。

 ゲームや小説だと世界に名前が付いていることはよくありますが、現実だと世界の名前とかありませんからね。


「私の住んでいる国の言葉だと『地球』と呼びますね」


「地球、ね……地球にはシャーリィみたいな神様がいっぱいいるのかしら?」


「んー。女神アクアリアが貴女達にとっての神様に当たるのは間違いありませんが、私がそうかと言えば違いますね。

 『地球』のことをこの世界では『天上界』と呼ぶことになっているように、便宜上そう呼んでいるだけで、向こうでは普通に人間ですよ」


 少なくとも半分は――


 女神アクアリアが開発者である姉の水城リアや運営全体を指すとするならば、女神アクアリアは彼女達にとって本当の意味で神様と言っていいでしょう。

 しかし、ただのプレイヤーに過ぎない私みたいなのは設定上『天上世界から遊びに来た神々』という設定になっているだけに過ぎません。


「女神と同郷だから、そういうことにされているだけ、と思ってください」


「なるほどねぇ。教会の連中に教えてあげた方がいいかしら?」


「教会ですか?」


「あの連中……教会は女神アクアリアを唯一の神として信仰してきたからね。

 それが神託で女神アクアリア自身が他の神々を自分の世界に遊びによこしたとか言ったから教会内部は一神教派と多神教派に分かれて混乱しているのよ」


 成程。一神教だと思っていたら、実は多神教だったと信じていた女神に言われたら、そりゃ混乱が起こるのも仕方ありません。

 やってきたのが別に神様ではないということを教えてあげれば、教会の混乱も収まるとマリアさんは考えたのでしょう。


「うーん。どうでしょうか? 多神教派が既に出来ているのなら、さらなる火種を放り込むことにしかならない気がします」


 多神教派が出来ているということは、それはつまり多神教の方が都合のいい人達が不特定多数、教会内に存在しているということになります。

 そういう思考になるのは、多神教であることに利益を見出せる何かを見つけたということ。


 状況から考えるなら――


「おそらく、多神教派は女神アクアリアが言う天上界の神々――<星の旅人>の一部を抱き込んでいると思われます。

 女神アクアリアに並ぶ新しい神として正式に擁立出来れば、教会内部での発言権もあがるでしょうし、そうでなくとも『新しい神の最初の神官』というのは魅力的ですからね。

 そういう人達にとっては多神教でなければいけません。

 単に、女神様が同郷の神様を送り込んできた、と言ったのを信じている人もいるでしょうけどね。

 そういう人達に教えた所で自分の利益の為に、信仰の為に「女神様の言葉を嘘だとでも言うのか」とか言われるのがオチでしょう。下手すれば狙われます。

 一神教派は一神教派で、女神アクアリアが同胞の神々と言ったのを無視して、女神アクアリアを唯一の神ということにしているのを見るに、多神教派とは逆に今の地位を脅かされるのを恐れているのではないでしょうか。こっちはこっちで歓迎されそうですが」


「そこまで教会も腐ってないと思うけど……というかいいの? アクアリア様はあんたの同郷なのでしょう? その教会をそこまで言うなんて」


「どんなに神様が素晴らしくとも、それに従う神官まで素晴らしいとは限らないですからね」


「……そう言われてみれば。そうね」


 神様が素晴らしくとも、と言いましたが、この世界の女神ということになっている姉が素晴らしい神様とは言っていませんよ。それはそれ、これはこれです。

 マリアさんは納得するように頷くとエールを一気に飲み干します。

 追加注文をしているようですが、奢りはその一杯だけですよ?


「それなら教会に行ってみればいいんじゃない?

あんたが言うように、多神教の神官が<星の旅人>を手元に抱き込んでいると仮定するなら、教会に行けば会えるかも知れないわよ」


「そうですね。候補の一つに入れておきます。冒険者ギルドにはそれらしい人達は来ていませんか?」


 私が尋ねるとマリアさんは何故かげんなりした顔をしました。

 何かあったのでしょうか?

シャーリィさんが飲んでいるのは、あくまでここがVRゲームの世界であり、この世界の成人が15歳だからです。

日本ではお酒は二十歳になってからですよ。シャーリィさんとのお約束です。



ランキングに参加しています。

面白い、続きが読みたいと感じましたら、下の方のタグを押してくださると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ