最悪の人生
目が覚めると、まず、朦朧とした視界の中に白色の世界が顔を覗かせた。
次第にはっきりとしていく視界には1人の
''人物"が映り込んでいた。
その光景によって、はっきりと悟った。つい言葉に出てしまうほどに。
「僕は死んだんだ。」
そこではじめてその謎の"人物"が反応を見せた。
「ようやく起きたか…」
僕は質問せずにはいられなかった。
「あなたは誰ですか?ここはどこですか?僕は死んだんですよね?これからどうなるんですか?」
その"人物"は答えた。
「君は死んだ。君の質問に意味はない。あるのは選択権だけだ。別の世界で生を全うするか、君の世界に転生するか。選ぶが良い。」
は?なんだその傲慢的な態度、発言?僕はそのことを指摘することは出来なかった。その"人物"にはその傲慢さが許される権威のような、言い換えるならオーラがまとわりついていたからだ。
そこで、僕は少し考えた後、こう返した。
「…もう一つの世界に行きたいです。」
そうだ、あんな世界はもう嫌だ。人間関係だって表裏があって、勉強だって好きではないのに、教師からの期待、他人からの嫉妬、毎晩、寝る前に死にたいとさえ思っていた。
だからこそ、もう戻りたくはなかった。
「承知した。言語程度の能力を君の脳にインプットしておいた。精々楽しみにしている。」
あぁ、またこの感覚、あの死んだ時のように、まるで脳が溶けていくような…