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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第二章 友人が言うので普通に遊びますが、姉に対する警戒は怠るつもりはありません。
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妹、頼みごとをされる。

世間はクリスマスイブですね。

今日は家族や友人と一緒に過ごす方が多そうです。


誤字報告を頂きました。報告してくださった方ありがとうございます。

この場を借りてお礼をさせて頂きます。



日間VRゲームランキング(18/12/24 11時~12時更新)にて57位になりました。

週間VRゲームランキング(18/12/24朝更新)にて68位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 改めて話をするにしても、来客用の寝室でいつまでも立ち話というわけにも行かないそうで、アルフォンスさんの案内で食堂に場所を移します。

 屋敷と言っても本邸ではないのでしょう。廊下を歩きながら軽く構造を視た限り、日本の住宅と比べれば遥かに広いですが、貴族の屋敷としてはあまり広くはなさそうです。


 辿り着いた食堂は縦長に長い空間で、天井には蝋燭の火が灯る2つのシャンデリア。

 中央には白いテーブルクロスの掛かった縦長のテーブルがあり、左右にずらりと椅子が並べられています。

 食堂の窓から見える景色は夜の色。随分と長い時間、気絶してしまっていたようですね。


「まずは一時的とは言え、君に、君の望まない感情を芽生えさせてしまったことを謝罪させて欲しい」


 席に座った私達の中で、最初に紡がれたのはアルフォンスさんの謝罪の言葉でした。

 正直、大体姉の所為なので、アルフォンスさんに謝って貰うことはないのですが。


「いえ、私の姉の所為でアルフォンスさんにいらない心労をかけさせてしまい、こちらこそお詫びをしなければなりません」


 私が言うと、アルフォンスさんはかぶりを振って否定します。


「君は君、君の姉は君の姉、だ。

 君の謝罪は必要ない。俺がちゃんと【虹の祝福】を抑えることが出来ていれば良かっただけの話だ」


 【虹の祝福】というのはアルフォンスさんの持つ固有スキルだそうです。

 その効果は虹の色がその名に付いた特定の固有スキルを持つ<七虹神姫>と呼ばれる者達を己の支配下に置くこと。

 対象が限定されているが、強力な魅了効果と言った所でしょうか。

 私がアルフォンスさんに安心感を覚え、抱き着こうとしてしまったのは、この【虹の祝福】というスキルが原因だそうです。


「それだけ抑えられたら十分だと思うけどね。

 アルフォンスが抑えていなかったら、あたしが干渉してもセラやシャーリィが抗うことなんて出来なかったわ」


 テーブルの上でふわふわと浮いているセフィロトが肩をすくめます。

 【緑命神樹】でもあるという彼女は周囲を軽く見渡して、腕を腰に当てながら、


「アルフォンスも、シャーリィも、セラも、女神アクアリアの被害者よ。

 謝るべきはアクアリアだけで、アルフォンスやシャーリィが互いに頭の下げ合いをしても仕方がないわ。

 自己満足でしかない謝罪の応酬なんてしてないで、さっさと話を進めなさい。

 アルフォンス。シャーリィに頼みたいことがあるのでしょう?」


 ばっさりと切り捨てましたね。

 いつものことなのでしょう。アルフォンスさんが苦笑しています。

 それにしても頼みごとですか、初めて会った私に頼みごととは、一体何でしょうか?


「……では改めて、シャーリィだったか、君の黒騎士を初見で倒した腕を見込んで頼みをしたい」


 苦笑をやめ、真面目な顔になったアルフォンスさんが言ってきます。

 気絶していた所を助けて貰ったお礼もありますし、個人的にはこのまま詳しい話を聞いて、引き受けてもいいのですが――


「それは依頼ですか? 依頼なら冒険者ギルドを通して頂かないと」


 一応、私も冒険者ギルドに所属していますからね。

 外部で勝手に依頼を受けて、冒険者ギルドとトラブルになったら大変です。

 頼みごとの内容にもよりますが、黒騎士を倒したことを言及されている以上、争いごとになる可能性は高そうです。

 大事になるか、大事になりそうな頼みごとならば、冒険者ギルドを通して貰わないといけません。

 そもそも騎士団ギルド団長の依頼を、冒険者が冒険者ギルドを通さないで受けたら、まず間違いなくトラブルになります。揉めます。


「その件については心配しなくていい。

 依頼は『指名依頼』の形で明日の朝に出しておく。


「『指名依頼』ですか?」


「『指名依頼』は依頼主が特定の冒険者を指定して依頼する方法のことだ。

 正式な呼び方ではないので、冒険者ギルドでは説明されなかったかも知れないがね。

 元々依頼は出す予定だったのだが、そこに俺の護衛をしているセラの友人が現れた。

 黒騎士をギリギリとは言え、初見で倒せる腕はあるらしい。

 それくらいならいくらでもいるが、顔も知らない冒険者よりも、人伝とは言え、話を聞いた相手、こうして顔を合わせて会話をした相手に依頼をしたいと、そう思ったのだ」


「そういうことなら構いません」


 ようするにセラを通したコネで依頼が入ったということですね。

 当の本人はピーグさんを膝抱っこして幸せそうに頭を撫でているようですが。


「そうか、受けてくれるか」


 どうやら勘違いをさせてしまったようですね。

 嬉しそうに言うアルフォンスさんを私は手で制します。


「いえ、構いません、と言ったのは冒険者ギルドを通したことについてです。

 依頼を受けるかどうかについては依頼内容を見てみないと。

 それに私以外にももう一人いるので、彼女とも相談させてください」


「それもそうか、そうだな。

 すまない、逸り過ぎてしまったようだ」


 私の言葉にアルフォンスさんが肩を落とします。

 ごめんなさい、少し可愛いと思ってしまいました。


「シャーリィ、パーティを組みましたの?」


 ピーグさんを撫でながら、聞き役に徹していたセラが話に入ってきました。

 どうやら彼女は私が一人で冒険者をしていると思っていたようです。

 ピーグさんはどうしたのかと見てみれば、気持ちよさそうに寝息を立てていますね。

 そういえば、まだセラには話していませんでしたね。


「まだ正式にパーティを組んだわけではありませんが、明日から一緒に仕事をするつもりです。セラ、貴女も知っている相手ですよ。

 組んでいる人物はシオリ――四条織莉恵です」


「そう、あの子が――」


 私が言うと、セラは昔を懐かしむように微笑みます。

 おそらく私達3人が一緒にいた時のことを思い出しているのでしょう。


「主様、シャーリィの組んでいる相手も私の友人ですわ。

 多少問題のある部分もありますが、信頼の出来る人物です」


「そうか。実際に見てみないとわからないが、二人の友人なら問題ないだろう。

 それで依頼の内容なのだが、簡単に言ってしまえば配達の依頼だ」


「配達の依頼ですか?」


 荒事の可能性が高いようなので、どんな依頼なのかと、身構えていた所に配達の依頼と言われ、思わず聞きかえしてしまいます。

 アルフォンスさんは頷いて、言葉を続けます。


「詳しいことは依頼に書いておくが、友人に1本の酒を届けて欲しい。

 彼に、かつて二人で飲み明かした時の酒を届けて貰いたいのだ――」


 そう言ったアルフォンスさんの視線は何処か遠くを見つめているように見えます。

 友人と立て続けに再会した直後に友人関連の依頼ですか、作為的なものを感じるのは流石に穿ち過ぎですね。

 私はアルフォンスさんの顔を見ながら、どうしたものかと考えを巡らせるのでした。


一定以上の戦闘能力が求められるお酒の配達のお仕事。



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