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DAY-05 魔術師達 もののついで

各個撃破を狙う者達登場!


この話を本筋の前か後ろか迷いましたが、前に持って来ました。



「さて。 出かける前に・・・」

 シーズの船上でチヒロは準備を整え、東京の街並みを眺め珍しく難しい表情を見せた。

「ああまで、あからさまだとね・・・」

 マイヒメが何とも困った感想を漏らし、二の句を迷っていた。

「サクラ姉、見事な六芒星だね」

 ミウは率直な事実を述べる。

 それは東京を包み込むように形成された六つの支点で形成された魔法陣である。

「力の流れが感じられるけど・・・。 何をするつもりなのか・・・」

 その魔方陣からは魔法の循環を感じ取れるが、流れるプールの様に水を回しているだけで、外から観るだけでは何を意図して作られているのかさっぱり解からなかったのである。

「ちょっト、除いてからの方が宜しいでしょうカ?」

「「「「「う~ん~」」」」」

 エレェリアのもっともな意見に珍しく迷うのである。

 こちらの人数を知っているかの様な支点の配置に、六人を分散させる事を意図したかの様な魔法陣の構成。

 メイドを六人、それぞれの支点に向かわせればそれで済むのだが、それもなんか勿体ない様な気がするのである。

 かと言って誰か一人が順番に一つずつ回れば・・・、”はははっ! 愚かな! それが我々の狙いだったのよ!”と言って台詞を聞くのは、他の留守番している者が何となく損をした様な気がするので、面白くない。

 六人で同時攻略は誘われている様に感じて・・・・、”はははっ! 貴様らを分散させるのがこちらの策よ!”と言われるのも、一興ではあるのだが・・・・・。

 あまりにもテンプレでお約束的な展開に珍しく決めかねているのである。


 完全に煮詰まってしまい、方針を決めかねている五人の背後から此処に居ない筈の人物から声がかけられる。

「もののついでだ、大して時間は取られんだろ」

「「「「「??」」」」」

 全員が振り向いた先には青い顔していたが、意外としっかりとした足取りで彼等の方に歩いてくるカズマであった。

「おっ! カズマ! 復活したか?」

「・・・・死んでね~よ。 うっぷ」

 彼の返事よりも、サクラを除く全員の視線が青い顔の彼よりその右手に握られた妙な匂いを発する特大ジョッキーに注がれた。

 特大ジョッキーの中には緑と言うか、黒と言うべきかとても飲み物とは思えない液体?が注がれていた。

「ちょっと! なに? そのどぶの様な物は?」

 状態異常完全耐性を持つ、マイヒメが鼻を摘まみ顔を背けている、おそらく近くに花が有れば一瞬で枯れた事であろう。

「カズ兄・・・。 それ・・・、腐ってない? ブクブクしているよ?」

 液面からはコポコポと気泡と言うには生温い、瘴気吹き出していた。

「うっぷ。 ・・・これが通常の仕様だそうだ」

「カズマさン、それは何ですカ?」

 エレェリアが手で顔を覆いながら、もっともな質問をする。

「・・・・栄養ドリンクだそうだ」

 サクラの満面な笑顔。


(ニコニコ)

(嘘だ! 絶対に嘘だ!)

(・・・嘘だね)

(嘘ですネ)

(嘘よね・・・)

(俺も嘘だと思っているよ・・・)

 サクラを除く五人の無言の意見は見事に一致していた。


「カズマ・・・。 つかぬ事を聞くが」

「なんだ?」

「それは、何杯目だ?」

「・・・・・・・三杯目だ」

 彼の絞り出すような苦痛に満ちた答えを聞き、驚愕に固まる一同。

「おっ 同じ飲み物?」

「いや、一杯目は溶岩の様だった。 二杯目は液体窒素かと思った」

「カズ兄・・・、良く飲めたね・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 思わず顔を背けるカズマ。

 マイヒメはミウの頭を優しく撫でながら、諭すように。

「ミウ・・・、深く追求したらダメだよ」

「???」

 実際のところは、熟睡していたら一杯目を口の中に注ぎ込まれ、熱さで飛び起きた所を間を置かず二敗目を差し出され思わず煽ったのである。

 因みに、もう一人のサクラに鼻を摘ままれ強制的に口を開けさせら、イサベラに寝台に押さえつけられた為、寝ていた彼に抵抗の余地は無かったのである。


「それで。 カズマ、飲むのか?」

 チヒロは非常に真剣な口調で彼に問いただす。

「・・・・・・・・」

 カズマの沈黙と。

(ニコニコ) 

 サクラの満面な笑顔。



 後に、この後の五分間の出来事はアダマスにおいて『シーズの惨劇、消失した五分間』と呼ばれ、誰もが永久に口を閉ざし、全ての記録から抹消されたのである。(注・一人を除く)



 五分後、船上の甲板にヤバげに痙攣するカズマが突っ伏していた。

 その手には空の特大ジョッキーが握られていたとか・・・・。




------------------------------------------------------- 


 日本国 東京各地 午前


 戒厳令下とはいえ、人気の全く無いビルの谷間でチヒロは周りを見回し正面に立つ男に話しかけた。

「取り敢えず、人払いはしている様だな・・・」

 腕を組み巌の様な男が彼の問いに答えた。

「我等は襲撃者にあらず。 決闘者なり」

「・・・・・・なるほど。 礼儀として名乗りは必要かな?」

 チヒロは決闘の礼儀としてお互いの名乗りについて尋ねる。

「否! 死に逝く者の名は不要! 我が名だけを記憶に刻み逝け」

 決闘者と名乗る男は腕を解き、両腕を正面に構える。

 上空の雲がにわかに騒めき、気圧が急激に低下する。

 空模様が急変し、局部的に嵐を引き起こそうとしていた。

「我が名は、"翡翠の教団""九聖の剣"第五席、嵐のイアン。 疾く、去ね!」

 白い水蒸気を伴った強大なダウンバーストが叩きつけられる。

 周囲のビルガラスが衝撃に耐えられず砕け散る。



「なるほど。 まんまと分散されたわけね」

 街角でサクラは可愛く小首を傾げる。

「フッ、数に奢る者よ。 一人になればその力、測るまでも無い」

 言葉と共にいちいちポーズを変えるキザな長髪男が彼女を嘲笑する。

「一本取られたわね」

 サクラは肩を竦めながら苦笑する。

「氷のユリアス、火のラルヴァの敵。 取れせていただきますよ」

 モデルの様に片手を付きだし、カメラ目線を意識した様なポーズをとる。

 気温が低下しダイアモンドダストが舞い散る。

「美しき、彫像となりなさい」

 街角に白銀の世界が誕生した。



 誰も居ない神社の境内でミウは完全に囲まれていた。

『『わらわの術はその精神を滅する・・・・』』

 二十代と思われる妖艶な美女が異口同音で囁きかける。

「お姉さん、いつ仕掛けたのかな?」

 驚きもせずミウは素朴な疑問を発した。

『『"翡翠の教団"一の幻術使い、第八席 幻のエリザベス』》

 ミウは足元の小石を蹴っ飛ばして一つに当ててみるが、小石は素通りしてしまう。

『『童とて、手は抜かぬ・・・・』』

 複数の美女がその手に投げナイフを抜き構える。

『『幻の中、眠る様に逝け』』

 ナイフが飛翔し、ミウを串刺しにせんと迫る。


 公園内を無数の鎖が縦横無尽に張り巡らされていた。

「この世界において、オレの鎖から逃れる者無し!」

 中年のごく普通のサラリーマン風の男が鞄から鎖を操りながら宣言する。

「拘束結界ですか。 魔術の密度を増した具現化ですか。 しかし、決定力に欠けますね」

 マイヒメが鎖を指で突っ突きながら冷静に分析する。

「ほ~。 唯の脳筋では無いようだな」

 マイヒメの一瞬で固まった。

「(ピック)脳筋・・・・・」

「だが! オレの鎖、ただ縛るだけに有らず!」

 空間を満たした鎖が高速で動き回る。

「世を乱す愚か者! 火のラルヴァを倒し者!」

 鎖は動きながら、球状に彼女を包み込んでいく。

「この鎖のマーカスの術で潰れるが良い!」

 中の者を潰すために、鎖の球は急速にその体積を減らして行く。


 倉庫が立ち並ぶベイエリア、エレェリアは一人のローブに身を包んだ人物と対峙していた。

 男の左右には約5mの凶悪な魔神が召喚されていた。

「召喚術ですカ・・・・」

「然」

 彼女の問いに、男は一言だけ返す。

「でモ、たった二体で私を倒せるト?」

「否」

 空間が揺らめき、男の周囲に次々と異形の魔神が現れる。

「あラ? あらあラ~。 ・・・・100体位かしラ?」

「滅」

 魔神が男の声と共に飛翔し、彼女の周囲を囲む檻を形成する。

「・・・・・・言葉の少ない方なのですネ」

 彼女の溜息と共に、魔神は一斉に飛び掛かる。



「・・・・・・ワタシの名は"翡翠の教団"の誇る最強の"九聖の剣"の一人、第七席 斬のイングリット・・・・。 ちょっと聞いているの!」

 銀髪をポニーテールにした紫眼の美女が怒りを露わにしていた。

 折角の名乗りも目の前の男の為に台無しである。

「・・・・すまん。 うっぷ」

 男、カズマは愛用の双剣の一振りを杖代わりにして、片手で口を抑え膝を付いていた。

「謝るな! 吐くな! 吐くなら向こうで吐け!」

 イングリットは剣を片手に脇の草むらを指さす。

「いや、もう大丈夫だ・・・・・・・」

 青い顔では説得力の欠片も無かった。

「・・・今、意識が飛んでいなかったか?」

 その鋭い紫眼を半眼にして尋ねる。

「ソンナコトナイヨ」

 無表情で片言、全然説得力の欠片も無い言葉。

「(プチッ!)もう良い! ワタシの斬撃で切り刻まれて死ね!」

 抜き放った剣は青白い光と超高速の振動音を発していた。

 彼女は瞬間移動並の速度でカズマに接近し、その刀身を彼に叩きつけた。



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 アダマス 高速念話


ミウ:ねえねえ! 聞きたい事が有るんだけど!


マイヒメ:奇遇ね。 わたしも聞きたい事があるの。


チヒロ:おれもだ。


カズマ:ああ、俺も確認とりたいんだが・・・。


サクラ:私もよ。


エレェリア:もしかしテ・・・・。


全員:翡翠の教団て何? 火のラルヴァて誰?


全員:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カズマ:誰か心当たりは?


チヒロ:・・・おれは無い。


ミウ:ミウも無いよ!


エレェリア:残念ですガ、記憶に無くテ・・・・。


マイヒメ:わたしも無いわ! サクラは?


サクラ:私も無いわ。 でも・・・・。


マイヒメ:でも?


サクラ:何処かで聞いたような・・・・・。 う~ん・・・・・。


ミウ:・・・・・・ああっ! サクラ姉! あれじゃない!


サクラ:うん?


ミウ:この前、仕入れたラノベの主人公! ”左手の封印が!”とか”右目が疼く!”とかの!


サクラ:あの厨二病?


ミウ:それそれ! だってそれくらいしか思いつかないよ!


サクラ:それもそうね。


カズマ:話を戻すと。 まるっきり心当たりがないと?


サクラ:ええ。 全然、記憶に無いわ。


チヒロ:・・・・・つまり、勘違いで襲って来たと?


エレェリア:そうかも知れないですネ。


マイヒメ:でも・・・。 こいつ等聞く耳なんか持っていないわよ?


カズマ:・・・・それは仕方ないな。


サクラ:降りかかった火の粉は払いましょ。


カズマ:だな、もののついでだに叩き潰せ。


ミウ:了解!


マイヒメ:OK!


エレェリア:分かりましたワ!


チヒロ:おっし! ちょっと相手して来る!


カズマ:周りの被害を考えろよ。


チヒロ:大丈夫! 大丈夫!





サクラ:う~ん・・・。 何かここまで出かかっているんだけど・・・・・・・。 まっ! 良いわよね。大したことじゃないわ!




カズマが飲まされた物は精○剤の一種です。


サクラ:古竜用のをちょっと配合を変えてみたんだけど?


普通の人にとっては猛毒と大差ないかも(汗)


 設定としてはこんな感じです。

 第三席 氷のユリアス

 第五席 嵐のイアン

 第六席 界のダン

 第七席 斬のイングリット

 第八席 幻のエリザベス

 第九席 鎖のマーカス



次回DAY-05 『魔術師達 行きがけの駄賃』

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