LIVE.18 最強ヒロイン☆見参!?
朱雀門でエンカウントした大量の異人!
対峙するメイ、叉爾そして藍統の運命やいかに!!?
「何度見ても慣れないな」
非難をして、メイは空高く飛び上がった。
先ほどメイがいた場所に、異人の一人が突っ込むっ!
「残念でしたっ!」
そのまま、メイは突っ込んできた異人目掛けて着地する!
どしゃあっ!
すかさず鎌を奪うと、くるんと返して首を容赦無く跳ねた!
ざんっ、
ぶしゃあ!
「うっお?!」
異人の返り血を浴びるメイに、叉爾は「何やってんだ」とつぶやき、目の前の異人に真っ直ぐ66式を腹に突き刺したっ!
ざっし!
貫通させたまま、銃を撃つ!
「死んじまえっ!」
だんだんだんだんだぁぁあん!
串刺しにされてビクビクとのたまう異人を盾にしながら、
叉爾は次々に射撃をし、命中させていく。
『ヌギガガガガガァ』
キィキィという異人の奇声があたりを制している。
「ちょっと、ちょっと藍統さんっ!
手伝ってくださいよぉ!」
メイは、66式の刃のカートリッジを変えながら、物見遊山の鬼のモリビトに援護を要求した。
「近距離戦は苦手でねぇ。
触れたくないんだ、異人にはな」
すっとぼけた回答にメイは力を落とす。
泣く泣く藍統のことを戦力外と見なし、66式を一振りさせた。
がちっ
じゃきんっ!
カートリッジ装着音の後で、刃の展開音がリズム良く決まる。
メイはそのまま目の前の異人に突っ込む!
がきぃん、と鎌と66式の十字の刃がせりあう!
『ぎ、ぎぎぃ、ヌヒィ』
至近距離で見る異人。
その気味の悪さは、メイの予想の斜め上を突き抜けた。
「成敗、……してやんよっ!!」
メイは力押しで異人をのす。
そして喉仏に向かって銃を構えて、確実に仕留める。
だぁん!
ぱぁんっ!!
今度は、異人はこっぱみじんになった。
「やっぱり、木っ端微塵になる!
どういうことだ?!」
メイは当惑する。
同じ首を狙っても、ある者は血飛沫をあげ、ある者は木っ端微塵になる。
この差はなんだろう、とメイは不思議に思う。
だがしかし。
そんなことを考える時間はメイにはなかった。
ひゅ!
と、風が鳴るのが聞こえ、メイは咄嗟に地面に這いつくばる!
鎌が横殴りに空気を切り裂いた!
「あぶねぇええ!」
「ぎ、ギギッ!ギヂィ!」
まるで蝉みたいな奇声をあげる異人は、そのまま鎌を振りあげて、メイに向かって落としにかかった!
「そうはいかねぇよ!マダラ模様!」
横に飛んだメイは、そのまま着地した足を軸足にして飛び蹴りをかました!
ぼぐぅ!
見事に決まったキックに、異人はその場に崩れた。
「よっし、次ィ!」
叉爾は、何体か目の異人の頭部に頭突きをめり込ませているところだった。
「ハァッハァッ、きっつ……」
叉爾の口から、弱音が漏れる。
肉弾戦には、限りがある。
どうしたって、分が悪い。
「いや、普通ならヨユーのはずなんだけど、」
叉爾に答えるように、メイは息を切らして両膝に両手をつく。
「なんで、なにもしねぇんだよ、あの人ッ」
八つ当たりと言われればそうなのだし、そもそも、自分に降りた辞令を手伝ってもらおうと思っている方が身勝手極まりないのだろうが、
むかつくものはむかつく、とメイは思う。
「藍統さんのドケチっ!」
と言いながら、メイは二人の異人からの攻撃をなんとか避ける。
「のわぁ!?」
なんとか避けるが、バランスを崩して尻餅をつくメイ。
「おい、大丈夫か?」
叉爾が手を差し伸べてくれ、
なんとか臨戦態勢にもどる。
「エーン、助けてくださいよぉ!」
メイはド直球で鬼のモリビトに援護を懇願する。
だが、
藍統は、木の上から動こうとはしない。
「手伝ってほしいとは、また珍妙なことを言うね」
ガキィィィン!
「ひょえええ!?」
「ぐっ! くそ、大丈夫か、メイ!」
メイは四人の異人からいっぺんに鎌を受ける!
叉爾も同じだ!
数で来られればどうしようもない。
「ぐうううぅっ! 負けるかぁぁあ!」
二人は、なんとか66式を立たせて耐えているが、押されているのは確かだった。
背中には朱雀門。
「四面楚歌ってこんなんかな……ッ」
『ミリァィァァァァ』
迫る白と血の色のまだら模様。
「ぅおおお、気味悪過ぎィィィ!」
メイはたまらず絶叫した。
ざしっと後ずさりすると、朱雀門が背中に触れる。
視線を流せば、叉爾は叉爾で6対1の壮絶バトルを展開していた。
メイはもう一度藍統を見やる。
藍統は、ぷらぷらと足を揺らしながら、懐中時計を取り出していた。
「そろそろかな」
一人、ニコっと微笑むと、恭しく懐中時計を懐にしまう。
これに、メイがとうとうキレた。
「何がですか!? なんなんですか?!
もう、なんでもいいから助けて!藍統様!鬼様!モリビトさまぁ!!」
ビシィッ!
メイの視界で、なんだかすごく速いものが横切って行く。
グリュンッ
風が起こって、メイの前髪が煽られた。
次の瞬間、
『バッ』
『パグゥゥ』
『ガッッ』
『ヒデブッ』
と四つの声が聞こえたかと思うと、その異人四人の頭は、ぐるるっと横一列にまとめられて、地面に叩きつけられた!
「……まぁた、あんたなの?
スケベェシーカーズさん」
メイは、地面を見た!
四人が首に鞭を巻きつけられ拘束されたのだと分かる。
そして、すぐさま、声の方向を見上げる。
朱雀門の塀の上に、人影があった。
艶のある女の声。
逆光で声の持ち主は見えないが、メイは確信した。
「ーーあの時の!!」
ばしいっ!
女は、メイをドスルーして鞭を異人に打ち込んだ!
パンパンパンパンッッ
地面に転がった異人は、ギャグみたいに木っ端微塵になる。
「特務の魅子!」
腰あたりまである長い黒髪が、空に舞い上がる。
左耳あたりで髪をひと房、緋色の紐で結っている。
左腕は、肩口から手首まで、長い革製のグローブをはめている。
二の腕あたりに、飛針のような攻撃道具が収められているのが見えた。その数は、この前メイとエンカウントした時より増えていた。
白い中華風のトップスをコルセットで締め上げている。腰がやたらと細い。
赤いミニスカートから白い足が伸びている、太ももまであるロングブーツに疾風を履いている。
メイは、前に会った折にもどこかで見たような服だと思っていたが、それが何故か分かった。
魅子の服は、巫女の装束を戦闘服に改造したような仕様になっている。
「異人の血のにおいがしたので来てみただけよ。
厄介に巻き込まないでよね。
随分汚い戦い方だわ。
クソだこと」
そこらじゅうに異人の血が散っているのをみて、魅子は美しい顔を歪めた。
「へ?」
メイは、なにを言われたのか理解できない。
ツンとして、魅子はメイと視線も合わさずに異人の残党を片付けに飛んだ。
「せいぜいそこで異人の息の根とダンスしてなさい、ヘナチャコ君」
「うへぇ」
ぴしゃりと言われれば、メイはぐうの音もでない。
魅子が来た途端、異人は一気に退散をしていった。
残された叉爾は、びっしりかいた汗を拭った。
黙ったまま、66式をホルダーに収めるとメイの近くに移動した。
「あんた、有名なの?」
とメイが魅子に尋ねる。
魅子は、両手を腰にあてて
「ある意味、有名だけど
ある意味、全く知られてないわね」
と答える。
長い睫毛が 色白の頬に影を落としているのを、綺麗だな、とメイは思った。
メイは、とにかくお礼を言おうと口を開こうとーー、
「……あんたの66式、本当にムダね。
帝国軍に返却したほうが銃のためじゃない?」
より前に。
ズバリ魅子が言い放った。
「ぐ」
「66式も、疾風も、そのポテンシャルをまるでいかせていないし。
軍人の素質ないんじゃない?
痛い目見るより前に帝国に逃げ帰りなよ」
ペラペラとまくし立てると、女は形の良い胸の下で腕組みをした。
「あのさ、この前も思ったんだけど」
「何よ、ウスノロシーカーズ」
間髪入れずに、魅子は嫌味を吐く。
「あんた、もしかして性格と口ともに劣悪なんじゃない?」
「バレた♥︎」
「だぁぁぁあっ!」
メイは頭を抱えた。
「藍統! 食事をしてもいい?」
魅子はメイの反応を気にも止めずに、藍統に問いかけた。
「ああ、いいだろう」
スタッと地上に降りた藍統は、ひょうひょうと答える。
「そうこなくっちゃあ!」
と、魅子は手を合わせて喜んでから、
「あたしの取り分はいただいていくわん♥︎」
と、メイにウインクする。
アメジストの瞳に漆黒のストレートの髪がさらりと揺れた。
「美人ってズルい……」
メイは、頬を真っ赤にした。
可愛いは正義だ。
口が悪すぎる魅子は、メイに踵を返して倒れた異人の頭を掴み上げ、
ガブッ
ーー豪快に首筋にかぶりついた。
「ーー!?!?!」
メイはさすがに驚き、目を見張る。
いつのまにか藍統がメイの横に来ていた。
「強いだろう、俺の大事な特務兵でね。
食事として、異人の血液を飲むんだ」
ごきゅごきゅっ
喉を鳴らして、魅子は異人の首筋から血液を飲む。
叉爾もまた、無言でその様子を見ていた。
「彼女は、君のよいチームメイトになるだろう。
共に守護処を守り、戦いなさい」
と、蝋人形のような肌をした藍統は、整いすぎる顔に微笑みを浮かべて言った。
「は、……はい」
どうやら、奇妙なパーティに仲間が一人加わった。




