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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第二章 友人が言うので普通に遊びますが、姉に対する警戒は怠るつもりはありません。
19/36

妹、訓練所に行く。 その2

毎日更新に穴を開ける所でしたが、ぎりぎりで間に合いました。


週間VRゲームランキング(18/12/21朝更新)にて69位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 秘蔵のワインならぬ血を犠牲にして、【血霧化】という即死回避スキルを手に入れることが出来ました。

 1日に最大で3回まで即死を回避してくれる強力なスキルです。

 1日に1回分しか使用可能数が回復しませんから、このスキルに頼りきることは出来ませんが、緊急時の回避手段としては、かなり有用でしょう。


「いろいろと検証してみたいこともありますが、それはまた今度の機会ですね」


 そもそも此処に来た目的は日傘に適応するスキルを覚えることです。

 他の3人の吸血種族からも、何かしらのスキルを教えて頂けるかも知れませんが、それはまたの機会にします。

 どうせ、今日1日でスキルを覚えられるかもわかりませんし、また此処にくることになるでしょうからね。



 チケットを地下の受付の人に見せて訓練を開始します。

 日傘に適応するスキルは3つ。

 【刺突】【薙ぎ払い】【防御行動】です。

 【防御行動】を覚えるには攻撃を防ぐという動作が必要ですから、相手がいなければ覚えることが出来ません。

 【防御行動】はシオリに攻撃役を頼むか、実戦で回避より防御を意識して動くことで覚えるとして、まずは【刺突】か【薙ぎ払い】を覚えることにしましょう。



「これはなかなか楽しいですね」


 訓練所でのスキル習得はミニゲームをすることで覚えることが出来るようです。

【刺突】を覚える為には、次々と出現する急所にポイントが貰える二重丸が付いた訓練人形を刺し続け、視界の端に出てくるポイントが一定数溜まれば習得とのこと。

 失敗すればポイントが減ってしまうみたいですが、今の所はノーミスを維持出来ています。

 このまま最後まで――



 3000ポイントを突破しました。

【刺突】を獲得しました。


【刺突】

 分類 戦闘/常時

 射程 自分/戦闘状態

 効果 戦闘時、刺突攻撃の威力が上昇する。



 おや、スキル獲得アナウンスが流れましたね。

 どうやら無事に【刺突】を覚えることが出来たようです。

【刺突】の効果は刺突攻撃の威力上昇ですか。

【刺突】という攻撃技を覚えるのとばかり思っていましたが、どうやら違ったみたいです。

 なかなか楽しめましたが、これで終わりなのは少し残念です。

 そう思っていた矢先――



 『難易度:裏モード』に挑戦しますか?



 追加アナウンスが流れました。

 おお、裏モードというのがあるのですね。

 名前からして、難易度が上昇するのはわかりますが、新しいスキルを覚えたりも出来るのでしょうか。

 【刺突】の上位スキルや派生スキルを覚えることが出来ると嬉しいですね。

 私は躊躇わずに肯定をして裏モードを開始しました。





「上位スキルや派生スキルを覚えられるといいな、とか考えていた数分前の自分を殴りたいですね……!」


 数分後、私は轟音をあげながら迫ってくる巨槍をぎりぎりで避けつつ、愚痴を零す羽目になっていました。


 裏モードを選択して現れたのは、黒い槍騎士。

 黒い全身甲冑に身を包み、巨大な槍を携えた黒騎士は、その外見に似合わない速度で迫り、高速で槍を突き出してきています。

 突き技しかしてこないのは、これが【刺突】獲得のミニゲームの派生だからでしょうか。

 全身鎧を装備している癖にして速度は同等、攻撃能力は貫通重視でしょうか、防御は全身鎧により頑強であろう敵。


 【透視】で視れば赤いオーラが立ち昇り、格上ということを私に知らしめてきます。

 <ハティ>も同じ格上でしたが、あちらは圧倒的に速度が足りていなかったので、まだ対処が容易でした。

 特にあの時は私自身の能力も使用可能でしたからね。


「<ハティ>に使ったのは失敗でしたか……いえ、使わなければ知らないうちに織莉恵を殺してしまったか、彼女に殺されることになっていたでしょうし、あれで正解ですね」


 私の事象改変能力は1日に1度しか使えません。

 事象の改変という巨大な力を易々と行使できるはずもなく、一度使うと1日のインターバルが必要になってくるのです。

 発動すれば、効果時間の続く限り、何度でも<扉>を開き続けることが出来ますが、発動すら出来ない今の状況では意味がありません。


「突き技しかしてこない為に、速度はあっても動きは単調。

 このまま時間いっぱいまで避け続けることは可能ですが――」


 視界の端にタイムリミットが表示されています。


 385……384……383……


 600から始まった数字は刻々と減り続け、今は400を切った所。

 戦闘を開始してから大体3分と少しくらいですか。

 残り6分と少しを耐え続ければ、この黒騎士は消えるでしょう。


 しかし――


「……でも、それだと姉に負けた気がしますから、ね!」


 我ながら悪い癖ですね。と、心の何処か奥底で考えながら、回避だけに集中することをやめ、黒騎士に仕掛けます。

 回避に集中することをやめたことにより、回避の難易度があがり、槍の切っ先が僅かに掠るようになってきました。

 白いワンピースが引き裂かれ、肌が切り裂かれ、肉が抉られ、血が溢れ、身体を紅く、紅く染め上げていきます。

 痛みによる動きの阻害は【苦痛耐性】で無視して、とにかく近づいて相手を観察します。


 全身を突かれ、切り裂かれ、紅に身を包みながら、痛みをスキルで無視をして相手を見続ける。

 攻撃は最低限。相手が槍を突き出した瞬間、戻すまでの僅かな間。

 0コンマにも満たないその瞬間に、合わせて日傘を突き出す。

 狙いは倒す為ではなく、動きを少しでも阻害する為。

 まだ狙いは定まっていないから。

 本当に穿つべき場所は見つけていないから。

 ただ、ただ耐えながら、相手を見続ける――



【集中観察】を獲得しました。


【集中観察】

 分類 解析/常時

 射程 対象/視界

 効果 対象を集中して視ることで、視界を利用するスキルの効果を上昇させる。



 流れるスキル獲得アナウンス、スキルの獲得は狙っていましたが、これではありません。。



【見切り】を獲得しました。


【見切り】

 分類 回避/常時

 射程 対象/視界

 効果 自分の視界内で攻撃をしてくる対象の動きが見やすくなる。



 再び、スキル獲得アナウンスが流れます。

 回避がしやすくなりましたが、求めていたスキルとは違います。

 あともう少しで『視えて』きそうな気もするのですが――



【弱点看破】を獲得しました。


【弱点看破Lv1】

 分類 解析/活性

 射程 対象/視界

 効果 視界内の敵の弱点がわかるようになる。


 Lv2効果 弱点攻撃時の攻撃威力が上昇する。



 これを待っていました――!


 残りカウント30を切った所で、ようやく目的のスキルを覚えることが出来たようです。

 全身は流れた血で紅く染まり、【苦痛耐性】が無ければ痛みでまともに動くことも出来ないくらいに切り裂かれています。

 古びた白いワンピースはボロボロで、服としての体裁を取っていません。

 正直どうしたものでしょうかね。


 残りカウント20


 服飾ギルドというのがあるみたいですし、顔を出してみましょうか。

 もしかすると直せるかもしれません。

 これからすることを考えれば、必要ないかも知れませんが。


「『ステータス閲覧、スキル』」


 呟き、ステータスを開いて、【黄金神眼】の追加枠に登録するスキルを【暗視】と【透視】から、【暗視】と【弱点看破】に変更します。


 残りカウント10


 【弱点看破】をセットしたことで、黒騎士の首に白い光が生まれました。

 あれが弱点ということでしょう。

 問題はあそこを突くにはそれだけ接近しなければいけないということですが――


 残りカウント1


「さっきの方には感謝ですね」


 胸を槍で貫かれながら、私は突き出した日傘で黒騎士の弱点を貫きました。

 黒騎士の甲冑がバラバラになり、地面に落下していきます。

 どうやら、中身は空っぽだったようですね。



 おめでとうございます。『難易度:裏モード』をクリアしました。



 槍に胸を貫かれたことで、即死ダメージを受けた自分の身体が赤い血の霧になっていくのを感じながら、私はそのアナウンスを薄れゆく意識の中で聞いたのでした。


今回は倒れてしまいましたが、黒騎士さんは再び立ち上がることでしょう。

またノーミスクリアをするような、才ある者が現れ続ける限り、

何度でも、何度でも、彼は愛槍を片手に立ち上がり続けるのです。


ランキングに参加しています。

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