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1 転生への道のり

続くといいなぁ。

昔から病弱で生活はいつもベットの上でしか行えない、そんな少年がいた。そんな彼の夢は『自分の足で外を見歩きたい』というものだった。

けれど夢は叶わず、僅か15の歳で帰らぬ人となってしまった。

しかし彼は死ぬ直前まで自分が生きるのを決して諦めなかった。まだ見ぬ世界の景色。それを自分で見たいというその強い思いが彼の生きたいと思う気持ちの糧となった。

それでも、彼は病には勝てなかった。

例え家族、身内の輪では小さくない存在でも、世間から、それこそ神様からしたら彼の命は『どこにでもいる人一人の命』として変わらなかった...変わらないはずだった。


---この世界の神様は彼を見捨てなどしなかった。


「ありがとうございます!ほんとうに!ほんとうに!」


僕は死んだ時にこの白い空間に呼ばれた。そこには神様と名乗る80を越えたようなおじいさんがいてビックリしたが、神様曰く、僕を他の世界に転生させてくれるようだった。


「ふぉっふぉ。別にお礼なんていらないわい。それにそなたが病弱だったのにも訳があったしのぉ。その訳もこちらの落ち度なのじゃから、逆にこっちは謝らなければいけん。すまなかった」


神様が『どこにでもいる人一人の命』に対して頭を下げ謝罪をしている。こんなことは他の神様では滅多に...いや、一度もないだろう。


「そんな!頭をあげてください!僕は違う人生でももう一度歩めるのかと思うと神様には感謝しかありません!」


ほんとうに神様には感謝しかない。僕に生きるチャンスをくれるなんてあの病院ではあり得なかった。それは僕の体が弱すぎるからなのだから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。


「それにしても、神様はどうして何かしらの障害を持ったものを死んだときにこうやって転生させてくれるのでしょうか?」


その言葉に対して神様は苦虫を噛み潰したような顔になる。


「それはさっきもいった通りこちらの落ち度なんじゃ。まず地球という星におぬし達は生まれる者では無かった。しかし何かの手違いか、おぬし達は地球で生まれてしまった。元々他の世界で生まれる筈だったおぬし達の体は地球で生まれる時、無理矢理改変され、大小はあるが何らかの障害をもって生まれてしまった。そこに関してはほんとうに申し訳ないわい...」


ようは生まれる世界が違ったから体に異変が起きたらしい。これだけを聞けば完全に神様側が悪いのだが、僕はやはり感謝している。なんせ、二つ目の命だしね。


「なるほど...それで、僕はどのような世界で生まれる筈だったのですか?」


「確かおぬしは...レナトゥスという星じゃ。科学は発展しておらず、代わりに魔法が発展している星じゃな。生活水準は地球に比べるとかなり低いわい」


魔法...ベット生活が暇すぎて色々な本を読み漁っている時にも何度か出てきた言葉だ。にしても科学が発展していない星ってどんな感じなのだろうか?アフリカみたいなものかな?


「後は転生時の特典じゃな」


「特典?何かくれるのですか?」


僕は気になり首を傾げる。


「まあそんなところじゃ。魔法でも知識でも技術でも、その他得体の知れない謎な物でも、存在するものならば4つまで与えることができるのじゃ。流石に転生後の生活で没落したとなったら報われないからの」


ふぉっふぉっと神様は笑う。


「何でも...ですか?」


「何か含みのある言い方だのう」


別に何か企んでいる訳ではないが、4つ全てもう決め終わった。


「それじゃあ『薬師』『鍛冶』『錬金』『健康体』」


そう言うと神様はあっけからんとした顔になる。

僕は少し不安になり、大丈夫なのかを聞く。


「ああ...大丈夫じゃ。しかし変なものばかり考えたのう。普通は最強ハーレム!とか最強無双!とか俺最強で世界の女全員俺の嫁!とか言うんじゃないかのう。流石に最後の嫁は無理じゃが」


「...なんで、普通は最強であるのが必須事項なのですか?」


「いや、大体がこんな事頼むからこんな感じになったんじゃ。人間は回りから特別扱い、ちやほやされるのが好きじゃからのう」


「へ、へぇ」


少し引いてしまう。まず『ハーレム』とか論外だろ。ハーレムとか端から見ればただの女好きで浮気性な人間。一人の女性を集中して愛せない時点でそいつもう人間なのか?というレベル。

次に最強。極端に言うと最強である意味なくね?と。確かに助けてる為に力を必要だろうけど、過剰な力はいつか身を滅ぼすと思う。最強は回りの不幸な出来事を自分から呼びそう。命狙われそうだしね。

最後。世界の女全員俺の嫁?謎すぎるから死んでくれ。


「まあそれで良いと言うなら別にいいわい。しかしそれだと旅が危険になるじゃろう。特別に全鑑定と全隠蔽、それに魔力と格闘にも才がある感じに...あ、これも入れておこう」


神様は一人でぶつぶつと喋りながら紙に何かを書いていく。

契約書か何かでも書いているのかな。


「それってほんとに特別なのですか?」


「全員もらってるわい」


あ...うん。


「よし、できたわい」


神様は筆をおき僕に紙を渡してくれる。


「後はその紙を持ってあの扉に入れば転生できる...ああ、疲れたんじゃ」


「ありがとうございます、ほんとうに感謝しかないです」


「ふぉっふぉ。最後まで律儀な青年よの」


「では、さようなら」


「また今度だわい」


扉を開け、僕は生まれ変わった。

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