LIVE.17 それはそれで奇妙なパーティ
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2324年1月31日
第一次異次元戦争以降、地球人は、異次元からの侵略者である、異人の脅威に怯えて暮らしている。
現元帥のロード・トワの元、国名が第二世界連邦に改名され、連邦の主要人たちが、異人とすりかわってしまった今、地球人は、狭い世界で生を食いつぶしている。
そんな地球人にとって、
ティルナノーグ帝国は、人類の最後の砦だ。
帝国は、防衛軍として地球人を異人から守り、さらに遺体の回収をし、遺体を蘇生させ軍人に育成している。
『次元の扉』が大国 霊人によって封鎖された今、
地球人は、死界に行けなくなったためだ。
異人の侵入を禁ずるために払った犠牲はあまりにも大きいものだった。
帝国の最高司令官であり、建国者である皇帝は、2330年までに『次元の扉』を解放すると全帝国民に宣言している。
地球人の明るい未来を作るために、帝国の軍人たちは今日も魂をかけて任務に追われているというわけだ。
さて、ここに三人の奇妙なパーティが存在する。
まず、一番背の高い茶髪の男、
薙杜 メイ。
彼は闇の眷族の末裔である。
対人戦闘が得意で、燃費の悪さは帝国一位。ピカイチ。
また、メカといえばメイ、と言われるほどのメカオタクである。
そして二人目に、
明らかにカタギではないオーラぷんぷんの黒ずくめ、
鬼道 藍統。
帝国幹部で、鬼のモリビトの称号の持ち主。
帝国の中継ベース『CROSS GATE』のオーナー。
眼鏡にオールバックがトレードマークの見た目は三十路くらいの青年だ。男女問わずモテるが、本人に執着も自覚もない。
最後が、帝国 第一部隊 隊長補佐の叉爾。
かりあげた頭くらいしか特徴はない。仕事以外では、無口で不器用で無愛想な三重苦もちの少年である。
そんな三人は、仲良くピクニックなんぞたしなみつつ、第二世界連邦 第六区ガルナフにある大国神社の南門、朱雀門に到着をはたした。
ソウルシーカーズ隊長の玄鉄より降りたミッション遂行のため、
メイたちはこの朱雀門で警備をすることになったのだ。
「しかし、暑苦しいメンバーだな」
口火を切ったのは、藍統だった。
確かに、長身の野郎が三人、門の前に立っているだけなので、大層な暑苦しさである。
ちなみに、ソウルシーカーズの隊服は漆黒である。
藍統もまた、漆黒のロングコートを着ていた。
「なんで、揃いも揃って皆ブラックコーデなんだろうなぁ」
メイは、自分のマントをぴらぴらさせてごちる。
「それは簡単だぞ、メイ」
藍統がぽんやりと答える。
「皇帝が漆黒が好きなんだ」
答えてから、「タバコ吸ってもいいか?」と聞きながらタバコを咥えて、朱雀門にもたれた。
「そんな身も蓋もない……」
メイはがくっと肩を落とす。
この男、なぜかすべての行動が1980年代である。
チュンチュン……チチチ……
三人が、朱雀門に到着して、三時間ほど経過していた。
メイは門の真ん中で仁王立ちになり、その横で、叉爾は66式を構えていた。
三時間ずっと、である。
藍統はというと、朱雀門の近くの手頃な木の上で物見遊山をしていた。
優雅なものだとメイは思う。
「あのう!
あまり考えてなかったんですが」
メイは藍統に話しかける。
藍統は木の上から「ん?」と返してくる。
「俺! ここを守護して、異人を倒せばいいんですよね?」
「あぁ、そうだが」
藍統は、のんびりした声で答える。
緊張感のかけらもない。
「異人が来なかったら何してればいいんですかね?」
と、メイ。
「何もしなくていいんじゃないか?」
藍統は、あっさり答えた。
「は?」
メイは拍子抜けする。
隣の叉爾は、顔色一つ変えずに66式を構えて臨戦態勢なう! である。
「いいか? メイ。
異人がこないなら、ハナから辞令はでない」
藍統は朗々と続ける。
プラプラと木の上からチラ見する革靴は、ピカピカに磨かれている。
「はぁ」
「そして、俺は鬼のモリビトだ」
「え? あ、そうですね」
メイは、藍統の意図がわからない。
「帝国の幹部だ。
隠居を決め込んでいた古株だ。
休ませて欲しい。
おうちに帰りたい」
「え? そうなんですか?」
叉爾は、カサリという物音を聞いて、静かに66式を構え直す。
なおも、藍統は続ける。
「しかも、結構強くて結構偉い」
「自分で言います?それ」
「つまり、だ」
「えっと……?」
ガサリッ
「待っていれば、必ず異人は現れるということだ!」
心底楽しそうな藍統の声が辺りに響き渡るのと、
朱雀門の前の茂みから異人が出現したのは同時だった。
「さあ、お手並み拝見だ。闇の眷族君」
メイと叉爾の前に、ざっと30の異人が現れたっ!
「ぎぇえええええ?!」
そんな感じで、エンカウント突入である。




