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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第三章 イベントフラグを潰すのはβテスターとしてはダメですが、暴走する姉を諌める妹としては正解ですよね。
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妹、決意を新たにする。

寒くなってきたので脱衣所に設置する暖房器具を購入しに行きました。

明日は正月用の買い物です。

休みの方が書く時間が取れないとは……

ここを書いている時点で投稿予定時間まで残り1時間切っております。

なんとかギリギリ間に合いましたよ!



週間VRゲームランキング(18/12/29朝更新)にて85位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 あれから魔物や野盗に襲撃されることもなく、ディルスの街に到着した私達は、街の入り口で馬車を預けた後、まずは宿を探すことにしました。

 数度の魔物や野盗の襲撃の上、ずっと馬車に揺られていましたから、私も含め、全員疲れているようで、反対意見もなく、即座に最初にやることは宿探しに決定したのです。

 特にピーグさんとセラは御者をしていたので、乗っていただけの私やシオリよりも遥かに疲れているでしょう。

 ディルスの森の奥地に入る前に、一休みをして英気を養って貰いたい所ですね。


 クランディルスの街のような大きな街では、種族ごとの宿屋がありますが、ディルスの街のような小さな街では宿屋の数自体が少なく、ある程度の不具合は目を瞑らなければならないようです。


「日の光があまり差さない部屋だと嬉しいですね。陽当たりが良すぎると死んでしまいます」


「金属が周囲に存在しない部屋がいいですわ。金属に触れると痛いですし」


「毛が落ちてもあれこれ言われない部屋……とお風呂がいいかなー」


 吸血種族は日の光は死活問題ですが、森精種族も金属に触れると痛みを覚えるようです。

 獣人種族の抜け毛問題は、本人よりも宿屋の方の問題ですね。

 抜け毛が配管に詰まってしまうのです。


 この世界ではお風呂があまり広まっていないのに、お風呂に毛が浮かぶということで、獣人が獣人種族専用の宿屋以外に泊まれないと言われている理由もこの辺りにあります。


 獣人種族以外の種族は濡れタオルで身体を拭くくらいが主流で、お風呂を設置している宿屋は、大量の水を温めるにはそれなりのコストが掛かることもあり、ほとんどありません。

 獣人種族はお風呂が好きな者が多いそうですが、大量の水を温める他に、配管に専用の処理が必要になる為、獣人種族用の宿屋でも3件に1件はお風呂がない宿屋があるそうです。


 お風呂好きな獣人種族ですら、コストを気にして設置していない宿屋があるというのに、高いコストを払ってお風呂を設置したのに、獣人種族に入られて、抜け毛で配管が詰まって壊されてしまっては堪らないということで『湯船に毛が浮かぶから』と、断っていたのが、いつの間にか広まっていたようです。


 それならば、お風呂のない宿屋は問題ないのでは、という話になりますが、お風呂のない宿屋はそもそもお風呂好きが多い獣人種族からの人気がないそうです。

 お風呂好きなのですから、お風呂のない宿屋に泊ろうとしないのは当然ですね。


「お風呂と言えば、シオリに謝らないといけませんね」


「んー? シャーリィが私に何を謝る必要があるのかな?」


「以前、私は獣人種族が専用の宿屋に泊まる理由を『抜け毛が浮かぶのが原因』と言いましたが、正確には違っていたみたいです。私の勘違いでした。申し訳ありません」


 私が説明をすれば、シオリはうんうんと頷いて、


「抜け毛の所為で高いお金を払って設置したお風呂を壊されるのが嫌だ、っていう獣人種族以外の宿屋が広めた話が、そもそもお風呂の設置数が少ない獣人種族以外の宿屋に泊まらない獣人種族が気にしなかった所為で、そのまま話が広まっちゃったって所かー。

 まあ、私にそれを伝えた時はお風呂が広まっていなかったことや、そういう文化的な背景とか知らなかったんでしょ? それなら仕方ないって。

 ちなみにそれ、誰から聞いたの?」


「セフィロトです。彼女はこの世界の文化とか、詳しいみたいで、話を振ればいろいろと話してくれますよ」


 セフィロトは私達のようなプレイヤーとは違い、この世界の住人ということもあって、この世界のことに随分と詳しいようです。

 ピーグさんとかも同じこの世界の住人ですが、そこは普通のNPCとサポートキャラとして配置されたNPCの違いでしょうか、抱えている知識に雲泥の差があるようです。

 【緑命神樹】という限定特典のサポートキャラということもあるでしょうね。

 他に似たようなサポートキャラがいるかは知りませんが、彼らよりも多くの知識を持っていると考えて良さそうです。


「それなら、いろいろと聞いてみれば楽になるかもねー」


「ダメですわ。あまり教え過ぎるのも良くないということで、少し調べればわかるくらいのことしか教えてくれませんわ」


「なんでもかんでも聞けば教えて貰えると思われてもね。

 自分でもちゃんと調べないとダメよ」


「マイハニー。怠慢はダメだぜー」


「うぅ……ピーグが言うのなら仕方ありませんわ」


 ネタバレ防止機能があるのでしょうか、セフィロトにも話せることと、話せないことがあるようですね。

 そういえば、1つ気になっていたことがありました。

 話して貰えるかはわかりませんが、試しに聞いてみましょうか。


「そういえばセフィロト。以前から少し気になっていたのですが、ディルスの一族とクランの一族は、どうして昔、争っていたのですか?」


 クランという一族がいて、ディルスという一族がいて、彼らは互いに争っていて、それを治め、彼らをまとめた者がクランディルスとなった。


 私が知っているのはここまでで、何故争っていたかの部分がさっぱり抜け落ちています。

 争っていたという事実も、訓練所の地下施設に入る時に見つけた石碑を読まなければわかりませんでしたし、意図的に隠されているようでした。

 隠されればやはり気になるもので、教えて貰えるなら教えて貰いたい所ですが。


「ふーん。争っていたということまでは突き止めたのね。

 やるじゃない。それなら後少しよ。頑張って」


 教えて貰えませんでした。

 ちゃんと自分で調べて謎を解けということなのでしょう。

 流石にそこまで甘くはなかったようです。

 おそらく、クランとディルスの一族のことは、クエストか何かなのでしょう。

 逆に考えれば、獣人種族とお風呂がある宿屋との関係のことは、特に隠すべきことでもない、クエストとは関係のない、ただの背景情報だから教えて貰えたということなのでしょうか。


 そうなると疑問が生まれます。


 セフィロトは私やシオリ、セラのような限定特典を渡された者達――<七虹神姫>と設定された者達が、英雄とされるアルフォンスさんの持つ【虹の加護】により、アルフォンスさんに従属、ヒロインとなることを否と考えているようでした。


 英雄アストルフォが<七虹神姫>を従属させ、ヒロインとするのが、<SGO>における正しいストーリーならば、何故セフィロトはそれを否定したのでしょうか。


 クエスト情報に関するネタバレをしないのに、英雄アルフォンスに付き従う<七虹神姫>というゲームのストーリーに関わると思われるイベントそのものを否定する矛盾。


 考えられることと言えば、セフィロトが否定すること自体が<SGO>のストーリーに組み込まれていると言った所でしょうか。


 実際、私達はアルフォンスさんの依頼を受けて、ここまで来ているわけですし、【虹の加護】の影響を否定するアルフォンスさんを見て、多少の好感を覚えているのは事実です。


 【虹の加護】の影響を受けても、受けなくても、アルフォンスさんの元で動くことになってしまっています。

 セフィロトの否定が、他人の意思によるものか、自分の意思によるものか、どちらになるかの選択肢の一つとして最初から用意されたものに過ぎないのだとしたら――


 どうやら、私はまた姉の掌の上で踊らされてしまっていたようですね。

 こんな体たらくでは、姉を超えるのはまだまだ遠そうです。

 姉を超える為には、もっと私も精進しなければなりません。


 ふとした疑問から生まれた考えを、決意も新たにひとまずまとめ終わった私は、セフィロトに「わかりました。もう少し自分で調べてみます」と伝え、宿屋探しに戻ることにしたのでした。

狙って動いても、思い付きだけで適当に動いても、望む通りになるのがシャーリィの姉という存在。



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