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漫才脚本シリーズ

漫才脚本「ツッコミがやりたい!」

作者: 山田結貴

A……ボケ担当。B……ツッコミ担当。

コンビ名は考えていないので☓☓としました。

   A・B、ステージに上がる。


A「どうも~☓☓です!」


B「よろしくお願いしま~す!」


   A・B、観客に向かって軽く頭を下げる。


A「あのさ、B君。俺ね、一度ツッコミってのをやってみたいのよ」


B「一体、どういう風の吹き回しですか?」


A「だって、ツッコミってボケを引き立たせるすごい役回りだと思うし、大事なポジションだと思うのね。それに憧れるっていうのは、漫才をしている身としては自然な考えなのではないのかなーっと」


B「(少し照れ臭そうに)そ、そこまでべた褒めされるとちょっと……」


A「いや、別にB君のことを尊敬してるとかじゃないから」


B「そこまできっぱり言わなくてもいいじゃねえか!」


A「ま、つまり、今回はB君にボケてもらって、俺はツッコミに回りたいってこと。いい?」


B「まあ、いいよ。それでお前の気が済むんだったら」


A「流石B君。優しいなあ。今度お礼に、靴ひも結んであげるからね?」


B「そんなお礼いらねえよ! 靴ひもくらい、自分で結べるから!」


A「俺が結んだ靴ひもは、特別エレガントだよ?」


B「結び目にエレガントもクソもあるか。ほら、さっさとやるぞ」


   A・B、それぞれの立ち位置につく。


A「どうも~☓☓です!」


B「よろしくお願いしま~す!」


   A・B、観客に向かって軽く頭を下げる。


B「いやあ、A君。日本の四季は、豊かでいいですよね」


A「そうでもねーよ!」


B「豊かだろうが! で、それぞれの四季、まあ、言い換えると季節ですね。それぞれの季節には、どれも魅力がありますね」


A「何でわざわざ言い換えたんだよ!」


B「どうでもいいだろ! 言い換えたい気分だったんだよ、何となく。で、春と言えばお花見ですね」


A「そうですね~」


B「こう、花壇に植えられたチューリップをひたすら眺めて」


A「それも立派な花見じゃねえか!」


B「どこがだよ! 普通、ここは桜を見ろとか言うとこだろうが。で、夏は楽しい行事がたくさんありますね。まずは、お祭り」


A「全然ボケてねえじゃねえか!」


B「お前のツッコミが早いんだよ! 何だよ、ツッコミのフライングって。で、お祭りと言えば屋台」


A「盆踊りだろうが!」


B「フライングすんなって言ってるだろうが! これからボケるんだよ、馬鹿野郎! で、屋台と言えば輪投げに、金魚すくいに、あと……フラメンコ」


A「いいね~。楽しそう!」


B「ここで『盆踊りだろうが!』 だろ、普通は! 乗っかってどうすんだよ」


A「オゥレイ!」


B「だから乗っ……コホン。今はボケ担当だった。続けよう。で、夏と言えばまだまだ楽しいことが盛りだくさんですね」


A「えこひいきし過ぎだろ!」


B「別に俺がひいきしてるわけじゃねえよ! で、どんなのがあるかと言いますと。まず、海水浴。次に、キャンプ。そしてあとは、自宅でゲーム」


A「俺のプライベートじゃねえか!」


B「知らねえよ! で、秋と言えば〇〇(まるまる)の秋とかよく言いますよね。まずは、食欲の秋」


A「はいはい」


B「次に、読書の秋」


A「俺、本読まねえよ!」


B「知らねえよ! だから、お前のプライベートな事情はどうでもいいんだって。で、食欲の秋でしょ。読書の秋でしょ。あとは……何かしらの秋」


A「俺もそう思ってるよ!」


B「思っちゃ駄目だよ! ここは普通、『何かしらって何だよ! 何か当てはめろ!』とか言うところだろうが。で、冬と言ったら温かい食べ物が特に美味しくなる季節ですね」


A「年中無休で美味いだろうが!」


B「いや、美味しいけど。あくまでも特に美味しく感じるという意味であって……で、温かい食べ物と言ったらまず、鍋ですね」


A「硬くて食えねえわ!」


B「鍋料理って意味だよ! はいはいはい、俺の言葉が足りてませんでしたね。心より、適当にお詫び申し上げます」


A「うむ、よろしい」


B「適当のくだりツッコまねえのかよ。まあいい、じゃあまずは鍋料理」


A「はいはい」


B「次に、おでん」


A「はいはい」


B「そして、冷やし中華」


A「かき氷より温かいじゃねえか!」


B「何でかき氷と比べるんだよ! かき氷に対抗できる食べ物なんて、アイスくらいのもんだろうが」


A「ソフトクリームも忘れずに!」


B「確かにそうですね! でも、冷たい食べ物なんて山ほどありますよ? いちいち言ってたらキリがないですよ」


A「じゃあいっそのこと、山手線ゲームを始めよう」


B「はあ?」


A「(手を叩きながら)はいーっパンパン。ドライアイス!」


B「勝手に流れを変えるな! てか、ドライアイスは食べ物じゃないだろうが!」


A「あ、そうだった。しまったーっ。俺としたことがーっ」


B「何が『しまったーっ』だよ。もう、全然駄目。やっぱ俺たち、ボケとツッコミ変えない方がいいわ」


A「うん、確かにそうだね。物事には適材適所という言葉がある」


B「だろ?」


A「まさかB君に、ここまでボケの才能がないとは……」


B「お前のツッコミに問題があるんだよ! もういいよ」


A・B「どうも、ありがとうございました~!」

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