素敵な時間
夕景の時、それは訪れた。
女子高の教室の窓から覗いた景色はこれでもかというくらい綺麗な姿をしていた。
夕日の光で普段とは違う景色。
そんな素敵な時間。
そして、それにも見惚れているような気がした。
「結衣、今日さーカラオケでも行かなーい?」
中身が教科書でいっぱいなカバンを持って沙織がやってきた。
いきなり声をかけられたので私は少し動揺しながら「え、でも来週からテストだよ。しかもカバンパンパンで勉強する気満々じゃん」
すると沙織は「冗談だよ。でも結衣が行くって言ったら行ってたかも」
帰りの支度を済ませながら私は「なにそれー。冗談言えるぐらいテスト余裕なの?」
他愛もない会話をしながら教室を出ていく時に一瞬それを見つめた。
沙織と女子トークをしながら歩いて帰る毎日。
しかし、帰り道になんとなく思うことがある。
夕日に照らされ見惚れていたそれだ。
私はなぜそれに気をとられているのか気づいていた。
だが、自分ではそれを認めるのに戸惑っている。
もう一度彼に出会ったらどうすればいいか。
しかしそれは突然訪れた。
夕景という素敵な時間に。