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Star Gate Online ~妹は姉の作ったVRゲームで『裏の世界』の仲間達と一緒に遊ぶようです~  作者: 如月ひのき
第一章 姉のことは信じていますが、信じているが故に、疑ってしまうのです。
10/36

妹、初めての依頼をする。

薬草探しは新米冒険者の嗜み。


日間VRゲームランキング(18/12/12 11時~12時更新)にて30位になりました。

週間VRゲームランキング(18/12/12朝更新)にて65位になりました。

皆様のおかげです。閲覧、ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。

 スキルレベルが上昇したことによって、【黄金神眼】に追加された新たな能力は、私ですら少し引いてしまうような代物でした。


Lv2効果 登録した視界を利用するスキルのレベルをこのスキルのレベルに変更する。


 【黄金神眼】のレベルが2になったことによって追加されたこの効果は【黄金神眼】のレベルが2である現時点では大した問題ではないように見えます。

 しかし、【黄金神眼】のレベルが3、4、5とあがっていけば話は変わります。

 本来ならレベル1から経験を積んで一つ一つ、こつこつとレベルを上げていく必要があるものを、それを無視できるということがどういうことか、その意味を理解できるでしょうか。

それは習得した視界を利用したスキルを即座に高レベルの状態で使用できるということを意味するのです。


スキルのレベル上げに費やす時間の否定。

それは浮いた時間を他に充てることが出来るということで――


 最初から付いている効果がスキルスロットの制限を無視する効果だった時点で、予想しておくべきでしたね。


 ・特定の条件のスキルに対するスキルスロットの追加登録効果

 ・特定の条件のスキルに対するスキル経験値を無視したレベル固定効果


 限定特典とは言え、少しやりすぎではないでしょうか。

 この調子だと、次のレベルで追加される効果はもっと酷いことになりそうです。

 まったく、姉はゲームバランスとかそういうものをちゃんと考えているのか疑問になります。

 考えていないでしょうね。だってあの姉ですし。



 資料室で調べものを終えた私はクランディルスの街を出て、ルオナ草の群生地が存在するクランディルス草原へ足を運んでいます。

 私が降り立った街はクランディルス子爵という人が納めている3つの街の1つで、領主の屋敷があるその街は、その家名をとってクランディルスの街と呼ばれているそうです。

 他の2つの街はクランの街、ディルスの街と呼ばれ、クランディルスの街からそれぞれ東と南に一週間程、歩いた距離に存在しています。

 何故、領主の家名を分割したような街があるかと言えば、実際は逆で、元々クランという一族と、ディルスという一族があり、その二つの一族がまとまったものがクランディルスの一族で、その2つの一族をまとめあげた家がクランディルス子爵家と言うことらしいです。

 クランの街にはクラン族の血を濃く継いだ人達が、ディルスの街にはディルス族の血を濃く継いだ人達が、それぞれ独自の文化を築いているみたいです。

 機会があれば行ってみたいですね。


「……と、着いたみたいですね」


 資料室で調べた知識を反芻しながら歩いていると、いつのまにか目的の場所であるクランディルス草原に到着していました。

 クランディルス草原はクランディルスの街からクランの街へと向かう街道を半日程歩いた場所にあります。

 調べものをしていたこともあり、昼過ぎに出発したので半日も経てば既に日は陰り、吸血種族を創造した巨大な神具である『月』が天空に顔を覗かせています。

 実はこのタイミングで到着すること自体は狙っていました。

吸血種族となっている身の上なので、日の光の下では自由に動くことは出来ませんからね。

戦闘になる可能性がある以上、武器である日傘を差したままでは行動に支障が出るのです。


「まずは暗闇に目を慣らさないと」


 巨大な『月』の輝きが地上を照らしています。

 冷たい光で優しく地上を照らす黄金色の満月。

 私は月の光が嫌いではありません。むしろ好きな部類と言えるでしょう。

 その叡智でまるで太陽のように人々に恵みを与え続ける姉。

 しかし太陽は時に恵みだけではなく、破滅をもたらします。

 姉は多くの人々を救うと同時に多くの人々を破滅に追いやっていることを私は知っています。

 姉のもたらす新たな知識や技術の発見という輝きは既存概念の破壊であり、それはそれまでの知識や技術の恩恵を受けてきた者達にとっては破滅の光になってしまうのです。

 そんな苛烈な太陽の輝きのような、姉の姿を見続けていた自分にとって、冷たくも穏やかな月の輝きは、なんとも好ましく感じてしまいます。



【暗視】を獲得しました。


【暗視Lv1】

 分類 解析/活性

 射程 全体/視界

 効果 暗闇の中でも視界を確保することが出来る。


 Lv2効果 暗闇の中に隠れている存在の位置を把握することが出来る。



 しばらく月明かりだけの暗闇を見つめていると【暗視】を獲得することが出来ました。

 元々はこのスキルを最初に覚えるつもりだったのですが、少し遠回りをしてしまいましたね。

 Lv2の効果が表示されているのは【黄金神眼】によってLv2に引き上げられた【鑑定】の効果です。

 【暗視】は育てていくと気配察知の真似事のようなことが出来るようになるみたいですね。

 暗闇の中に隠れているという前提条件があるので、白昼堂々と襲われた場合には役に立ちませんが、それでも便利なことには変わりないでしょう。

 【透視】を外して、【暗視】を【黄金神眼】にセットします。

 【透視】も便利ですが、既にここにいる敵の詳細は事前調査で把握しています。

 【黄金神眼】のレベルを上げる為にセットしたままでしたが、今は必要ないでしょう。


 クランディルス草原に存在する敵は<ウルフ>と<ファング>、そして<ウルフ・ファング>の三種類になります。

 <ウルフ>はそのまま動物の狼です。

 <ファング>は死んだ<ウルフ>の魂が寄り集まった魔物。

 <ウルフ・ファング>は<ファング>が<ウルフ>に取り憑いた魔物で、かなり強力な個体だそうです。おそらくこの魔物がこのフィールドのボスということになるのでしょう。

 この世界はかなり現実感の高い世界ですが、こういう所はちゃんとゲーム的なのですね。


 【暗視】のLv2効果で隠れ潜んでいる<ウルフ>と<ファング>を探し、倒しながら、依頼の達成条件であるルオナ草の採取を進めていきます。

 <ウルフ>はおいしいですね。いろいろな意味で。

 数もそれなりにいますし、血の通った動物なので【吸血】によって吸うことができます。

 逆に<ファング>はあまりおいしくありません。

 <ファング>は霊体系の魔物なので物理ダメージがあまり通りませんし、霊体系で肉体が存在しない、つまり血が流れていない為に【吸血】によって血を吸うことができないのです。



 ベースレベルが2に上昇しました。

 種族レベルが2に上昇しました。

 総合レベルが4に上昇しました

 活性スキルの登録枠が2つになりました。

 不特定多数の<ウルフ>に恐怖を与えた為、<狼達の恐怖>の称号を得ました。

 称号を得たことにより、ステータスの表示が変化しました。 



 レベルが上昇した頃には<狼達の恐怖>という称号を手に入れていました。

 種族スキルのレベルを上げるには、種族スキルを使う必要があるので、日傘で動けなくなるまで攻撃した後に、【吸血】で血を吸い尽くして倒していったのですが、そのことが<ウルフ>達に恐れられてしまったようです。


 レベルがあがったみたいなのでステータスを確認。



名称 シャーリィ

総合レベル4/ベースレベル2/種族レベル2

種族 <吸血種族>

性別 女

職業 <冒険者>

称号 <狼達の恐怖>

活性スキル(2/2) 【黄金神眼Lv2】【透視Lv1】

【黄金神眼】追加スキル枠(2/2)【暗視Lv2】【鑑定Lv2】

常時スキル 【吸血】【夜行性】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【種族共通語】



種族スキル

【吸血】【夜行性】


個人スキル

【黄金神眼Lv2】【苦痛耐性】【光属性耐性(小)】【透視Lv1】【種族共通語】【鑑定Lv2】【暗視Lv2】


一般スキル

なし


装備

右手武器 ≪古びた白い日傘≫

左手武器 なし

頭 なし

上半身 ≪古びた白いワンピース≫

下半身 ≪古びた白いワンピース≫

腕 ≪古びた白いサテングローブ≫

足 ≪古びた白いサンダル≫

アクセサリ なし

アクセサリ なし

その他 ≪初心者用アイテム鞄≫


所持アイテム

初心者用アイテム鞄 88/100

≪シャーリィの棺桶≫ 重量50

≪星の鍵≫ 重量1

≪職業カード(冒険者)≫ 重量1

≪ブラッディムーン≫ 重量5

≪血液パック≫×7 重量21

≪ルオナ草≫×10 重量10


所持金 400G



 総合レベルが上がり、スキルの登録枠が増えたので外していた【透視】を通常のスキル枠に登録し直します。

 【黄金神眼】の方に登録すればLv2効果を使えますが、【透視】のLv2効果は『Lv2効果 対象に掛かっているバフ、デバフの効果を知ることができる』なので、現状では意味がありません。

 <ウルフ>は【雄叫び】という攻撃力を上昇させるスキルを所持しているのですが、事前調査により、それは既知の情報です。既に知っていることを改めて確認する必要はありません。

 目的の数のルオナ草も集め終えましたし、そろそろ戻りましょうか。


 ……いえ、どうやら、そういうわけには行かないようですね。


『――許サヌ……!』


 移動しようとした刹那、私の耳に脳裏に直接響くような声が、怒りと嘆きと悲哀と憎悪、あらゆる怨念を乗せた汚泥のような、どろりとした声が聞こえてきたのでした。

躊躇いなく獣の喉笛に噛みついて、その血を吸うシャーリィさん。



ランキングに参加しています。


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