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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第二章 友人が言うので普通に遊びますが、姉に対する警戒は怠るつもりはありません。
16/36

妹、友人の泊まる宿屋を紹介して貰う。

体調はなんとか悪化せずに持ち直しました。

次の休日にストックを増やして起きたかったので、休日が潰れることにならなくて良かったです。



日間VRゲームランキング(18/12/18 11時~12時更新)にて72位になりました。

週間VRゲームランキング(18/12/18朝更新)にて43位になりました。

おかげさまでブックマークが100を超えました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 冒険者ギルドで私の依頼の報告と、シオリの冒険者登録を済ませた私達は、その足で<月の恩寵亭>に向かって歩いています。

 <月の恩寵亭>で私の宿を確保すると同時に、<月の恩寵亭>のマスターさんに、シオリが泊まる為の獣人種族が泊まれる宿の情報を聞く為です。

 餅は餅屋。宿屋の横のネットワークを期待する、という作戦ですね。

 あ、シオリも『【種族共通言語】のスキル書』を購入したようです。

 他にも購買で何かのスキル書を買っていたみたいですが。


「そういえばシオリ。ギルドで何のスキルを購入したのですか?」


「んー。【解体】だね。ほら、シャーリィってば、倒したのをそのまま放置してきたでしょ?

 だから【解体】スキルを持っていないのかな、って思って買っちゃいました」


「あー。それは気を遣わせてしまいましたね。半分出しますよ」


 どうやら、私が【解体】を持っていないことを見越して、【解体】のスキル書を購入していたようです。

 私がアイテム鞄からお金を出そうとすると、シオリはそれを手で制してきました。


「別にいいよ。それよりシャーリィって、私より先に街に来ているでしょ?

 何かオススメのお店とかある? そういうのを教えてくれたらチャラってことで」


「そうですね――」


 オススメのお店ですか。

 私の知っているお店で、オススメと言えば、やはりあそこですね。

 ちょうど<月の恩寵亭>に向かう途中に一件あるので、そこに案内するとしましょう。



「ということで、コンビニです」


「なんでファンタジー世界にコンビニがあるの!?」


「アクアリアマートというらしいですよ」


「聞いてないし!? というか店員さんが全員神官服にエプロン姿でとってもシュールなんだけど!?」


 オススメのお店を教えて欲しいと言われたので、コンビニを教えたら突っ込まれました。

 解せま……すね。私も同じことをされたら突っ込む自信があります。

 というか狙っていました。まあ、このお店しか知らないのですが。


「便利ですよ」


「確かに便利だけどさー。他にないの? 武器屋とかそういうの」


「そういうお店には行ったことないですね」


「あれ? 狼を倒していたよね? 武器とか、どうしてたの?」


「初期武器ですね。『これ』です」


 私は差している傘を指で指示します。

 日傘――。突いてよし、殴ってよし。開けば盾にもなる万能武器です。

 思ったより、使えたので正直驚いています。


「日傘って武器だっけ?」


「武器らしいですよ。シオリは初期武器に何を貰ったのですか?」


「私は何も貰ってないかな。【肉体強化】で殴れ、ってことかも」


「格闘系ですか。期待していますよ。シオリのシックスパック」


「この筋肉大好き娘め……ならないからね!?」


「ははは。髭も好きですよ」


 ログインした時は『完全獣化形態』でいたシオリですが、所持金3000Gや古びた装備、初心者用アイテム鞄は所持していたようです。

 裸の獣状態で何処に持っていたのかとか、突っ込み所はありますが、ゲームの仕様として納得しておきましょう。

 こういう細かい所に突っ込んだらキリがないですからね。


 <ヘルプ>で確認してみた所によると、どうも獣人種族は最初『完全獣化形態』で始まって、初期イベントをこなして『人型形態』や『半獣形態』になるみたいですね。

 イベントの進行次第で『ケモ度』が変化するとのこと。

 『完全獣化形態』の時に、どれだけ人型になりたいと考えているか次第で、常態が変化するということらしいです。


 完全に人型になりたいと考えていれば、獣耳尻尾だけ。

 獣要素は残して二足歩行したいならそういう姿に。

 人型なんて関係ない! 獣要素100%だ! という人はそのまま獣の姿が常態になるそうです。


 シオリに伝えたら驚いていました。知らなかったようです。

 知っていて、獣人種族を選んだのではないのですか。


 そういえば、シオリの<ハティ>に取り憑かれる強制イベント。

 私の能力でフラグを折ってしまいましたが、大丈夫でしょうか?


「シオリ。<ハティ>に取り憑かれるのはイベントだったのですよね?

 私の能力で取り憑かれない状態に改変してしまいましたが、何か不備はありませんか?」


「んー。今の所はないかなー。獣の状態で始まったのは種族イベントみたいだけど、取り憑かれたのは、それと関係ないみたいだし、たぶん大丈夫じゃない?」


「それならいいのですが……何かあったら言ってくださいね」


「ほいほーい」



 コンビニの案内を終えて、またしばらく歩き、目的地の<月の恩寵亭>に到着しました。

 <月の恩寵亭>の外観は、窓の一切ない黒い壁のゴシック建築の建物です。

 吸血種族好きの主人が、吸血種族の為だけに建てたというだけあって、日の光は一切室内に入りません。

 黒い壁も闇属性を強化するエンチャントが掛けられており、宿泊している吸血種族は、その恩恵により、常に一定の回復バフが付くと言う素敵仕様です。

 逆に光属性に属する機人種族には、回復阻害のデバフになるみたいですが、吸血種族専用の宿屋なので問題はありません。


 中に入ると、来客を知らせる鐘がなります。

 内装は少しおしゃれなバーと言った所でしょうか。

 薄暗い店内を歩き、グラスを磨いているマスターさんの元へ向かいます。

 マスターさんというのは、宿屋の店主の名前です。

 バーのマスターの恰好をしているから、マスターではなく、本名がマスターというらしいです。


「マスターさん、こんにちは」


「おや。シャーリィ様。本日はどういったご用件で?」


「一泊したいのですが、部屋は開いていますか?

 それと友人に宿を紹介して欲しいのですが、獣人種族が泊まれる宿屋でオススメがあれば教えて頂けますか?」


「シャーリィの友人のシオリです。よろしくお願いします」


「ふむ、少々お待ちを」


 マスターさんは磨いていたグラスを置き、宿泊帳らしきものを取り出して、めくり始めます。


「部屋は開いていますね。何泊なさいますか?」


「今回もひとまず一泊でお願いします。依頼次第で遠出をするかも知れませんから」


「わかりました。ただ、もうすぐ<女神祭>が始まります。

 混み合うことになると思いますので、もしかすると泊まれなくなるかも知れません。

 その際はご了承を」


 <女神祭>ですか。

 話を聞けば、その名の通り、女神アクアリアを祝うお祭りのようです。

 久しぶりに神託が出されたこともあり、今年のお祭りは盛大なものになるそうで、クランディルスの街の人達も、<女神祭>を楽しみにしているみたいです。


 んー。開催時期を考えるに、βテストの終了イベントでしょうか。

 姉の性格からして、何かことを起こすなら<女神祭>で人が集まっている時にやるでしょうし、少なくともそれまでは普通に遊ぶことが出来そうですね。


「獣人種族が泊まれる宿でしたら、『癒しのもふもふ亭』が私のオススメですね。

 店主は熊の半獣人で、見た目は粗暴ですが、心の優しい、穏やかな気性の持ち主です。

 ただ極度の異種族嫌いでもあります。

 彼は心を許した異種族以外、頑なに会おうとしない。

 行くとしたら、シオリ様おひとりで行くのがよろしいでしょう」


 渋い白髪交じりの黒髪イケメン壮年が、お腹の奥に響くテノールボイスで、真顔で『癒しのもふもふ亭』と言うのが、こんなに破壊力があるとは――


「筋肉と髭もいいですが、渋めの声もいいですね」


「シャーリィって、相変わらず、男性フェロモンましましの人が好き過ぎるよね」


「ははは。私には妻も子供もいるのでご容赦を」


 思わずつぶやいてしまった私に、シオリとマスターさんのツッコミが飛びます。

 いいじゃないですか。好みは人それぞれなのですから。


「……こほん。それでシオリ、どうしますか?」


「そうだねー。せっかくマスターさんが紹介してくれた所だし、そこに行こうかな。

 シャーリィと一緒にいけないのは残念だけど、どっちにしろ一緒に泊まれないからね」


「かしこまりました。それでは招待状と地図を書きましょう」


 マスターさんが書いてくれた招待状と地図をシオリが受けとります。

 私もマスターさんに宿泊費の150Gを支払い、今日泊まる宿を確保しましょう。

 一旦別れることになるので、離れていても連絡を取れるようにする為に、シオリとフレンド交換をしておきます。

 シオリが『癒しのもふもふ亭』に出発したのを見送りながら、残された私はこれからどうしようかと、考えを巡らせるのでした。

シャーリィさんの言うイケメンは男性的な特徴の高い整った顔のことです。

女性と見間違われるような、とか、中性的な美貌を持つ、とかそういう風に形容される顔の男性は例え整っていても、シャーリィさんの食指は動きません。



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