LIVE.33 遠くの敵より、近くの変人
「お、着いたのかい? ーーーー!!」
戒人は、くり抜かれた御神木の中に、浮かぶように木の球体があるのに気づく。
足元ばかりに目がいって分からなかった。
「なんだか、もう、すごいものだな……」
扉には護符が貼ってある。
藍統が、口の中でスペルを詠唱する。
ごごん
音と共に、護符が剥がれ、扉が開く。
中は洞窟のようだ。光はない。
藍統が、「いよいよお目見えだ」と振り返った、その時だった。
どん
地上から、爆発音が聴こえた。
魅子が階段上を睨みつける。
「ごはん!」
一言吠えたかと思うと、魅子は勢いよく地を蹴って飛んでいく。
「魅子!?」
「異人だろう。肉食女子で結構」
藍統は、やれやれという顔で魅子を見送ると、「急ぐか」と全く急いでない素振りで、暗闇の中に進む。
「それにしても、朱雀どもの結界にも限界が近いな。こんな所まで衝撃が来るとは」
ブツブツとごちる藍統に、戒人はとりあえず、黙って続く。
中は十畳ほどの広さで、中央に、何かがあるのが分かる。目を凝らした。ぱちん、と藍統が、指の鳴らす。
幾つもの鬼火が現れて、辺りが明るくなった。
この人が一番得体が知れない。
「戒人」
呼びかけられて、隣に並ぶ戒人。
「おもりしてもらうのも、卒業しなきゃならんようだぞ」
「…………」
戒人は、自分の背中に嫌な汗をかいているのを感じた。




