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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第二章 友人が言うので普通に遊びますが、姉に対する警戒は怠るつもりはありません。
18/36

妹、訓練所に行く。 その1

スマホで読んでいる人が多かったので、台詞と台詞の間を空けてみました。

更新報告をツイッターですることにしました。詳しくは活動報告にて。


週間VRゲームランキング(18/12/20朝更新)にて52位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 シオリにフレンドの通信機能で訓練所に向かうことを伝えてから、騎士団ギルドに向かって出発します。

 そちらの用事が終わったら、とシオリも誘ってみたのですが、どうやらシオリの方は何やら立て込んでいるようです。

 「手伝いますか」とも申し出たのですが、獣人種族以外の協力を求めることは出来ないそうで、吸血種族の私は断られてしまいました。

 仕方がないので明日の朝、冒険者ギルドで合流することだけを決めたのですが。

少し、心配ですね。シオリが変なことをしていなければいいのですが……



 騎士団ギルドは白磁色の高い壁に囲まれた施設でした。

 壁の中には騎士団ギルドで使っているであろう3階建ての白い建物が建てられており、その側には大きな訓練場が備え付けられています。

訓練場は中央で2つに区切られ、片方では白い統一された鎧を着た騎士団ギルドの人達が訓練を行い、もう片方では私の様な一般利用客でしょうか、様々な衣装の人達が思い思いに訓練をしていました。


「一般利用の為の受付は……ああ、おそらくはあれがそうですね」


 一般利用客が使っている訓練場の入り口付近に、それらしき場所を見つけました。

 2人か3人くらいが詰めることが出来そうな、小屋が訓練場の入り口に建っています。

 どうやら、外側と内側で小さな窓を介してやりとりができるようになっているようです。

 イメージとしては遊園地等のチケット売り場でしょうか。

 私は小さな窓の外に立ち、中にいる騎士団ギルドの男性に声をかけます。


「すみません。訓練所の利用をしたいのですが」


「あ、一般訓練所の利用ですね。ご利用時間はいかがなさいましょう」


「その前に、私は吸血種族なのですが、室内訓練は出来ますでしょうか?」


「可能です。騎士団ギルドの裏手に階段がありますので、そこを降って.行ってください。

受付がありますので、そこで一般利用者に渡すチケットを提示してくだされば、地下の室内訓練場を利用することができます」


 地下に訓練場があるのですか。地下なら間違っても日が差し込んできたりはしないでしょうし、日の光に弱い吸血種族にも安心ですね。


「ありがとうございます。それでは3時間程、お願いします」


「わかりました。150Gになります」


 代金を支払う為にアイテム鞄からお金を取り出そうとして、ふと気付きます。

 そういえば、アレは使えるのでしょうか?


「すみません、こちらは利用できますか?」


 私は現金ではなく、冒険者ギルドのカードを取り出して見せることにしました。

 マリアさんは依頼料をギルドカードに直接入れておく、と言っていました。

 その場では流してしまいましたが、よくよく考えてみれば、それはギルドカードを中に入っているお金の分だけ買い物等が出来る、プリペイドカードみたいな形で利用出来るという証左ではないでしょうか。


「はい、可能です。職業カードでのお支払いですか?」


「えっと、冒険者ギルドと騎士団ギルドで違いますが、手数料とかは必要になりますか?」


「いえ、手数料等は必要ありません。職業カードは総ての職業ギルドで共通して手数料なしで利用が可能です」


「ありがとうございます。それではカードでお願いします」


「かしこまりました」


 支払いを済ませ、騎士の青年からチケットを受け取った私は、騎士団ギルドの裏手の階段から行くことが出来るという地下の訓練場に向かいます


 騎士団ギルドの裏手にいけば、成程、石で作られた雨避けの為であろう建物の中に、地下へと降りていく階段がありました。

入口にあった石碑に書かれていた説明によれば、ここは元々地下闘技場として使われていた場所のようです。


 石碑にはクランの一族とディルスの一族の争い、地下闘技場の歴史、そして二つの一族をまとめあげたクランディルス子爵家の功績が長々と書かれていました。

 どうやら、地下闘技場はクランの一族とディルスの一族がクランディルス子爵家の初代当主が現れるまで、互いの雌雄を決する場として使われていたようですね。


「街に歴史あり、ですね」


 左右に灯りの灯る螺旋階段を降りて、階下に辿り着けば、ちらほらと人影が見えました。

 ここにある灯りだけでは視界が心許ないので【暗視】を使うことにします。

【暗視】で見廻せば、昼間のようにはっきりと周囲を確認出来ます。

随分と白い肌の人が多いようですね。その誰もが、畳んだ日傘を手にしています。


 あー、うん。これは――


 どうみても吸血種族。同胞ですね。

街の上で見かけないと思ったら、こんな場所に居たようです。


「ここは吸血種族の集会場か何かでしょうか」


 私が呟くと、吸血種族達がこちらに気付いたのか、視線を向けてきます。


「おや、新しいのが来たぞ」


「他種族か? それなら血を分けて貰いたいのだが……」


「同族みたいだわ。とても可愛らしい娘よ」


「黄金の瞳か。まさか、な」


 純粋に興味深げそうに見つめてくるもの。

同族と聞いて残念そうにするもの。

愛玩動物に向けるような視線を向けてくるもの。

私の瞳を執拗に観察しようとするもの。


4人の反応は様々ですが、共通するのは突然現れた私に興味津々と言った所でしょうか。

……いや、1人だけは違いますか。

私が同族と知って残念そうにした吸血種族は、脱力したように肩を落としていました。

 なんとなく気になったので近づいてみます。

 3時間の訓練時間は、受付でチケットを渡してからの開始ですし、問題はないでしょう。


「どうしたのですか?」


「なんだ? ああ、さっき降りてきた奴か。何の用だ?」


「私が同族と知って、随分と残念そうにしていたのが気になって」


「興味本位か、まあいい。教えてやる。

 俺達吸血種族がアクアリア教会にどれだけ虐げられてきたのかを、な」


 大仰に手を広げ、彼は演説を始めました。

 時間にして10分くらいでしょうか、話を要約すれば彼の言いたいことは――


「……つまり、教会運営のアクアリアマートが出来て、低質な血が広まったことで、本当においしい血が手に入らなくなった。アクアリア教会許せない! ということですか?」


「ああ、今まで普通に買えていた血は軒並み高級品になっちまった。

 今ではまずい血を、生きる為に我慢して飲むしか出来ない。くそ、教会の奴らめ!」


 彼は悔しそうに地団太を踏んでいます。

 どうやら彼は安い血が広まったことで、それまで普通に買えていた血が高くなり、手が出せなくなったことに不満を覚えているようですね。


「……そうだ。あんた何かおいしい血を持っていないか? 良ければ俺に譲ってほしい。

 譲ってくれるなら、お前に俺のとっておきのスキルを記したスキル書をくれてやる」



 クエスト「おいしい血を渡せ!」

 成功条件:一定以上のおいしさの血を渡す。

 失敗条件:一定以下のおいしさの血を渡す。もしくは血を渡さない。

報酬:【血霧化】のスキル書



 彼が言い終えると視界の端にクエストログが流れました、

 スキル習得クエストだったみたいですね。

 一定以上のおいしさの血を渡すのが成功条件ですか。

 一応、それらしき物はあるにはあるのですが、少し気になることもあります。

 渡す前に念の為、聞いてみることにしましょうか。


「私は見ての通り女性です。男性向けの血は持っていませんが、それでも構いませんか?」


「ああ? そんなのは気にするな。男向けとか女向けとか関係ない。

 俺は旨い血が飲みたいだけだ!」


 その言葉が聞きたかった……!


 手持ちに女性向けに作られた血しかなかったので、少し心配でしたが問題はなさそうです。

 私はアイテム鞄から『ブラッディムーン』を取り出し、彼に渡します。


「女性向けの血『ブラッディムーン』です。

 童貞の血を集めて作ったお酒だそうですよ」


「童貞の血……いや、可愛い男の娘だと思えば……んく、んく――

……童貞の血、うめぇ……!」


 どうやら満足頂けたようです。


「童貞の血も悪くないな。新しい扉が開けた気分だ。ありがとうよ。

 ほら、これが約束のモンだ」



 『【血霧化】のスキル書』を入手しました。


【血霧化】

分類 回避/常時

射程 自分/自分

効果 血の霧に姿を変えることで、自分が即死する攻撃を1日に3回まで自動で回避する。

   このスキルの使用回数は3日に1回分だけ回復する。



 おおう。即死回避スキルですか。

 これはかなり良いスキルを覚えられたみたいですね。

シャーリィさんは即死耐性(回数制限付き)を手に入れた!


ランキングに参加しています。

面白い、続きが読みたいと感じましたら、下の方のタグを押してくださると幸いです。

ブックマーク、評価もよろしくお願いします。

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