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二人の勉強

 十月四週目のこの頃。学校ではこういう噂が広がっているらしい。


『高坂文哉と桜木渚の関係は今後に機体あり』と。


「なぁ………俺、どうすれば良いんだろう?」

「おい!?何の脈絡もなく泣くなや!」

「シクシク………そうだ、旅に出よう」

「いや、意味不明だからな!」


 前から交流したいなと思っていたのに、本人いるのにも関わらずに変なこと口走るし、挙げ句の果てには目が合えば逸らされ、声かけようとすれば避けられて、もうどうすれば良いんだよ。


「Trick or Treat!蓮斗君、高坂君」

「…………あぁ」


 今日はハロウィンだったけ。小悪魔的なコスプレをした湊川と、


「誰だ?そのカボチャ?」


 学校の制服の上から白衣を着て、カボチャを被っている奴。

 因みに身長が小さいので白衣はかなりダボダボである。


「………遥香、俺達勉強してんだけど」

「ちっちっち。甘いなぁ蓮斗君は。チョコレートより甘い」

「いや、何言ってんだ。お前?」

「ジャーン!ご覧あれ!」


 湊川がカボチャをとると、中には髪をポニーテールにした桜木がいた。


「いや、予想つくわ」

「可愛いでしょ?」

「何でお前が偉そうなんだよ!」

「あ、あの………高坂………うぅ………」

(((凄い可愛い!)))


 恥じらう乙女に三人は胸を撃ち抜かれた。

 当の本人は上目遣いでチラチラ俺を見てくる。


「蓮斗君……浮気?」

「ち、違うぞ!?これは生理現象だ!」

「本当にぃ?ー」

「はい!神に誓って」

「変なこと考えたら………殺すよ?」

「滅相もございません!」


 …………うん。あれは放っておこう。


「高坂。………あのね、あのね………勉強………一緒に……」

「うん?」

「鈍いなぁ。一緒に勉強しないかってお誘いよ」

「あぁ。うん。俺でよければ」

「………ありがとう」

「蓮斗君、帰るわよ」

「はぁ………じゃあな」


 そう言って、帰ってしまった二人をとう


「………勉強する?」

「お、おう」

「隣………良い?」

「え、正面じゃなくて?」


 蓮斗と俺は机をくっつけるものの、隣り合わせなんかしない。効率が悪いし気持ち悪い。

 しかし、そこは惚れたものの弱みで、


「ど、どうぞ………」

「ありがとう………」

「何の教科やる?」

「………数学」

「おう」


 いつも気にしない時計の秒針の進む音が大きく聞こえる。


(こ、これは予想以上に気まずい)


 普段の蓮斗相手ならば、一問解いて答え合わせして、解らなければ解説をするという単純作業。

 それは相手が気兼ねない関係だからなし得る事であって、意中の相手が隣にいる場合は、会話一つ出なければつまらないというレッテルが貼られてしまう可能性がある。


「………ねぇ高坂」


 しかしどうしたものか、相手の方から声を掛けて貰った。

 これはチャンスである。


「………私ね、遥香ちゃんに声を掛けて貰った」

「お、おおう。そか」

「………うん。嬉しかった」

「そかそか」

「………」

「………」


 会話終了である。どうして俺はコミュニケーションが下手くそなんだよ!


「………これ………」


 バックから出したのはクッキーだった。

 動物の形をしていたので、先週の図書室から借りてきた本を参考にしたのだろう。


「お。クッキー」

「ふにゅう。………食べてくれると嬉しい」

「ん。頂きます」


 一つ口に放り込むと、甘過ぎず固すぎずお店のような美味しいクッキーだった。


「上手いな」

「本当!?」

「あぁ……」

「また……食べてね?」

「勿論。俺で良ければ」

「………高坂だからだよ………」

「何か言った?」

「(ブンブン)言ってない」


 ふと窓の方に目を向けると、雨が降っていた。


「やべ、雨だ」

「傘忘れた?」

「あー………うん」

「…………そっか」


 流石に『じゃあ、相合い傘しよ?』という甘い展開が有るわけ、


「じゃあ、相合い傘、しよ?」

「ごふっ!」


 吹いた、マジで。あの桜木がそんな事言うなんて。


「お、おい?桜木さん?」

「待ってる………から」


 そう言って、荷物をそそくさまとめて教室を出ていった。


「………………………マジで?」


 あまりの急速展開に驚愕を覚えた俺だった。

こんな展開に憧れるとかあれば教えて下さい。

願望が………妄想に変わりそうww

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