出発
「さてと、どこに行くかな」
ウサギのぬいぐるみを抱えた主人公がピザ屋の出入り口付近で外を見渡していた。
「さっきの人間達を追いかけないのか?」
「それも考えたんだが、俺はこの空間自体まったく把握していない」
「それにもうちょっと改装前の場所も散策したくなったのでな、あっち側に行こうと思う」
そう指差したのはさっきピザ屋店内の窓から見たほとんど星空と地面で構成された場所だ。
「私も連れて行くのか?」
「当然そのつもりでお前を抱えてきたのだが」
「まったく勝手なやつだな」
「ダメだったか?」
「まあいい。本当は人間達のいく先をついて行きたかったのだが、この格好では身動き取れない」
そう言った後ウサギのぬいぐるみの体で移動しようとしたがコテンと横に倒れてしまった。
「この有様だ」
ウサギはたいそう不服そうだ。
「わかったから。人間達?のいく先もちゃんと俺が後で追跡するから俺の手提げ鞄の中にでも入ってな」
先程会計を済ませた時にサービスでもらったピザのロゴが入った鞄をウサギに見せた。
「わかった」
そういうなり主人公に鞄に顔だけ出す形で入れられた。
「ではしゅっぱーつ」
「結構楽しんでないか?」
「まあな」
そう言って殺風景な場所へと歩調を進めた。
物語のペースが遅いですがのんびりと読んでいただけると有り難いです。