ホラー短歌
第一首
夜道を歩いていると、誰かが自分のすぐ後ろを歩いているような気がする時はありませんか?
振り返りたいけど、怖くて振り返ることが出来ない。しかし、そのまま歩き続けていくと、やはり自分のすぐ後ろに気配を感じる。駆け出したいけど、脚が震えて、それも出来ない。そこで、意を決して立ち止まり、おそるおそる振り返ってしまうのです。
そんな時のことを詠んだ歌。
振り返り
誰もいないと
安心し
また前を向いたら
それが立ってた
詠み人 残業で遅くなったOL
本人コメント「残業を押しつけた上司、恨んでやる」
第二首
受験生って大変ですよね。夜中遅くまで勉強しなければなりません。でも、ずっと集中し続けるというのは、効率的には悪いですから、たまにはふっと息抜きをすることも必要です。
でも、そんな時、少し開いているカーテンの隙間から、外の景色を見るなんてことは、避けた方がいいかもしれません。
だって、見なくていいものを見てしまう可能性もありますから。
そんな時のことを詠んだ歌。
窓の外
サラリーマンが
歩いてる
ふと気がつけば
ここは三階
詠み人 受験生の女の子
本人コメント「疲れていて、異常さに気がつくのが遅れました」
第三首
暗い夜道を歩いている時、さっと前を横切る影があったりしたら、そりゃあビックリしますよね。
でも、それがネコだったりして、「にゃあ」と鳴いたら、ホッと胸を撫で下ろします。
そんな時のことを詠んだ歌。
目の前で
ニャアと鳴いてる
黒い影
よくよく見ると
潰れたかたまり
詠み人 塾帰りの女子高校生
本人コメント「あんたを轢いたのは私じゃないから」
第四首
友人が怖い思いをして、あなたに助けを求めてきた時、あなたはどう対処しますか?
そんな時のことを詠んだ歌。
怖いから
もうアパートには
帰れないと
でも部屋じゃない
あんたに憑いてる
詠み人 霊感がある女子大生
本人コメント「私、幽霊見えても除霊とか出来ないし」
第五首
ホラー映画を制作していると、何か不可思議な現象が起きたという話をよく耳にすると思います。
『類は友を呼ぶ』という諺もあるとおり、霊も例外(注・ダジャレではない)ではありません。
そんな時のことを詠んだ歌
ノイズ音
宣伝効果を
期待して
解析すれば
死の予告
詠み人 ホラー映画製作関係者(故人)
本人コメント「名指しで死の予告されちゃったよ(笑)」
第六首
幽霊を信じる人、信じない人。幽霊が見える人、見えない人。幽霊に取り憑かれやすい人、取り憑かれにくい人。
まあ、人それぞれですが、それまで見えなかった人が、ある日突然、霊が見えるようになってしまったらどう感じるでしょうか?
そんな時のことを詠んだ歌
盆休み
田舎の夜道で
友と出会い
思い出話に
花が咲く
詠み人 中年のサラリーマン(故人) 降霊をした霊媒師から口述筆記
本人コメント「あいつ、俺が死んだこと知らなかったみたいだ」
第七首
もし、あなたがお風呂に入っている時に、急に停電になってしまったら。真っ暗闇の狭い空間の中に、あなたは何も身につけてない状態でとり残されてしまったのです。そう考えるとゾッとしませんか。
そんな時のことを詠んだ歌
まっ暗な
バスルームに
ひとりぼっち
鏡に映る
私の泣き顔
詠み人 お風呂好きだった小学生(注・しずかちゃんではない)
本人コメント「もう絶対、夜お風呂入らないんだから」
第八首
逢魔が時って知っていますか? 夕暮れの暗くなりかけの時間帯のことですね。
昔は現代と違って照明の設備も無かったでしょうから、妖怪や幽霊が出てきそうな雰囲気になったのでしょう。また、子どもたちに、早く家に帰らないと人外のものと出会ってしまうよと脅しの意味もあったのかもしれません。
では、現代では逢魔が時という言葉は死語になっていくのでしょうか?
いえいえ、決してそのようなことはありません。
そんなことを詠んだ歌
夕焼けに
赤く染まった
ベランダで
こちらを見てる
赤い犬
詠み人 タワーマンションの十七階の住人
本人コメント「なんで真っ赤な犬がいたのかしら? 私の見間違い? 」
第九首
大学時代の先輩に、夜中になると墓地に出かけていく人がいました。墓地の真ん中で体操座りで静かにしていると、やがて墓の下に眠る死者の声が聞こえてくるんだそうです。 私も誘われましたが断りました。変人にはつき合いたくないし、怖いので。
そんな時のことを詠んだ歌
墓地に行き
死者との会話を
楽しめる
そんなあんたが
何より怖い
詠み人 合沢 時
本人コメント「実話なんだからね。誘われた時、ゾワッと鳥肌が立った」
もしも、もしも好評だったら続きをおおお。