LIVE.7 式神 玄武、会心のドヤァを見よ。
メイと霊人の式神である玄武は、大国神社の境内を駆ける。
まるで風のように駆けていく玄武に、
メイはなんとかついていっていた。
「さすが、霊人様の式神だ……、
全然追いつけねぇッ!」
息を切らしながら、必死で走るメイ。
玄武は漆黒の式服をはためせて、
真っ直ぐに大国神社の中央にある本尊に向かっている。
ずんぐりとした体の玄武は、
境内を弾丸のようにまっすぐに突っ切っていく。
本尊の下に、メイの母親、メイリーン曰く、
『薙杜が守るべき姫巫女』がいるというのだ。
玄武の呼吸に、一切乱れてた様子はなく、
「おいおい、根性見せろよ。
闇の眷族の末裔!
そんなんじゃ、姫巫女どころか、
テメェの命も守れねぇぞ?
さっきの勢いはどぉしたぁ?」
と、メイを茶化した。
「そっちがッ……ポテンシャルありすぎなんだってぇ……ッのッ」
と、メイはたまらず言い返す。
「ぁ? なんだって?」
玄武は愉快そうに笑い、さらにスピードを加速させる。
「そらよっ、メイ!おでましだっ!」
玄武は言って、手に持った錫杖を一振りした。
『グビィッ!?』
遅れて、メイの横に異人の声がした。
玄武が、異人を倒したのだ。
「ハァハァ、玄武って、ッフハ、亀だろ?! ……ゼェ」
「へっ! 先入観はブチ捨てろ。
クソの役にも立たねぇ。
この大国神社を古からずっと守ってきたんだ。
そりゃあ、それなりにやる」
「古?」
メイは、驚いて問い返す。
「歴史が始まるより前からだよ。
正確には、大国神社ではなく、
『神剣 神楽』と、この神社の敷地だがなッ」
そう言って、玄武は立ち止まった。
異人が二人を囲んでいる。
「いつのまに!?」
メイは玄武と背中合わせになり構えた。
「おい、ションベンタレ。
よく見てろよ」
「誰がションベンタレじゃ!」
「こっからは有料御免だっ!おらよぅっと!」
玄武の錫杖が右回りに大きく旋回した途端、
玄武の頭上に、巨大な魔法陣が具現化する。
「汝、永久に滅せよ!」
バリトンの呪いの言葉が唱えられると、
魔法陣はゆらりとした緑色の光を放つ!
その光はどろりとした液状になり、無数の蛇の形に変化した。
「すげぇ!」
たまらず、メイは声を上げた。
玄武は、満足げにメイを見やると、
白目のない暗黒色の瞳をパチクリとさせ、
「メイに式神術を見せるのは初めてだったな。
禁じられているが、
緊急事態だ」
と、ドヤァ顔で言った。
魔法陣から具現化したエメラルドに輝く蛇は、
二人を包囲していた異人に襲いかかった。
玄武は、
「同胞よ! 喉仏を狙え!」
と叫んだ!
その命令を受けて、輝く蛇は鋭い矢のように異人の喉仏目掛けて降り注ぐ!
『ザビィッッ!』
『グヒィィィィムべェッ』
『ギャオスッ!?』
パパパパパパパァァァアン
連続する派手な破裂音が止むと、
大量の異人はすっかり一掃されていた。
メイは両耳を塞いだ手を外す。
「害虫駆除ってな」
言って、玄武はメイにウインクした。
丸い亀のような青年は、なかなか茶目っ気がある。
二人は頷きあうと、また走り出した。




