妹、ステータスを確認する。
二話目です。この話から18時の投稿になります。
「ここは……?」
光が消えるとそこは暗闇でした。
状態としては私の身体をぴったり入れられる大きさの箱の中で仰向けになり、お腹の上に手を置いています。つまりこれは――アレですね。
「吸血種族だからってスタートが棺桶の中ってどうかと思うのですよ」
両手で蓋を押し上げ、棺桶の中から起き上がります。
辺りを見渡せば、そこは10畳くらいの大きさの板張りの部屋でした。
部屋にあるのは机と椅子。一人用のベッドだけ。
どうやら自分はベッドの上に置かれた棺桶の中で眠っていたようです。
メニューを開いて<ヘルプ>機能で調べてみると、ここは各プレイヤーに与えられる<隠れ家>という名前のプライベート空間のようです。
<隠れ家>の初期状態は全員共通ですが、ゲーム内通貨でカスタマイズをすることで個性を出すことが出来るみたいですね。
部屋に入れるのは本人と本人が許可を与えたフレンドのみ。
フレンドになっても本人が許可を与えなければ入ることは出来ないそうです。
このまま外に出てレベル上げや街の散策と行きたい所ですが、その前にひとまずステータスの確認を先にしておきましょう。
『ステータス閲覧』と念じ、ステータス画面を開きます。
名称 シャーリィ
総合レベル2/ベースレベル1/種族レベル1
種族 <吸血種族>
性別 女
職業 <なし>
活性スキル(1/1) 【黄金神眼Lv1】
【黄金神眼】追加スキル枠(0/1)
常時スキル 【吸血】【夜行性】
種族スキル
【吸血】【夜行性】
個人スキル
【黄金神眼Lv1】
一般スキル
なし
装備
右手武器 ≪古びた白い日傘≫
左手武器 なし
頭 なし
上半身 ≪古びた白いワンピース≫
下半身 ≪古びた白いワンピース≫
腕 ≪古びた白いサテングローブ≫
足 ≪古びた白いサンダル≫
アクセサリ なし
アクセサリ なし
その他 ≪初心者用アイテム鞄≫
所持アイテム
初心者用アイテム鞄 50/100
≪シャーリィの棺桶≫ 重量50
所持金 3000G
「説明された時点でわかっていたことですが序盤はお荷物スキルになりそうですね。化けることが約束されているので文句はありませんが」
貴重な活性スキルの枠が非活性状態に出来ない【黄金神眼】で埋まってしまっています。【黄金神眼】は視界系スキルをそのレベルの数だけ活性スキルの枠を使わずに使用できるようにするスキルですが、視界系スキルを所持しておらず、レベル1の状態の【黄金神眼】は瞳を黄金色にするだけのスキルに過ぎません。
レベルが上がり、視界系スキルを複数手に入れることが出来れば、真価を発揮することが出来るのでそれまでの辛抱ですね。
<Star Gate Online>のスキルは【常時スキル】と【活性スキル】の2つに分けることが出来ます。
【常時スキル】は所持しているだけで効果が発動するスキルで、レベルは存在せず、その効果は低めのものとなっています。
【活性スキル】は登録をしないと効果が発動しないスキルで、レベルが存在しており、レベルが高くなればなる程、強力な効果が使えるようになります。
例をあげるなら、【夜行性】と【吸血】が【常時スキル】で【黄金神眼】が【活性スキル】に分類されますね。
さらに【種族スキル】【個人スキル】【一般スキル】という分類で分けることも出来ます。
【種族スキル】は人間以外の種族が生まれつき所持しているスキルで、その種族の全員が所持しているスキルになります。
【個人スキル】は【種族スキル】以外の効果のあるスキル全般になります。戦闘系、生産系に関わらず、効果があるスキルは【種族スキル】を覗いて全てここに分類されます。
【一般スキル】は効果を持たないスキル全般になります。つまりはフレーバーですね。
ただし、フレーバーといってもNPCの好感度等に関わるそうなので、軽視は出来ないみたいです。行動によって自動で付いていくらしいですが、楽しみであり、怖くもあり、ですね。
所持しているスキルの詳細を1つ1つ確認していきます。
自分が一体何が出来て何が出来ないかを知らないといざとなった時に困りますからね。事前の確認は大事なのです。
【吸血】
分類 種族(吸血)/常時
射程 対象/接触(口)
効果 対象の血を口から吸うことで、自分の満腹度と体力を回復する。
【夜行性】
分類 種族(吸血)/常時
射程 自分/自分
効果 太陽の下にいる限り、10秒ごとに体力の1割を失い続ける。
月光の下にいる限り、10秒ごとに体力の1割を回復し続ける。
【黄金神眼Lv1】
分類 固有/活性
射程 全体/視界
効果 視界を利用するスキルをこのスキルのスキルレベル×1個分、本来の活性スキル枠とは別に登録することが出来る。
このスキルは非活性状態にすることが出来ない。
このスキルを所持している限り、あなたの瞳の色は黄金色固定となる。
【吸血】はやはり接触(口)ですか。
超至近距離まで近づかないといけないのが面倒ですね。
なんらかの手段で相手を動けなくしてから使用した方が良さそうです。
吸血鬼なら相手を動けなくさせる為の魅了系スキルがあってもいいと思うのですけどね。吸血種族と吸血鬼は違う、ということなのでしょうか。
【夜行性】は読んで字のごとく、夜に輝くスキルですね。
強力なスキルですが、月光の下にいる限り、という条件があるので月の出ていない夜や室内での戦闘になった時は気を付けた方が良さそうです。
【黄金神眼】は良くも悪くもこれから取得する視界系スキル次第ですね。
そう、これからです。現時点では瞳の色を黄金色固定にするスキルでしかありません。
まずは日常的に使える視界系スキルを取得して、スキルレベルを上昇させなければ。
視界系スキルの中で最初に覚えるとするなら【暗視】でしょうか。
【暗視】を覚えれば、吸血種族はその特性上、夜に活動することが多いので役立つ場面が多いでしょう。もちろん吸血種族以外が覚えても有用なスキルです。
新しいスキルの取得方法ですが、<SGO>では複数のスキルを覚える方法があります。
1つめは身体で覚えるという方法。
覚えたいスキルに値する行為を繰り返していれば、そのスキルを覚えることが出来ます。
2つめは誰かに師事するという方法。
そのスキルをマスターしているプレイヤーやNPCに教えて貰うことで、そのスキルを覚えることが出来ます。
3つめは『○○のスキル書』というアイテムを読むという方法。
覚えたいスキルに該当するスキル書を読めば、読み終えた頃にはそのスキルを覚えることが出来ます。
4つめはスキル習得クエストをするという方法。
クエストの中にはスキルを覚えられるクエストもあるそうです。
5つめは所持しているスキルを育てるという方法。
スキルを育てていくと派生スキルが発生することがあるそうです。
【暗視】を覚えるなら1つめですね。
暗闇の中で過ごしていれば、そのうち覚えられるでしょう。
夜はなるべく灯りを付けずに過ごすことにしましょうか。
うっかり、すやぁしないように気を付けなければ…!
装備は初期装備ということもあって、特にこれといった能力は付いていないようです。
日傘って武器だったのですね。初めて知りました。
日傘で太陽の光から身を護らないといけないのに、武器が日傘とは……太陽が出ている間は大人しくしていろ、ということなのでしょうか。
所持アイテムは≪シャーリィの棺桶≫と3000Gの初期資金のようです。
≪シャーリィの棺桶≫というのは先程まで寝ていた棺桶のことでしょう。
初心者用アイテム鞄の重量制限の半分を、これだけで占めるというなんとも重い寝袋です。
実質アイテム鞄の容量が半分になっているようなものですが、太陽の光を浴びると体力が減る身というのを考えれば、これも仕方のないことなのでしょう。
遠征先でいつも屋根と壁のある場所で眠れるとは限らないですからね。
体力と言えば、<SGO>では体力や魔力が表示されないようです。
満腹度の表示もありません。これらはマスクデータになっているようです。
内部データとしては存在しているのでしょうが。
さて、ステータスの確認はこれくらいでいいでしょう。
ステータス画面を閉めて、棺桶をアイテム鞄に仕舞います。
念の為、日傘を準備しておきましょう。
扉から出た瞬間に太陽の下でしたというのは勘弁願いたいので。
棺桶と日傘は吸血種族の嗜み。
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