妹、初めての依頼報告をする。
寒くなってきましたね。自分は少し体調を崩してしまいました。
皆様も体調の管理には気を付けてくださいませ。
日間VRゲームランキング(18/12/17 11時~12時更新)にて38位になりました。
週間VRゲームランキング(18/12/17朝更新)にて44位になりました。
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私とシオリは冒険者ギルドの扉を潜り、中に入ります。
中に居た冒険者達が一斉にこちらを向き、場違いな美少女二人に絡もうと近づいて――くることもなく、彼らは依頼が張り出される壁に集中していました。
「まあ、時間帯的にそうですよね」
今は明け方。いるのは明け方に貼られる依頼の中から、我先にと、いい依頼を剥がそうとする冒険者ガチ勢でしょう。
テンプレのごとく絡んでくるのは、依頼を取れず、昼間から飲んでいるような、落伍冒険者だけ。
そういう人達はこの時間帯にはいません。
シオリへの冒険者ギルドの『洗礼』はまた今度ですね。
「どうかしたの?」
「なんでもありません。それより依頼の報告に行きましょう」
朝の鐘と同時に依頼が張り出され、押し合いへし合いの依頼争奪戦が始まるのですが、今日は参加する予定も、見学するつもりもないので、このまま受付に向かいましょう。
マリアさんは……ああ、いました。
シオリを連れてマリアさんのいる受付に足を運びます。
「マリアさん。ただいま戻りました」
「ああ、おかえりなさい。初めての依頼はどうだった?」
「ちゃんと集めてきましたよ。ルオナ草10個、採取完了です」
「お疲れ様。依頼の品はこのケースに、後はギルドカードを出して頂戴。
Fランクへの更新作業をするから――っと、そのメイド娘は?」
マリアさんはシオリのことが気になるようです。
私は簡潔に説明することにしました。
「私の友人で、新人冒険者志望のシオリです」
「シオリです。よろしくお願いします!」
「マリアベルよ。マリアと呼んで頂戴。冒険者ギルドで受付嬢をしているわ」
紹介が済んだので、先程から気になっていたことを聞いてみましょう。
それは微妙な違和感。別にスルーしてもいいのですが、気になってしまったので仕方ありません。
「互いの紹介が終わった所でマリアさん、少しいいですか?」
「何かしら?」
「口調、仕事モードになっていませんよ?」
気になったのはマリアさんの口調。
真面目な出来る女のような口調から、さばさばした感じの口調に、プライベートの口調になっていました。
「あー。ほら、シャーリィとは一緒に飲んだりしたじゃない。
真面目にやるのは今更かなーって、ちゃんと仕事はするから気にしないで」
これは気に入られている、ということでいいのでしょうか?
まあ、悪い気分ではないので、言われた通り気にしないことにしましょう。
「わかりました。気にしないことにします」
「ありがと。それで依頼なんだけど、根っこがついたままね。
ルオナ草は根っこを抜かずに、必要な部分だけを持ってこないと報酬が下がるわよ。
今回は根っこごと抜いてきているから、C判定になるわ」
冒険者ギルドの規定では、依頼のやり方によって、報酬に変化があるそうです。
まず、依頼失敗はE判定。何も貰えません。下手をすれば逆に賠償を払う必要があります。
次にD判定。依頼は成功ですが、内容があまりにも酷かったモノ。報酬が半額にされます。
次にC判定。依頼は成功ですが、小さなミスをしてしまっていたモノ。報酬が僅かに減額されます。
次にB判定。可もなく不可もなく依頼を成功させた場合。報酬はそのまま。
最後にA判定。依頼大成功。ギルドからの追加報酬に加え、依頼主によっては報酬が増額されるそうです。
私はC判定になってしまったようです。
クランディルス草原のルオナ草の群生地の場所と、そこにいる敵の詳細を調べるのに夢中で、肝心のルオナ草の採取方法に関して調べることを忘れていました。
完全に事前調査不足ですね。これは反省するべきしょう。
「まあ、はじめての依頼ということでオマケしてあげる。
C+評価で、報酬は通常の500Gから、C評価で400Gに、+評価をつけて、450Gになるわ。
報酬はギルドカードに直接入れておくわね」
「ありがとうございます。また今度奢りますね」
「今度はもう少し、いいお酒をお願いするわ」
「わかりました。ビールを奢ります」
「エールよりは高いけど……まぁ、いいわ」
ということで、冒険者ランクがFランクになりました。
Fランクになったことにより、ギルドカードの新しい機能が解放されるようです。
「まず、追加されるのはスキルの項目分け機能よ。
カードを所持した状態で、自分のステータスを表示してみて」
「わかりました。『ステータス閲覧』」
言われた通り、ステータスを表示させます。
◎基礎情報
名称 シャーリィ
総合レベル4/ベースレベル2/種族レベル2
種族 <吸血種族>
性別 女
職業 <冒険者>
称号 <狼達の恐怖>
活性スキル(2/2) 【黄金神眼Lv2】【鑑定Lv1】
【黄金神眼】追加スキル枠(2/2)【暗視Lv2】【透視Lv2】
常時スキル 【吸血】【夜行性】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【種族共通語】
◎スキル情報
種族スキル
【吸血】【夜行性】
個人スキル
固有:【黄金神眼Lv2】
戦闘:【挑発Lv1】
耐性:【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】
解析:【透視Lv2】【鑑定Lv1】【暗視Lv2】
言語:【種族共通語】
一般スキル
なし
◎装備情報
右手武器 ≪古びた白い日傘≫
左手武器 なし
頭 なし
上半身 ≪古びた白いワンピース≫
下半身 ≪古びた白いワンピース≫
腕 ≪古びた白いサテングローブ≫
足 ≪古びた白いサンダル≫
アクセサリ なし
アクセサリ なし
その他 ≪初心者用アイテム鞄≫
◎アイテム情報
初心者用アイテム鞄 72/100
≪シャーリィの棺桶≫ 重量50
≪星の鍵≫ 重量1
≪職業カード(冒険者)≫ 重量1
≪ブラッディムーン≫ 重量5
≪血液パック≫×5 重量15
所持金 950G
「おお。スキルが種類ごとに区分けされています」
「さらに、ページごとの表示も出来るようになったわ。
一旦閉じてから『ステータス閲覧。基礎』でもう一度、開いてみて」
「わかりました……えっと、『ステータス閲覧。基礎』」
◎基礎情報
名称 シャーリィ
総合レベル4/ベースレベル2/種族レベル2
種族 <吸血種族>
性別 女
職業 <冒険者>
称号 <狼達の恐怖>
活性スキル(2/2) 【黄金神眼Lv2】【鑑定Lv1】
【黄金神眼】追加スキル枠(2/2)【暗視Lv2】【透視Lv2】
常時スキル 【吸血】【夜行性】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【種族共通語】
これは便利ですね。
いつもステータスを開くと、必要のない部分まで表示されていたので、正直鬱陶しかったのです。
これなら、必要な部分だけを確認することができますね。
「『ステータス閲覧。基礎』で基礎情報を、『ステータス閲覧。スキル』でスキル情報を、『ステータス閲覧。装備』で装備情報を、『ステータス閲覧。アイテム』でアイテム情報を確認できるわ。
『ステータス閲覧。基礎。スキル』みたいに組み合わせて開くことも可能よ」
「いいですね。これ。でもどうしてFランクからなのですか?」
「登録すればGランクになれるのは知っていると思うけど、登録するだけで依頼に行かないとか、そういう人達に機能を使わせたくないから、らしいわ。
一応、冒険者ギルドの独自の技術だからね。上の方針よ」
「なるほど。他の職業ギルドにもそういうのがあるのですか?」
私が尋ねるとマリアさんは私の腰に下げられている『初心者用アイテム鞄』を視線で示し、
「例えば、<商人ギルド>だと、一定以上の金額を稼いだ商人は、その『初心者用アイテム鞄』の最高峰。『商人用アイテム鞄』を貰えるわ。重量3000まで入れられる特注品よ」
「普通は?」
「普通に購入可能なのが、『下級アイテム鞄』が重量250まで、『中級アイテム鞄』が重量500まで、『上級アイテム鞄』が重量750まで入れられるようになっているわ。
重量1500まで入れることの出来る『特級アイテム鞄』というものもあるらしいけど、残念ながら入手方法はわからないわね」
どうやら『特級アイテム鞄』はレアアイテムのようですね。
『下級アイテム鞄』は1500G、『中級アイテム鞄』は3000G、『上級アイテム鞄』は4500Gで、各ギルドで注文販売しているそうです。
作成するのに<服飾ギルド>と<魔法ギルド>の協力が必要な為、どうしても値段が割高になって、完成するまでに時間がかかるとのことです。
予算が足りないので注文はまた次の機会ですね。
「シャーリィ―、終わった―?」
おっと、シオリが暇そうにしていますね。
今日はシオリの冒険者登録も予定にあります。いつまでも雑談しているわけにも行きません。
依頼の報告やランク更新もひと段落した所で、私はマリアさんに『アイテム鞄』の情報のお礼を言って、シオリに場所を譲ることにしたのでした。
戦闘が出来ても、それだけでは冒険者は務まらないという、そんなお話。
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