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LIVE.30 からのかぐら

 第二世界連邦 第六区ガルナフ


 藍統につれられて、

 魅子と戒人とメイの一行は『空の神楽』を取りに向かっていた。地下街の戒人の隠れ家から、以前、朱雀門に向かう時に通ったトンネルを使い、大国神社の御神木に向かう。


「ここが入口だ。

 大国神社の御神木の中に、『空の神楽』は奉納されている」


 御神木は、地上から地下街を貫いて、地下深くまで根を下ろしている。

 藍統は、その根の横に、ちょこんとある賽銭箱を指差した。


「驚いたな」


 戒人を背に、藍統は賽銭箱をどけて入口の板を持ち上げた。


「ここで、メイは待っていろ」

 と藍統が言う。

 メイは黙って頷いた。


 下に続く梯子がかけてあり、降りると御神木の中への通路がある。


 大国神社の御神木は、現在地球上に存在する樹木の中で最も大きい。


 その枝葉は、広い社の敷地を全て覆っていて、その幹の直径は20メートルもある。


 幹の中は、空洞だった。


 そこは木の匂いが満ちていた。


 中をくりぬかれたような幹の内側を沿うように、螺旋階段が地下へと続いている。


 だいぶ年季が入っているそれは、そこらじゅうに、草木が生えていた。



 上を見上げると、地上からの木漏れ日が隙間から入ってきていて、眩しい。



「すごい、ここが、御神木の中」

 魅子の声がこだまして、小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 魅子は、胸が震えた。


「戒人、『次元の扉』に行った事は?」

 先導して螺旋階段を降りていく藍統が戒人に問うた。


「ないな」

「この世界と異次元を繋ぐ扉だ。

 天空にある絶界に存在する。

 ようは別次元空間だな。

 2320年、その扉は、お前の父親と、時空を統べる神である時空のモリビト、そしてティルナノーグの皇帝の三人の立ち会いのもと、封鎖されたと言われている。

 これは知ってるだろう?」


「ええ、そのおかげで、異人の侵略は不可能になったそうだね」


「ふむ。えらい他人事だな」


 藍統の革靴を鳴らす音が小気味良い。戒人の後ろで魅子が鼻歌を歌っている。マイペースなもんである。


「霊人からは、あなたは共に戦った戦友と」

 と、戒人。

「まあ、な。腐れ縁ってとこか。

 生前、お前の父親は有名だったしな」


「あたしも知ってたわ。

 異人無双の御三家でしょ?」

 戒人は、父親が生前、世間からそう呼ばれて反連邦派として戦っていたのは知っているが、実際、戦っているのを見た事がないので、実感がわかない。こだわりがない、という方が正しいかもしれない。


「御三家は、その名の通り三人よ。神剣使いの霊人に、旧世界連邦軍の司令長官だった大地 響、そして、藍統」

「響氏と仮面マスク殺戮者スレイヤーという名は、よく式神からも噂にきいていた。今は、情報屋をされているとも。会えるのを楽しみにしていたよ」


 十年戦争の時に、反連邦派を取りまとめた三人の英雄が存在した。


 無類の戦闘力で地球人を守り、

 無尽の力で異人を殺戮し続けていたという。


 戦争が終わった今、戒人は、自分の父親と、もう一人は行方知れずになり、大地 響だけは、反連邦軍を率いて今も戦っているんだと教えられていた。

 その反連邦軍が、何処を拠点としているのかなどの詳細は、一般には、一切知られていない。それは、戒人も魅子も一緒であった。


「俺は顔出しNGなんでね」

「顔出しとは面白いね」

 と、戒人が笑う。

「響は、帝国ティルナノーグの大将をしている。近々会えるだろう」


 藍統は足を踏みしめながら微笑んだ。

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