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プロローグ
僕は佐藤新一、極普通な高校生だ。
もっというなら、高校二年生。自分で言うのもなんだが、幸いにも勉強もスポーツも人並み以上にでき、現在は難関大学であるT大学に向けて受験勉強を進めている。
そんなわけで、いつも通り、学校から塾に向けて歩を進めているある日のことだった。
ー 通り魔に殺された ー
テレビのニュースでは2、3年に一度見かける程度。
恐ろしいと感じはしても、それは所詮他人事。
まさか自分の身に起きようとは想像もしていなかった。
父さん、母さん、今まで育ててくれてありがとう。ごめんなさい。
このまま死ぬんだろうな…
と、そんなことを考えながら救急車のあの独特なサイレンを最後に、ゆっくりと目をとじた。