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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第二章 友人が言うので普通に遊びますが、姉に対する警戒は怠るつもりはありません。
20/36

妹、知らない部屋で目覚める。

チャンスがあれば言ってみたい台詞はたくさんあるけど、言う機会はなかなか訪れないジレンマ。



日間VRゲームランキング(18/12/22 11時~12時更新)にて55位になりました。

週間VRゲームランキング(18/12/22朝更新)にて68位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

「知らない天井ですね」


 意識を取り戻した私は、見知らぬ部屋に寝かされていました。

 咄嗟に出たのはお決まりの台詞。一度は言ってみたかった台詞です。

 ここで言わなければ、いつ言えと言うのでしょうか。


「医務室……にしては、豪勢過ぎますね」


 自分が5人くらい横になっても、なお余裕がある大きなベッドに私は寝かされていました。

 滑らかな絹のような肌触り。優しく包み込むような弾力。そのあまりの素晴らしさに、いつまでも横になっていたい衝動に襲われます。


「流石に、そういうわけには行きませ――!?」


 誘惑を振り払い、起き上がった私は、掛けられていた薄布の下の自分の姿に、息を飲みます。


「紅いドレス……誰が……何もされて……ないですね」


 先程まで来ていた服とは違う衣装。見覚えのない服を私は身に纏っていました。

 意識を失っている間に何かされたのかと、念の為に各部を確認してみます。


 ……何もされてないようです。ひとまずは一安心と言った所でしょうか。


 私はいつの間にか紅色の胸元が大きく開いた黒いフリルがついたドレスを着ていました。

 腕には同じような紅色のサテングローブを嵌めています。

 ベッドの下には、ドレスシューズが一足。履いてみれば、恐ろしい程にぴったりでした。

 ベッドの側に立て掛けられていた日傘も、紅色になっていて、ドレスと合わせるかのように、黒いフリルで装飾がされています。


 一瞬、誰かが着替えさせたのかと思いましたが、冷静に考えてみるとおかしいですね。

 この衣装は私の身体のサイズにぴったり過ぎます。

 まるでオーダーメイドで私の為だけに創り出されたかのような衣装。

 服が変化していたことに気付かなかったくらい違和感のない――


「『ステータス閲覧』」


 ふと、1つの可能性に思い当り、ステータスを開きます。



 ◎基礎情報

 名称 シャーリィ

 総合レベル6/ベースレベル3/種族レベル3

 種族 <吸血種族>

 性別 女

 職業 <冒険者>

 称号 <狼達の恐怖><鮮血の狂姫>


 活性スキル(2/3)

 【黄金神眼Lv3】【鑑定Lv1】

 【黄金神眼】追加スキル枠(2/3)【暗視Lv3】【弱点看破Lv3】


 常時スキル

 【吸血】【夜行性】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【種族共通語】

 【血霧化】【刺突】【集中観察】【見切り】


 ◎スキル情報

 種族スキル

【吸血】【夜行性】


 個人スキル

 固有:【黄金神眼Lv3】

 戦闘:【挑発Lv1】【刺突】

 回避:【血霧化(2/3)】【見切り】

 耐性:【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】

 解析:【透視Lv2】【鑑定Lv2】【暗視Lv3】【集中観察】【弱点看破Lv3】

 言語:【種族共通語】


 一般スキル

 なし


 ◎装備情報

 右手武器 ≪古びた鮮血の狂姫の日傘≫

 左手武器 なし

 頭 なし

 上半身 ≪古びた鮮血の狂姫のフリルドレス≫

 下半身 ≪古びた鮮血の狂姫のフリルドレス≫

 腕 ≪古びた鮮血の狂姫のサテングローブ≫

 足 ≪古びた鮮血の狂姫のドレスシューズ≫

 アクセサリ なし

 アクセサリ なし

 その他 ≪初心者用アイテム鞄≫


 ◎アイテム情報

 初心者用アイテム鞄 64/100

≪シャーリィの棺桶≫ 重量50

≪星の鍵≫ 重量1

≪職業カード(冒険者)≫ 重量1

≪血液パック≫×4 重量12


 所持金 620G



 最初からこうしていれば良かったですね。

 ステータスを開けば自分の状態が一発でわかります。

 その発想にすぐに至らなかったのは、思ったよりも混乱している所為なのかも知れません。


 黒騎士を倒したおかげか、ベースレベルと種族レベルが上昇していました。

 意識を失っている間に成長ログが流れていたようです。

 スキルの方も、【黄金神眼】のレベルが3に上昇、【透視】と【鑑定】のレベルも2に上昇していますね。


 称号が増えていますね。

 <狼達の恐怖>の隣に<鮮血の狂姫>というのが追加されています。

 なんですかね。<鮮血の狂姫>というのは。

 いや、言わんとすることはわかりますが、そこまで言われることだったでしょうか。


 ちょっと切り裂かれた鮮血で全身を染めながら、胸を貫かれながらも相討ちで相手を倒しただけじゃないですか……!


 【苦痛耐性】と【血霧化】を持っていれば誰でもやるでしょう。

 そこまで言われる程、称号にされる程のことでもありません。


 スキルの詳細は後で確認するとして、装備の方ですが――


「……これは誰かに着替えさせられたわけではなく、ウィリアムさんが言っていたように、『古びたシリーズ』が成長した、ということですかね」


 呟きながら装備の詳細をひとつひとつ確認していきます。



≪古びた鮮血の狂姫の日傘≫

 レア度☆☆☆☆☆☆☆☆☆ シャーリィ専用 売却不可

≪古びた白い日傘≫とシャーリィの血が混じりあったことで生まれた日傘。



≪古びた鮮血の狂姫のフリルドレス≫

 レア度☆☆☆☆☆☆☆☆☆ シャーリィ専用 売却不可

≪古びた白いワンピース≫とシャーリィの血が混じりあったことで生まれたフリルドレス。



≪古びた鮮血の狂姫のサテングローブ≫

 レア度☆☆☆☆☆☆☆☆☆ シャーリィ専用 売却不可

≪古びた白いサテングローブ≫とシャーリィの血が混じりあったことで生まれたサテングローブ。



≪古びた鮮血の狂姫のドレスシューズ≫

 レア度☆☆☆☆☆☆☆☆☆ シャーリィ専用 売却不可

≪古びた白いサンダル≫とシャーリィの血が混じりあったことで生まれたドレスシューズ。



 【血霧化】の影響か、鮮血に身を染めた影響なのかはわかりませんが、私の血が混じりあったことで、装備が進化したようですね。

 専用化した上に、レア度が凄いことになっていますが、特に効果はないようです。

 ぶっちゃけ、完全に見た目装備ですね。

 効果があっては<魔道具>になってしまうので、それも当然と言えば当然なのですが。


「<魔道具>は人間種族専用ですからね。最後にスキルの確認ですが――」



【黄金神眼Lv3】

 分類 固有/活性

 射程 全体/視界

 効果 視界を利用するスキルをこのスキルのスキルレベル×1個分、本来の活性スキル枠とは別に登録することが出来る。

 このスキルは非活性状態にすることが出来ない。

 このスキルを所持している限り、あなたの瞳の色は黄金色固定となる。


 Lv2効果 登録した視界を利用するスキルのレベルをこのスキルのレベルに変更する。

 Lv3効果 登録した視界を利用するスキルの効果範囲をこのスキルの効果範囲に変更する。



「おおう。これはまた――」


 【黄金神眼】のLv3効果は登録された視界を利用するスキルの効果範囲の全体化のようです。

 見れば、【黄金神眼】に登録していたスキルの射程が『対象』から『対象(全体化)』に変化していました。


 Lv2効果もアレでしたが、Lv3効果はそれに輪をかけてマズイ代物です。

 登録スキルによっては大参事を引き起こしかねません。

 たとえば『視界内の対象を石化する』という効果のスキルがあったとします。

 もしも、その対象が全体になったとしたら――


「……視界内にいる全員が石化する、ですか。

 石化だけでなく、魅了とかでも酷いことになりますね」


 『視界内の対象を○○する』といった攻撃系、状態異常系のスキルを登録した際には細心の注意を払った方が良さそうです。

 今は解析系スキルが多いですが、今後そういったスキルを入手した時のことも考えておかないとですね。


「【透視】のLv3効果で体力と魔力がゲージとして見ることが出来るようになるのですね。

【弱点看破】のLv3効果は弱点攻撃時のクリティカル率増加ですか。

 【暗視】のLv3効果は……ないみたいですね」


 【黄金神眼】にスキルを登録して、その効果でLv3効果を確認していきます。

 【透視】のLv3効果は便利ですね。相手の体力と魔力が見えれば、戦い安いですし、味方を援護する時も、回復等が必要なのか一目でわかります。

 【弱点看破】のLv3効果はクリティカル増加らしいですが、クリティカルの仕様がわからないのでなんとも言えませんね。追加ダメージでも発生するのでしょうかね。

 【暗視】は何もありませんでしたが、これはこれで収穫でした。


 【黄金神眼】は登録したスキルのスキルレベルを【黄金神眼】のレベルに合わせます。

 しかし、スキルレベルがあがっても、最大スキルレベルより上の効果は生えてくることはないようです。

 スキルLv自体を参照する【鑑定】みたいなスキルだと、また違うのでしょうけどね。


「【黄金神眼】に【透視】【暗視】【弱点看破】を装備して、通常枠に【鑑定】と【挑発】を入れて……こんなところでしょうか」


 一通りの確認を終え、スキルの変更をした所でステータスを閉じます。

 こういう作業は気持ちを落ち着かせるのに丁度いいですね。

 ええ、正直に言いまして、まだ少しばかり混乱しています。

 今は多少落ち着いてきましたが、意識を失って気付いたら見知らぬ豪勢な部屋。

 これで混乱しない人がいれば見てみた――姉ならもっと冷静に対処しそうですね。

 そのことに思い至った私は、まだまだ姉の背は遠いですね、と自嘲するように溜息を吐くのでした。


全体化という名の無差別化とも言う。



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